不動産業界は手数料ビジネスであり業者は物件を売ることなどにより初めて利益を享受することができます。逆にいえば物件を売却しない限り利益にならないので彼らは必死に物件を売却しようとするでしょう。そのため時には買い手に伝えるべき情報を伝えずに売りつけたり虚偽情報を伝えて物件を売りつけたりする業者も中にはいるのです。

そのような業者もいるため、絶えずさまざまなトラブルが発生しています。ひどい事例になると投資家や消費者から預かっているお金を持ち逃げする業者も。お金を持ち逃げされた場合、その後の追跡が難しく泣き寝入りになってしまう可能性が高いのです。しかし宅建協会の制度でこのお金が戻ってくる可能性のある制度があります。

この制度を知っているか知っていないかでその後の不動産投資の結果が大きく変わる可能性もあるため、今回は不動産業者に騙されたときに利用できる保証金制度について解説します。

不動産業者にお金を持ち逃げされる代表事例の紹介

不動産投資
(画像=studio2013/stock.adobe.com)

不動産業者にお金を持ち逃げされる代表事例として挙げられるのが「手付金の持ち逃げ」「入居者家賃の持ち逃げ」です。「自分はお金の持ち逃げなんてされない」と思うオーナーも多いかもしれませんが油断していたり知識が乏しいとみられていたりすると十分ありえる話です。

一例として下記のような被害が実際にありました。三桁万円のレベルです。被害にあった経緯としては、以下の説明がありました。

  • 買付を入れていた物件を押さえておくために手付金を入れておいたほうが良いので手付金を入れておいて欲しい
  • その手付金は融資が通れば物件購入代金に充当されるし融資が通らなければ返金する

その不動産業者の担当者を信じていたこともあり指定の金額を送金しました。しかしその後融資が下りずに物件を購入できないことに。手付金を返金してもらおうと担当者へ電話をしてもつながらず、つながっても今返金の準備をしているという回答のみで実際に返金されない期間が続いたのです。その後あらゆるネットワークを通じてなんとかその担当者と会うことができました。

しかし担当者は「今後返していくつもりだが、今はお金がないので、1ヵ月1万円ずつ返金していく流れにして欲しい」とのこと。あまりにも信用できなかったのでその場で10万円を受領しその後1ヵ月に同額程度返金するようにと強く伝えました。結果的には、その件は逃げられて終わり、その担当者からの回収は10万円でフィニッシュとなったのです。

ネット上でその担当者の名前を調べると他にも被害に遭った人がいることが分かりました。手付金持ち逃げ以外にも担当者が経営していた賃貸管理会社に入ってくる入居者からの家賃を持ち逃げしているという被害も発生していることも発覚。実例を紹介しましたが「手付金持ち逃げ」「入居者からの家賃持ち逃げ」という話は、よく聞く話です。

最終的には相手を信じるしかないのですが、何かあったときにために「お金が絡むことは書面上に残す」「大事なことは音声記録する」という習慣はつけておくようにしましょう。

宅建保証協会で保証される制度及び自分の事例紹介

上記のような被害に遭った場合、宅建保証協会で、最大1,000万円まで保証される制度があります。簡単に説明すると宅建業者として登録するためには、宅建保証協会に一定の金額を預けることになっているのです。もしその業者がトラブルを起こした場合は、その預けた金額から被害を受けた人へ保証金が支払われる流れになっています。

ただこの制度の注意をしなければならない点は、以下の3つです。

  • 申請順で保証される
  • 最大1業者あたり1,000万円までしか保証されない
  • 申請したからといってすべて認可されるわけではない

そのため申請順位が遅い場合は、届出が認可されても1,000万円を申請順が早い案件で使い切ってしまったため、保証されないこともありえます。ここからは上記の実例ですが、手付金を業者へ送金したのは4月で被害に遭ったと認識し始めたのが6月下旬ごろ。また当時この制度を知らなかったとのことです。知り合いより紹介を受けた弁護士より上記制度があることを知り7月上旬に宅建保証協会に苦情届け出を行い10月に聴聞会へ出席したとのことです。

その後、宅建保証協会の案内によると「聴聞会から半年程度で結果が分かる」ということでしたが半年経過しても返事はなく結果的に結果が分かったのは、その次の年の3月ごろです。ということで2年弱待たされたわけですが行動が早く申請順位が2位だったため、保証金が認可され被害額が全額戻ってきました。

万が一の際にこういった制度があること、実際に自身でその制度の一連の流れを経験できたことは投資家として一つの財産になると考えているとのことです。もし同じような被害に遭った人がいる場合、その直後は精神的ショックを受けるかもしれません。このような事例もありますので宅建保証協会への苦情届け出だけは早めに行うよう強くおすすめします。(提供:YANUSY

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