金融庁は先月31日、令和2年度の新たな金融行政方針「コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く」を発表した。この中で、暗号資産、ブロックチェーン、CBDCなどについて触れた。

金融庁
(画像=月刊暗号資産)

金融庁が令和2年度の重要課題として取り上げたのは以下の3つ。

  • コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く
  • 高い機能を有し魅力ある金融資本市場を築く
  • 金融庁の改革を進める

ブロックチェーンについては1つ目の「コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く」の項で「デジタル技術を取り入れた顧客ニーズに応える金融サービス作りのほか、サイバー攻撃等の新たなリスクや気候変動などの国際的な課題に金融仲介システムが適合していくことも重要だ」と言及した。

また、ブロックチェーン等の分散型技術の金融システムへの応用について、「Blockchain Governance Initiative Network(BGIN)」の活動や「ブロックチェーン国際共同研究プロジェクト」を通じて国内外の議論を主導していくと強調した。

BGINは、金融庁やアイルランド財務省といった規制当局のほか、CoinbaseやKrakenといった暗号資産取引所などが参画し、分散型金融システムにおけるガバナンスを議論する国際ネットワーク。今年3月に発足した。

ブロックチェーン国際共同研究プロジェクトは、暗号資産取引のプライバシー保護と追跡可能性について国内外で調査研究を行うプロジェクトで、金融庁が主導して2018年に発足した。

そして暗号資産に触れたのは、2つ目の「高い機能を有し魅力ある金融資本市場を築く」の頁で、主に金融機関等のマネー・ローンダリング(資金洗浄)・テロ資金供与対策の高度化に向け、 関係省庁や業界団体等とも連携し、丁寧な顧客対応にも配慮しつつ、必要な対応を行うと以下のように言及した。

「マネロン・テロ資金供与対策に関する国際的な議論の中では、暗号資産やステーブルコインが論点となっている。金融庁が共同議長を務めるFATFコンタクト・グループにおける、暗号資産に係る新たな基準の実施、暗号資産・ステーブルコインについてのルールの追加等において主導的な役割を果たす」と説明した。

また金融庁は中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)については「クロスボーダー決済の高度化を進めるため、国際的な議論に積極的に参画・貢献していくと同時に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)についても財務省とも連携しつつ、日本銀行の検討に貢献する」と一定の評価をした。(提供:月刊暗号資産