ZUU onlineが開催している、『Withコロナ時代の「大」資本改革』をテーマにしたZoomによるウェビナー。7月30日、マーケットリバー代表取締役、元楽天IR部長の市川祐子 氏と株式会社マネーフォワード 取締役執行役員 CFO / マネーフォワードシンカ株式会社 代表取締役の金坂直哉 氏に、『【経営/IRch】マネーフォワード編/急成長企業のIR戦略と共感を生む対話』を聞いた。
※ 以下、市川氏・金坂氏談。7月30日開催のウェビナーの収録内容を書き起こし、4回にわたりお届けします
上場前に45億円!マネーフォワードの資本調達ストーリー
市川: 今日は私の方から大きく三つから四つくらい質問をしながら、金坂さんにスライドを使いながら株式市場との対話っていうことについてディスカッションするという形をとりたいと思います。事前に頂いている質問もあるようですし、それから途中でも先ほどご説明頂いた Q & A の機能を使って、どんどんインタラクティブにやっていけたらなと思っております。それでは、私の方から金坂さんに対して最初の質問です。
まず上場前のところからいきたいと思います。マネーフォワードさん2012年に創業して上場したのは2017年ですが、それまでに何回も実は(資金)調達していらっしゃいます。事業もどんどん拡大していっている中でいうと、どういう風に資本政策を考えていたのでしょうか。ひょっとしたら未上場のままずっと調達するってことも、あったのかしらと思いながらも、その辺りどういうふうに決めていったのか、CFOとしてそこをサポートした金坂さんにお聞きしたいと思います。
金坂:マネーフォワードは2012年に創業をしました。私が入ったのは2014年の5月頃だったんですけれども、それまでに、ここで言うとAとBのところですね、6億円弱の資金調達をしていたというような状況です。
左が売り上げのグラフなんですけれども、このBのタイミングでですね、まだ本当に家計簿アプリが世に出てユーザーが増え始めて、クラウド会計サービスをちょうどローンチするというタイミングで、ジャフコさんがまだほとんど売上がゼロみたいな会社に、、成長に期待していただいてバリュエーションを30億円ぐらいで5億円を出資していただいたというのが、最初の大きなファイナンスです。
そこから資金を使って積極的にマーケティング等のいろんな投資をしていって、2014年の12月に、このときプレで81億円くらいだったと思うんですけど、15億円の資金調達をしました。このグラフを見てわかる通り、当時売上がまだ8000万円弱ぐらいだったんですね、1年間で。バリエーションが81億っていうところで、VCの方々にそれは高すぎるんじゃないかっていわれることもあったんですが、ジャフコさんからはそれでもやるよという風におっしゃって頂けたのと、それに合わせていただけた共同投資家の方がたくさんいらっしゃったので、このような形で15億円の資金調達ができ、2015年以降の成長に積極投資をする上で非常に良かったというところです。
2015年、資本業務提携を結んでの出資が増加
2014年11月末の残高って1億9000万ぐらいまで下がっていて。バーンレートもそれなりに、月で数千万円くらいあったので、15億のファイナンスをした時は、結構ギリギリと言うとちょっと語弊がありますけど、半年分くらいのキャッシュとかはなかったような状態でしたね。それ以降は、何が起こるか将来的にわからないなかで、積極的に投資もしていきたかったので、例えば18か月分ぐらいのバーンレートに対するキャッシュは手元に持ちたいな、というようなことを考えてたりしていました。
2015年の9月10月のタイミングで、1年も経ってなかったですし、この15億も全然使い切ってなかったんですけれども、15億の追加のファイナンスをさせていただきました。バリエーションは少し上げて160億ぐらいだったと思います。
それくらいの水準になってくると、ベンチャーキャピタルの方々からするとちょっとバリエーション高すぎるというようなところもあったので、資本業務提携という形で、当然リターンはリターンで大事なわけですけれども、5倍10倍というレベルでなくても、出資して頂けるような事業会社さまであったり、あと商社でいうと三井物産さんとかどうそういった方々に、ご出資を頂いたという形です。
市川: なるほどなるほど。そうですね、VCもありますけど後半の方になるとビジネスパートナーも多いようにお見受けいたしますね。
金坂: そうですね。はい、まさに業務提携をしていた会社さんから出資をしていただいたりみたいなことが多かったですね。
上場前、2016年には金融機関との提携が多く
金坂:2016年9月は、これも上場前のラストファイナンスかなと思っていたので、かなり資金調達の金額を絞りました。提携先から見ていただいたらわかる通り、ほぼ金融機関さんですね。また1年後、9月に上場できたので、このタイミングで旧臨報方式での資金調達をしました。以上が、上場までのファイナンスということになります。
市川: 旧臨報方式ということは国内投資家に加えて、日本語での目論見書でのマーケティングも可能な、アジアやヨーロッパの投資家にもアクセス出来たっていうところが大きな違いっていうことでいいでしょうか。
金坂: そうですね、おっしゃる通りでそのタイミングで海外の投資家さんともコミュニケーションが始まったので、非常に良かったなという風に思っています。
市川: そうなりますと、その上場前の調達額が累計で44億円、上場後は珍しいと思うんですが海外公募がすでに3年間の間に2回。累計で143億という金額をセカンダリーマーケットで調達できていることを、(上場前後での)大きな違いだっていうふうに考えていいんでしょうか。