ZUU onlineが開催している、『Withコロナ時代の「大」資本改革』をテーマにしたZoomによるウェビナー。7月16日、マーケットリバー 代表取締役、元楽天IR部長の市川祐子 氏と株式会社SmartHR 経営推進グループ 経営企画 IRの森 雄志 氏に、『【経営/IRch】SmartHR編/急成長企業のIR戦略と共感を生む対話』を聞いた。
※ 以下、市川氏・森氏談。7月16日開催のウェビナーの収録内容を書き起こし、3回にわたりお届けします
未上場会社である「SmartHR」IR担当の業務とは
市川:はい、まず私の方から幾つか質問を用意しておりまして、今日はこんなのを用意してきました。まず一問目、今どういうお仕事をしているかということを改めてお願いします。
森:IRを主に担当しています。未上場なので決算発表や適時開示のようなオペレーションはなく、エクイティファイナンスのプランニングとそれを基にした投資家コミュニケーションが主な仕事ですね。具体的に言うといつ、どの投資家から、いくら調達して、それをどう使うべきかという点を資金計画や事業計画から逆算して考えます。その上でどの投資家にアタックすべきか、どういうメッセージを伝えるべきかという点を考えて実際に投資家面談を行います。このようにエクイティファイナンスのプランニングとそれを踏まえた投資家コミュニケーションというのをCFOと一緒に担っているというのが主な仕事です。
市川:なるほど。
森:それ以外の仕事だと、ガバナンス体制の構築や取締役会の設計、ESG対応なども一部担当しています。
市川:なるほど。そうすると、今までに調達をプレAからA、B、Cまでやっていらっしゃって、既に株主が十数社ですかね?
森:そうですね、個人の方、VCの方を合わせてそれぐらいですね。
市川:その方たちにメンテナンス的に状況をお伝えするとともに、次の候補となるVCであったり、幅広い投資家にアウトバウンドでもミーティングを設定したり、あるいは実際に面談を重ねたりしている?
森:おっしゃる通りなんですけど、未上場企業だと出資元のVCから役員が派遣されるケースが多いので、取締役会を通じて業績のアップデートは行うことができます。ですので、私の場合は、圧倒的に新規投資家の開拓が業務の比重としては大きいですね。前回のシリーズ C のラウンドで海外投資家にも入っていただき、海外投資家コミュニティの中でも知名度が上がっているので、インバウンドでもかなり問い合わせいただいている状況です。アウトバウンド・インバンドをうまく組み合わせつつ、リレーション作りを行っています。
投資家とのやり取りは年間100件
市川:なるほど。だいたい月(当たり)がいいのか四半期(当たり)がいいのか、どのくらい件数をやってるんですかね?
森:時期にもよりますが、平均すると週に1、2件、月に5〜7件ぐらいですね。中にはNDAを結んで複数回面談したり、メールのやり取りもそれなりに発生するイメージです。
市川:そうすると、年間100件ぐらいはやってそうな感じですかね?
森:トータルだとそれくらいになると思います。
市川:なるほど、そうすると結構マザーズに上場している企業でも四半期に数十件、30件50件というところが割とボリュームゾーンかなあと思いますので、もうすでにそのぐらいの量をこなしていて、しかもそれがほぼ全部新規?
森:そうですね、ほぼ新規ですね。
CFO業務にも似たIR業務
市川:そのようなところがかなり違う、違うっていうのは上場企業とも違うし、未上場でもそこまで新規でやっているとこは少ないかなという風に思います。しかも、その次にどの投資家からどのぐらいとりたいか、それを何に使うかっていうところまで考えているところは、かなりCFOの業務の一部をやってるみたいな感じですかね?
森:そうですね。楽天のIRにいるときはそこまでは踏み込んではなかったので、CFOやマネジメントと議論しながら会社の財務戦略を考えられるのはすごく楽しいですね。
市川:なるほどなるほど。ちなみに前回は61.5億円で、ちょうど1年ぐらい前ですね2019年7月に61.5億円で。私がすごく印象的だったのが、資金調達の資金の使途が「人」だったんですよね。インターネット企業だと人のことも多いんですけれども、一応投資がサーバーとかの広告宣伝費とかが多いところに比べると、全部人に投資するのは結構魅力的なことだなあと思っておりました。
森:そうですね。前回調達した60億円の主な使途はマーケティングと採用ですね。おかげさまでたくさんのお客様にご導入いただいており、顧客数も順調に増えています。今後もこの成長を継続していくためにビジネスサイドやプロダクトサイドの採用は引き続き積極的に行う必要がありますね。またBtoCと違ってBtoBのソフトウェアは導入の意思決定がかなり重いので、ブランディングであったり安心感の醸成みたいなのはかなり大事になります。そういう意味でもマーケティングはかなり重要になります。
森氏がSmartHRに入社したきっかけ
市川:なるほど。分かりました!じゃあ結構面白そうみたいですけれども、そもそも何でSmartHR に入ろうと思ったんでしたっけ?っていうとこから遡って、そこまで全体ではないですけれどもかなり活躍していて、私と重なっていたのは1年半ぐらいでしたけど、その後もいろんな人に可愛がられていたとは思うんです。