ZUU onlineが開催している、『Withコロナ時代の「大」資本改革』をテーマにしたZoomによるウェビナー。7月30日、マーケットリバー代表取締役、元楽天IR部長の市川祐子 氏と株式会社マネーフォワード 取締役執行役員 CFO / マネーフォワードシンカ株式会社 代表取締役の金坂直哉 氏に、『【経営/IRch】マネーフォワード編/急成長企業のIR戦略と共感を生む対話』を聞いた。
※ 以下、市川氏・金坂氏談。7月30日開催のウェビナーの収録内容を書き起こし、4回にわたりお届けします
IPO後も一貫したマネーフォワードの情報開示
金坂: (マネーフォワードのIR資料に関する前回のお話を受けて)この辺は最近のIR資料です。
2020年の開示だったりとか、今は使っていませんがこんなスライドも出しました。
市川: 今の資料と過去の成長可能性に関するIPOの時の資料を見ても、基本はそんなに変わってないかなっていう感じが前からしていて、それはやはり最初にIPOの時に一貫したメッセージを出そうとか、上場の前にこれは継続的に出そうっていうものはある程度経営陣で話し合っていたっていうことが大きかったんですかね?
金坂: そうですね。社長の辻と私、IRのチーム(経営企画のメンバー)でかなり議論して、どのレベルがIRっていう観点と経営戦略っていう観点で適切かっていうのを議論して決めましたね。毎回やっぱりこれ出すどれ出すとか、もっとここを見せた方がいいんじゃないかとか、いろんな議論は未だにありますけどね。
市川: それはそうですね。グループARR(Annual Recurring Revenue、年間経常収益)が79%増(前年同期比)ですからね、これを出そうよっていう風になりますよね。
金坂: そうですね、はい。
子会社の社長に就任後、2回目のCFOに
市川: では、次の質問に行ってもいいですかね。今度は金坂さんご自身への質問です。
市川: 去年の段階で一度、マネーフォワードシンカの代表取締役社長がメインになって、また今年の7月にマネーフォワード本体のCFOにまた戻られた今、株式市場との対話をどういう風にやっていこうという風に思っていらっしゃるのか、そこをちょっと教えてください。
金坂: そうですね、そんなに前回と変わらないかなあと思っています。ただ、IPO直後っていうのは、まだ僕らも全然、コミットした数字を達成して開示するっていう実績ができていない状態だったわけですが、それが2017年、18年、19年と3年できています。今年は4年目になるわけですけど、そういう信頼関係を大事にしていきたいなと思っています。投資家の方と3年、4年継続的にお話しさせて頂いていると、思い入れが強くなってくるというと語弊があるのかもしれないですけど、たまにキャリア相談もされますね。
市川: わかります、私もあります。同志みたいな感じになってきますよね。もともと市場の側、証券会社にいらっしゃったので次の質問にも関連するんですけれども、金坂さんご自身のキャリアがどんどん変化していく中で、資本市場の対話っていうのが、より深まるというか多面的になってきたのかなーってなんとなく推測してるんですけれども。
金坂: そうですね、本当に自分で仲間と一緒に会社をゼロから作って、いろんなビジョン・ミッションを固めてビジネスモデルを一緒に作って、お客様にアプローチして実際にプロジェクトサポートしてみたいなサイクルをゼロから作ったのはすごくいい経験になりました。というか、今もやっているのでなっています。あとはやっぱりすごく代表っていうのは本当に大変なんだなあというのが分かりました。
クライアントの多くはスタートアップの経営者で代表の方が多いので、そういった方の困っているテーマの相談に乗らせてもらえて、ソリューションが見えてすっきりしたとか、良い方向に向かっていますと言っていただけたり。
今だと採用支援みたいなものに結構力を入れています。やっぱりスタートアップって本当に人が全てだなぁと思っていて、(市川さんの著書の)『楽天IR戦記』にもあったように、楽天さんも内部統制がまだまだ弱かったというところから、どんどん良い方を採用しているみたいなところが僕らも全く同じです。
金坂: 上場する数年前は何もなかったですし、そこまでみんなが頑張って上場するときに結構強くなって、でも今はもっと強くなっているので、そういった形で強くなっていくのは本当に大事だなと思います。自社でも思うし、クライアントの会社でも必要な人材が取れるっていうのは、すごく大事なことなので、色んな方と会ってやっぱりカルチャーとか人の性格とか思考とかを見ながら、いいご紹介ができて決まるとものすごく感謝していただけるので、それは大事だなと思ってますね。
市川: はい、マネーフォワード社長の辻さんやIRの方など、何人かはお会いしたことあるんですけれども、すごく優秀な方が多くて本当にいい人を揃えているんだなーっていう風に思いました。そうすると、やっぱり投資先にも良い人を取るために紹介してあげなきゃっていう感じになるんですかね。
金坂: そうですね、本当に一人で大きく変わるというか、本当に成長スピードとかもやっぱりすごいなと思いますね。元々うちのIRをやってるメンバーももともと会計士だったのでIR未経験でうちに来てくれて。1年間上場準備をやり、いざ上場するとき、IRって誰がやるんだっけと……。あなたがやってください、お願いします、みたいな。
「全然できると思うよ」っていうことで、本当にゼロから作ってもらっていろんな先輩方に教えてもらいながら、どんどんどんどん上手くなって強くなって信頼されるようになってるかなと思うので、成長スピードというか学びのスピードがすごく大事なんじゃないかなと思いますね。
投資家とのコミュニケーションで重視しているポイント
斎藤(司会進行): お話ありがとうございます。たくさんの参加者の方からご質問が入ってきました。
市川: そうですね、今新規事業の話が少し出たので、それに関連する質問です。ファンドだったり、それから人材紹介など新領域への進出もされている中で、IR 戦略というか投資家のコミュニケーションっていうのは、どういうふうに重視しているのか、そこをちょっと教えていただけますか。
金坂: 決算説明資料は、結構多くの方に見て頂いてるなという風に思っています。やはり新しく始めた取り組みは皆さんに知っていただいて、もし興味があれば使って頂きたいので、本当に積極的に載せるようにしています。一方でIRをしていると、じゃあこれでどれぐらいのインパクトなのって話しになるので、あまりそこは新規事業って本当にやってみないと分からないので、まだあまり期待をしすぎないようにしっかりコミュニケーションをすることが多いですね。
市川: あと、IR関連の質問が二つあって、まず体制の方から。マネーフォワードさんのIR体制について興味を持ちました。人数とかバックグラウンドについて、ちょっと教えていただけますか。