不動産投資は生命保険代わりになるといわれていることをご存じでしょうか。なぜなら「団体信用生命保険(以降は団信)」が使えるからです。ただし団信は持病があると加入できないこともあります。本記事では「どのような持病があると加入できなくなるのか」「断られた場合の対応策をどうすればいいのか」という2つのテーマについて解説します。

団信を断られる2つのケース

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(画像=khunatorn/stock.adobe.com)

「団信があるから不動産投資をする」という人もいるのではないでしょうか。団信に加入するとローンの契約者が亡くなったり病気やケガで働けなくなったりしたときにローンの残債が保険金から支払われるため相殺されます。不動産投資が生命保険代わりになるのは、この仕組みがあるからです。ただ、なかには以下のような2つの理由から団信の加入を断られるケースがあります。

  • 完済年齢が高すぎる
  • 持病がある

1.完済年齢が高すぎる

1つ目の団信の加入を断られるケースは年齢制限によるものです。あらかじめ決められた完済年齢までにローンを返済できない場合は加入できません。例えば返済期間が30年、完済年齢が満80歳未満までなら49歳あたりが団信に加入するリミットになります。

2.持病がある

2つ目の団信の加入を断られるケースは、持病がある場合です。団信の契約前には、契約者の健康状態をチェックするために告知書を保険会社に提出します。告知書に基づき審査が行われ、保険会社が「引き受けられない」と判断した場合には団信に加入できません。申告が求められる持病の一例は以下のようなものがあります。

心臓・血圧狭心症、心筋こうそく、高血圧症、不整脈など
脳卒中、脳動脈硬化症
精神・神経うつ病、神経症、てんかん、自律神経失調症など
肺・気管支ぜんそく、慢性気管支炎など
がん・しゅようがん、肉腫、白血病、しゅよう、ポリープ

ただし「これらの持病がある=団信に入れない」ということではありません。団信に加入できるかどうかの可否はケースバイケースで判断されます。「自分は持病があるが団信に入れるだろうか」と心配な人もいるかもしれませんが、絶対的な基準はないため、あまり考え過ぎずに申告書を出してみるというのも一案です。もし断られた場合は、後ほど紹介する解決策もあります。

どんな形で持病の内容を確認される?

告知書における持病の確認内容は以下のような質問項目が多い傾向です。

  • 最近3ヵ月以内に医師の治療・投薬を受けたことがあるか
  • 過去3年以内に該当する病気で手術を受けたことがあるか
  • または2週間以上にわたり医師の治療・投薬を受けたことがあるか

これらにあてはまる場合は、正式な病名はもちろん治療を受けた期間・入院の有無などを告知しなければなりません。あわせて高血圧症であった場合は最近の血圧値、糖尿病の人であればインスリン治療しているかなども告知します。告知で忘れがちなのは大きな病気ではないものの風邪や歯科、接骨院など薬を処方された場合です。

申し込み時点で告知義務違反があっても団信に加入できてしまう場合もあります。しかし虚偽の告知が発覚すると契約解除となり、万が一の際にローンが残ってしまう可能性があるため、記載漏れがないよう注意しましょう。

団信に加入できない場合の解決策「ワイド団信」と「現金購入」

審査の結果、一般的な団信に加入できないときでも「ワイド団信」「現金購入」といった2つの方法で解決できる場合があります。

ワイド団信:持病があっても加入しやすい

1つ目は、持病があっても加入しやすい「ワイド団信」の利用です。団信の告知で引っかかりやすいといわれる高血圧症・糖尿病・うつ病などの治療経験があったり、これらの病気の治療中であったりしても、ワイド団信なら加入できる可能性があります。ただしワイド団信には契約者の健康リスクが高い分、一般の団信と比べて保険料が高くなる点がデメリットです。

保険料は金利に上乗せされていることが多く、金利がどれくらい高いかについては保険会社によって異なります。例えば通常の団信よりも年利0.3%程度が加算される傾向です。「通常の団信」と「ワイド団信」の毎月の支払額や総支払利息の違いは以下の通りです。

2,000万円の借り入れ(35年間返済・元利均等返済)の一例

条件年利毎月の支払額総支払利息
通常の団信(金利加算なし)2%約6万6,252円約782万5,840円
ワイド団信(金利加算+0.3%)2.3%約6万9,373円約913万6,660円
支払額の差+約3,121円+約131万820円

保険料分の0.3%の金利上乗せは毎月の支払額で見ると約3,121円と負担が少ないように感じるかもしれません。しかし完済までの総支払利息では約131万円もの差が出てしまうため認識しておきましょう。

現金購入:ワイド団信と組み合わせるのも手

団信に加入できないときの解決策の2つ目は、「ローンを利用せずに現金購入をする」ということです。現金比率を高めてローンで借りる額を抑えつつワイド団信を利用する方法も選択肢の一つになります。これによりワイド団信の割高な金利負担を緩和することが期待できるでしょう。

不動産投資を本気で考えたいなら、健康なうちにはじめるのが有利

このように団信と持病の関係を見ていくと「不動産投資は健康なうちにスタートするのが有利」ということが理解できるのではないでしょうか。「長期入院」「持病がある」という状態になってからの場合、ローンでレバレッジをかけて不動産投資をするのが難しくなります。厚生労働省の2007年に行われた「労働者健康状況調査」によると、高血圧症が持病と医師に診断された人の割合は29歳以下だと3%でした。

30代は7.9%と1桁ですが40代になると36.4%、50代は39.8%と急増しています。また年齢とともに割合が増えやすい持病は「高脂血症」「肝臓病」「心臓病」「糖尿病」などさまざまです。これらの結果に基づくと不動産投資をはじめたい場合、持病の少ない20~30代のスタートが賢明といえるでしょう。ただし40代以上であっても、持病がないのであれば不動産投資を十分検討することはできます。

先延ばしにしてしまって「あのとき不動産投資をはじめておけばよかった」と後悔しないようにしたいものです。(提供:Incomepress


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