かつては有力な投資先だったリゾートマンション。しかしバブル崩壊後のスキー系リゾートマンションは、スキーブームの終焉(しゅうえん)とともに価格崩壊が起きました。保養系と海外系リゾートマンションも、2020年には新型コロナウィルスの影響で窮地に立っています。そこで改めて確認されたのが居住用マンション投資の安全性です。本記事ではマンション投資の現状と安全な投資先について紹介します。
マンション投資にもいろいろある
マンション投資と一口に言っても「居住用マンションの一棟投資と区分所有投資」「リゾートマンション投資」など種類はさまざまです。リゾートマンションはさらに細かく分けると以下のようなものがあります。
・スキー場の周辺にある「スキー系リゾートマンション」
・風光明媚な観光地に位置する「保養系リゾートマンション」
・ハワイなどの「海外系リゾートマンション」
このうちリゾートマンションはさまざまな理由で運用のリスクが高まっています。
スキー系リゾートマンションはなぜ暴落したのか
スキー系リゾートマンションは、1980年代後半~1990年代前半にかけて起きたスキーブームに乗って開発・販売されました。1987年に制定されたリゾート法(総合保養地域整備法)によって、地方のリゾート開発に税制上の優遇措置が設けられ、政府系金融機関による低利融資も受けられることがその背景にあったといえるでしょう。その政策が後押しし、各地にスキー場が乱立する結果となりました。
その中の一つ、越後湯沢のスキー場でもバブル期が重なり、リゾートマンションがブームとなります。物件の中には、5,000万円以上という東京都心のマンション並みの価格もありました。それでもバブル期は「株も不動産も買えば上がる」という状態だったため、買い手があったのです。ところが運悪くスキーブームの終焉とバブル崩壊が同時期に起きてしまい、人気が離散し価格も大暴落となりました。
投げ売りしても買い手がなく、固定資産税だけ払い続ける「負動産」と化したのです。スキー系リゾートマンションは、スキーに行かなければほとんど意味をなさない性質の不動産のため、買い手が現れないのは当然ともいえます。ブームに乗って投資するリスクの大きさを示す典型的なケースといえるでしょう。
保養系や海外系リゾートマンションも窮地に
越後湯沢の例は極端ですが、保養系リゾートマンションと海外系リゾートマンションもコロナで大きな影響を受けています。外出自粛要請中や移動制限があるうちは、保養地へ行くこともままならない状態でした。外出自粛が解除後、日本政府は2020年7月22日から「GO TO トラベルキャンペーン」を実施しているものの、感染者数が増加傾向ということもあり旅行需要はなかなか回復しないのが実情です。
またハワイ(米国)やコートダジュール(フランス)などの海外リゾート地だけでなく、多くの国で感染危険情報4段階中のレベル3となっており、渡航中止勧告が出ています(2020年7月21日時点)。欧米地域は日本以上に新型コロナウィルスの影響が深刻なため、渡航禁止の解除にはかなりの時間を要する可能性があるでしょう。
海外メディア「HiCentral」の2020年6月の調査によるとハワイのコンドミニアム(マンション)の価格は42万1,500米ドル(1米ドル105円換算で約4,425万7,500円)と、前年比で-2.5%です。価格面では大きな下落とはなっていませんが、利用者がいなければ賃料収入が減るリスクに変わりありません。
はじめてのマンション投資は居住用マンションが安全
はじめてマンション投資をする場合は、どういったものに投資したらよいのでしょうか。最も安全性が高いのはやはり首都圏の居住用マンションです。リゾートマンションはなくても生活には困りませんが、自宅がなければ生活することはできません。いつの時代も居住用不動産の利用価値が変わらないのは、その性質が「生活必需」だからです。
もちろん経済状況の悪化によって「タワーマンションから一般のマンションへ引っ越す」ということもあるでしょう。しかし居住用不動産の需要自体には、それほど大きな変動は見られない傾向です。マンションオーナーになった場合に気になるのは「安定して家賃収入を得られるか」でしょう。空室リスクを減らすには、立地と周辺人口が重要な要素になります。
周辺人口が多く駅に近ければ、高い入居率が期待できるでしょう。その意味では東京23区を中心とした首都圏で、駅徒歩10分以内の物件を購入の目安にすると安全性が高いといえます。東京カンテイの「三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移」によると、2020年6月の首都圏マンション賃料は1平方メートルあたり前月比1.5%増の3,108円でした。
コロナ禍であるにもかかわらず5ヵ月連続で上昇しています。人気のあるハワイのコンドミニアムでさえ2.5%減少していることと比較しても、首都圏居住用マンションの強さが際立っているといえるでしょう。このようにはじめてのマンション投資の場合は、首都圏の居住用マンションで安定した家賃収入を得て、軌道に乗った後でポートフォリオを増やしていくのが安全な方法といえそうです。(提供:Incomepress )
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