ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZO <3092> の業績が好調だ。7月30日に発表した2021年3月期第1四半期(4〜6月)決算は33.9%の営業増益となり、新型コロナウイルスの影響で未発表だった通期の業績予想も41.6%の営業増益となる見通しだ。この発表を受けて翌31日のZOZOの株価はストップ高(21.2%高)の2860円まで買われ、8月3日には3200円と2018年10月以来の高値を記録した。ZOZOの株価は新型コロナ危機で今年3月17日に1151円の安値を付けていたが、わずか5カ月ほどで2.8倍に上昇した計算である。
今回はZOZOの業績好調の背景を見てみよう。
ZホールディングスのTOB価格を上回る
2019年11月、ソフトバンクグループ <9984> のZホールディングス <4689> がZOZOに対してTOB(株式公開買付け)を実施したのは記憶に新しい。Zホールディングスは当時のZOZOの筆頭株主の前澤友作氏の保有株約6割を含む、発行済み株式数の50.1%を約4000億円で取得し、連結対象会社とした。その当時のTOB価格が2620円である。ZOZOの株価はすでにそのTOB価格をも大きく上回っている。それだけZOZOに対するマーケットの期待が高まっているということなのだろう。
ちなみに、2021年3月期第1四半期決算では、商品取扱高が953.3億円と前年同期に比べ19.5%増加している。商品取扱高とはZOZOTOWNで売れた商品の総額のことである。
商品取扱高が伸びている背景には、新型コロナ禍の巣ごもり効果(EC需要押し上げ効果)もさることながら、2019年12月よりヤフーが運営するオンラインショッピングモール「PayPayモール」にZOZOTOWNを出店したことも大きい。PayPayモールの大幅なポイント還元によるシナジー効果で、従来とは異なる新たな顧客層を開拓したことが追い風となったようだ。