最近都内の分譲マンションは、オリンピック効果もあり海外の投資家からも注目をされ始め、市場が活性化されてきています。そんな中、ご自身でマンションを購入して居住したり、投資目的で購入する人も増加しています。実際、建ててしまうと売却がしにくい一戸建てよりも、比較的売却しやすく値崩れしにくい分譲マンションの方が、若い人にも人気が出ています。ですが、分譲マンションは、普通の賃貸マンションとは違った所有形態ですので、購入する前にしっかりとした知識をつけておくことが重要です。そこで今回は、あまり知られていない分譲マンション特有の問題点について解説していきます。
分譲マンションの運営者は誰?
そもそも分譲マンションの管理運営は、誰が行っているのでしょうか。「管理会社でしょ」と思われた方も多いと思いますが、それは違います。「みなさん自身」なのです。つまり、購入した人たちみんなで話し合いながら運営していくのです。ですが、いきなり自分たちで運営しろと言われても、ほとんどが素人の集団ですから、普通に考えてそれは無謀と言わざるを得ません。ですから、それを助けるのが「管理会社」なのです。あくまで主体は、購入者全員で組織する「管理組合」であり、管理会社はその補助者に過ぎないのです。
構造上の問題点の事前確認が必要
マンションを購入後、時とともに劣化は進み、どこかのタイミングで「リフォーム」を検討することになります。また、人によっては中古マンションを購入後、すべて自分たちの思い通りに改装しようと考えている方もいらっしゃると思います。確かに、一戸建て住宅であれば、自己責任で法令の許す範囲で自由に改装することができますが、分譲マンションの場合は、簡単にはいきません。例えば、構造上有効な壁を撤去、移動するようなリフォームはできません。よく「壁をとっぱらって、広くしたい」と相談されることがありますが、構造上建物を支えている部分の壁は例え部屋の中であっても撤去できませんのでご注意ください。また、マンションの場合配管が床下に設置されていますが、いわゆる二重床になっていなければ配管を工事するのは極めて難しくなります。そのため大規模な間取りの変更は不可能です。さらに、フローリングを貼り替える場合でも、マンションによっては管理規約で、貼り替える場合の床材の指定が細かくされていることもありますので、十分注意が必要です。さらに古いマンションでは、今では想像ができないような複雑な配管になっていたり、天井に通っていることもありますので、購入後リフォームを考えている場合は、必ず事前にその工事が出来るかどうか確認しておきましょう
共同住宅という特徴に配慮が必要
マンションと戸建ての最大の違いは、単独で住むか、それとも共同住宅であるかという点です。戸建てであれば、ご近所に気を配る以外は、基本的には自由です。しかし、分譲マンションの場合はそうはいきません。いくら建築技術が発達したからといっても、お隣のお部屋とは「壁一枚」でつながっているのです。
特にリノベーションをする時は、事前に管理組合に届出を行い、マンション全体にお伺いを立て、工事の承認が降りたら、今度は両隣、上下階のお部屋に菓子折りをもって挨拶に行きます。大規模な工事になれば、数日かかりになることもあり、その間隣接するお部屋の方には騒音などで大きな迷惑がかかりますので、事前にちゃんとした配慮が必要です。最近では、リノベーションの際の騒音問題をきっかけに、ご近所トラブルに発展し、最終的にはそのマンションに居づらくなる、といった状況に陥ることもあります。
ですから、リノベーションをする際は、工事ができるかどうかの確認だけでなく、実施する際も細心の注意と配慮を忘れないようにしましょう。