コロナ禍に翻弄されるホテル産業の救世主として、「HotelTech(ホテルテック)」への期待が高まっている。

デジタルキーや顔・指紋認証技術を活用した、フロント不要の非接触型セルフチェックインは日本のアパレルホテルも導入を予定しているが、さらにその先を行くテクノロジーが続々と導入されている。

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(画像=vectorpocket / PIXTA / ZUU online)

コロナ時代の「HotelTech」 ゲストが重視するポイントは?

金融や不動産など他の多くの産業同様、ホテル産業でも過去数年にわたり、デジタル時代に対応可能なシステムへの移行が始まっている。

デジタル化のカギをにぎる「HotelTech」は、先端テクノロジーを活用することで業務の効率化を図り、革新的なサービスやシステム改革を通して顧客体験を向上すると同時に、ホテル産業全体の成長を促すという試みだ。

デジタル化への移行はパンデミックを機にさらに加速しているが、消費者がホテルに求める要素がビフォーコロナとは異なることが、様々な調査結果から明らかになっている。

例えば、英HotelTechスタートアップ、Critonが2020年2~8月にわたり合計約8000人を対象に実施した調査では、80%が「チェックインやチェックアウトが可能なほか、ホテルに関するすべての情報にアクセスできるアプリをダウンロードしたい」、75%が「ホテルはCOVID-19対策の清掃基準を明確にすべき」、73%が「客室のドアを開けることができるアプリをダウンロードしたい」と回答。

この調査結果が示すように、感染リスクを懸念するゲスト(宿泊客)を呼び戻し、損失の回復を図るためには、システムの効率化だけではなく、衛生・安全対策の強化と非接触型サービスの向上に重点を置いたHotelTechの活用法が求められる。

「HotelTech」 注目の3つの領域

多種多様なHotelTechが存在するが、コロナ時代の復興、そしてさらなる成長を懸け、以下の3つの領域が特に注目されている。

1 衛生・安全性対策の強化

本来ホテルにとって衛生管理は基本原則の一つだが、コロナを機に多くのホテルが新たな衛生基準を設定すると同時に、衛生と安全性対策をアピールするマーケティング戦略を前面に打ち出している。

現在最も注目を浴びているテクノロジーの一つが、日本でもテルモが独占販売権を有する、米XENEX(ゼネックス)が開発した紫外線照射ロボットだ。紫外線を室内に照射することで、感染率を50~100%下げる効果が期待できる。