環境対応待ったなし
世界的に脱炭素化が進む中、政府は再生可能エネルギー(再生エネ)の導入を推進する。中でも、バイオマス発電は国産木材を原材料に活用できるため、エネルギー自給率を高める手段としても関心を集める。発電事業やプラントを手掛ける企業には商機が広がりそうだ。
バイオマス発電は間伐材などの植物資源を燃料とするため、発電により発生する二酸化炭素(CO2)を、原料の植物が成長過程で吸収した分と相殺する「カーボンニュートラル」の考え方ができる。企業に環境を重視した経営姿勢を求める機運が強まる中で、普及が加速している。
温室効果ガスの排出削減を目指す「パリ協定」において、日本は2030年までに電源構造に占める再生エネの割合を全体の22~24%(19年は19%)に増やす目標を掲げている。主力の太陽光発電の新規開発が伸び悩む状況で、バイオマス発電への期待が一段と高まっている。
国も後押しする。7月には木質バイオマス発電を成長産業に育成するための研究会を立ち上げた。5年ごとに改める林業の基本方針「森林・林業基本計画」の更新も来年に迫り、木材需要の創出に向けた動きが本格化しそうだ。バイオマス発電は重要な受け皿となると考えられ、政府は早くも燃料向けに用途を絞った森林を確保する検討に入ったという。 再生エネデベロッパーでは、レノバ(9519)が福岡県の苅田バイオマス発電所を来年6月にも稼働する。23年にはさらに3基が運転を開始し、売上に貢献する見通しだ。エフオン(9514)は1月に栃木県にある壬生発電所が商業発電を開始するなど、計3カ所のバイオマス発電所を展開している。
産業廃棄物の再資源化を主力とするタケエイ(2151)は、再生可能エネルギー事業を今後の経営の柱に位置付ける。足元では計4つのバイオマス発電所が稼働し、来年は福島で新たな設備を動かす。立木の間引きで発生する国内の間伐材も燃料に使っており、エネルギー自給の観点からも注目される。
タケエイの今3月期第1四半期の連結営業利益は6.5億円(前年同期比38%増)と好調。株価は1月の高値1273円に迫り、ここを上回ると一段高も期待される。
このほか、バイオマス発電プラントではタクマ(6013)、ボイラーの明星工業(1976)、間伐材などを有効活用する発電設備の開発に着手した新東工業(6339)なども有力だ。極東開発工業(7226)は、発電の燃料に使われる木質ペレットの搬送ユニットやチップの乾燥コンテナシステムを手掛ける。また、北川鉄工所(6317)は木質チップの製造装置を展開する。(8月21日株式新聞掲載記事)
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