他の投資家の声を聞く限り、2019年から2020年はかなり簡単に資産を増やせてる印象があります。

しかし、個人的には2019年も2020年も本当に投資が難しいとよく感じます。

将来の資産額が大きくなるように、今の手元の資金を適切な資産に配分するのが投資だと思っていますが、どの資産も長期的に見るとリスクまみれに見えるからです。

「投資とはリスクの見返りにリターンを得るのだから、リスクのない資産をなんてない。それが嫌なら投資をやめて、現金を持てばいい」と思われるかも知れませんが、それほど簡単な話でもなさそうです。

2020年から世界中が景気対策で現金の供給を増やしたため、現金ですらインフレで著しく価値を失うかも知れないリスクがあります。つまり、現金で持つことのリスクも考慮に入れて、相対的にリスク・リターンが良い資産を探す必要があります。

この記事では、2020年9月の時点で各資産に見え隠れている将来のリスクを列挙していこうと思います。

各資産のリスクのまとめ

  • 【米国株】:ハイテク銘柄を中心にやや割高。金融緩和のおかげで高い価格が維持されているが、もしも過去の10年の平均割高感(PER)まで株価が落ちるなら、理論上は35%近い株の下落が起こる。
  • 【米国債】:FRBの金融緩和のおかげで、あらゆる資産の中で最も割高。1980年代から価格が上昇し続けて、ついに利回りは限界のゼロに限りなく近づいた。今後価格の下落を始めたら、40年ぶりの長期トレンド転換が始まって下落が続く恐れがある。
  • 【社債】:FRBが買い支えているため、利回りが歴史的な低水準にまで買われて割高な状態にある。また、アメリカ企業の社債残高は対GDP比で過去最高。
  • 【ゴールド・不動産】:ゴールドは世の中のインフレ期待を受けて最高値圏にあるが、景気悪化の影響を受けた不動産はまだ最高値圏ではない。インフレが想定以上に進行しなかった場合にはゴールドも不動産も下落するが、株や国債よりはまだいくらかリスクは低そう。
  • 【現金】:世界中の国が赤字覚悟で景気対策をしたため、現金の価値が減るインフレがいまだかつてなく起こりやすい土壌ができている。

だいぶ悲観的な内容が並びましたが、2020年9月時点の私の考えではFRBが金融緩和を続けるかぎりは(&金融緩和をやめてもしばらくは)、米国株は上昇するとも思っています。

なのでしばらくは米国株は少しずつ買い増しをするつもりですが、金融緩和が終わった先の世界でどのような資産にいくら配分にするかは、だいぶ慎重に考えてから行動に移すことになりそうです。

高い価格がついている米国株

2020年の米国株は一言でいうと割高です。それでも、コロナショックにもめげすに最高値を更新し続けたのは、FRBの金融緩和が株価を支えたためです。

米国株のS&P500は通常なら企業の利益の15倍程度の株価(PER15倍)がついているのですが、2020年9月現在では企業利益の23.7倍がつくまで株価が高値になっています。

Investing.com
(画像=Investing.com)

PER23.7倍になっても、まだ株が大きく下落しないのはFRBの金融政策で金利が低く抑えられているためです。

もしも、金融政策が解除されて過去10年の平均のPER15倍まで株価が落ちるとなると、米国株は約35%下落することになります(35%も下落が起こるような場合には、FRBか政府が何か対策を打ちそうですが)。

つまり、FRBの金融政策が今後の米国株を大きく左右します。ただし、FRBもすぐにはゼロ金利政策をやめるつもりはないと公言しているので、まだ株への投資はしばらく続けられそうです。

6月時点のFRBメンバーによる金利予想のグラフ(以下図)を見ると、2022年まではゼロ金利が続きそうです。

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FOMC Participants' Assessments of Appropriate Monetary Policy:(画像=Investing.com)

この予想に反して金利引き上げが早期に実現される恐れがありますが、このゼロ金利などの金融緩和が続いているしばらくの間は、米国株は割高でもしばらく高い価格を維持すると思います。

もちろん、金融緩和が続いていても割高な個別株には手を出さないほうがいいのは、通常時と同様です。

40年続いた国債の価格上昇、歴史的な高水準にある社債

将来的にどこかのタイミングで株の下落が予想されるなら、株と反対の動きをしやすい国債を一部保有して株の下落に備えているのが長年投資家に支持されたセオリーです。

しかし、以下の長期間の国債の利回りのグラフから見ても判るように、国債は1980年代から40年間も利回りが下落(国債価格は上昇)を続けて、ついには終点のゼロ付近まで限りなく近づいています。

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長期国債利回り(画像=Investing.com)

40年間のFRBはインフレを抑え込んで、より積極的に低金利な政策を導入したことで国債は買われ続けてきましたが、その限界はかなり近づいているようです。恐らく、国債は他のどの資産よりも割高になっていて、いざその時が来たら長期で大きな下落が始まると思います。

また、FRBによって買い支えられているのは国債だけなく社債も同じです。アメリカ企業は低金利とFRBの買い入れを背景に歴史的に高いレベルにまで社債残高が膨らんでいます。

以下の記事は2020年3月に書いた社債バブルの懸念に関するものですが、今でこそ社債バブルはFRBの買い入れで阻止されているものの、アメリカ企業が景気回復と共に膨らんだ債務負担を健全に削減できるかにかなり注目しています。

相対的にはリスクは少なく見えるゴールドと不動産

お腹いっぱいになるくらい株と債権の悲観的な話をしましたが、これらに比べるとゴールドや不動産はまだ少しばかり気を緩められる余地があります。

ゴールドはインフレ予想が高まっているので歴代最高値にありますが、国債や株ほどの割高感はない認識です。また、不動産に関してはオフィス需要がコロナでダメージを負ったためか、まだ低迷中ですらあります。

インフレ率が思ったよりも上昇しないとわかれば、インフレ期待で価格をあげていたゴールドも不動産も価格が下落する恐れはありますが、インフレ率次第ではまだ上昇余地があります。

まとめ

さまざまな資産のリスクを確認してきましたが、リスクが現実のものになるかどうかのカギは「FRBの金融緩和の縮小」にあると思います。

個人的にはFRBの金融緩和が続く限り、まだ割安に見える一部の株をメインに、予定よりも早くインフレが到来する場合にも備えてゴールド・不動産にも投資することになりそうです。

景気が回復してインフレ率が上昇し始めた場合はFRBの金融緩和が縮小される思うので、そうなれば株の資金はゴールドや不動産に移行するのが良いかとも思っています。

もっとも割高に見えている国債には、まだ投資する予定はないです。(提供:Investing.comより)

著者:YUTA