ZUU onlineが開催している、『Withコロナ時代の「大」資本改革』をテーマにしたZoomによるウェビナー。7月30日、マーケットリバー代表取締役、元楽天IR部長の市川祐子 氏と株式会社マネーフォワード 取締役執行役員 CFO / マネーフォワードシンカ株式会社 代表取締役の金坂直哉 氏に、『【経営/IRch】マネーフォワード編/急成長企業のIR戦略と共感を生む対話』を聞いた。
※ 以下、市川氏・金坂氏談。7月30日開催のウェビナーの収録内容を書き起こし、4回にわたりお届けします
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副次効果もある社内IR
金坂: ちょっと思い出したんですけど、IRって当然社外の投資家さんがメインなんですけど、社内のメンバーにもどういう意識でこういう風に出したとかっていうのをしっかり説明していくことが僕はすごく大事だなと最近思っています。IRの決算発表の翌日か、もしくは翌々日とかに僕が社内で今回の件について話すっていうのを1年、2年くらい前からやっているんです。ベトナムの拠点があって、海外のメンバーも増えてきたんで、明日はじめて英語版でそういったセッションをやろうかなと思ってるんですけど、僕よりIRのメンバーの方が英語得意なんで、振ろうと思っています。
市川: そうなんですか。おっしゃる通りで社内のコミュニケーションは、社内IRともいいますけれども、非常に効果的で、まず営業部門はともかく、割と外からどう見られてるか知らないっていう一般社員の方ってすごく多いんですよね。
新聞にはこういうふうに出てるんだけど本当はどう思われてるんだろうみたいなことはまず情報として知っていたいですし、あるいはマーケットからのフィードバックの中には競合他社、まあ直接の競合ではなかったとしても、SaaSのこういう潮流があってその中でどういう風に見られてるかっていうのはすごく社員にとっても勉強になりますよね。また、そういうのをやるとですね、そのあとIRにすごく協力してくれるっていう副次効果もあって、すごくやった方がいいかなという風に思います。
金坂: そうですね、あとはやっぱり社員にできれば従業員持株会とかにも入って欲しいというのは思いますね。
市川: マネーフォワードさんは、譲渡制限付株式(RS、Restricted Stock)を社員に対して出していらっしゃるんですね確か。
金坂: RSも出していますね、あと持株会の仕組みもあります。
市川: なるほど。参加者の方からの質問が溜まってきたんですけど、金坂さんがIRにおいて、参考にしている企業はいらっしゃいますか。
金坂: IRというよりは経営においてみたいな感じになるかもしれないですけど、よく見るラクスルさんとSHIFTさんはすごく勉強になりますね。
市川: どちらもそうですよね、私もよく見ます。じゃあ大企業っていうよりはやっぱりちゃんと成長企業でというところをよく見てるっていう感じですかね?
金坂: そうですね。IRにせよ意思決定にせよ、ファイナンス戦略にせよ、すごくクリエイティブだなと思っています。あと、Uzabase(ユーザベース)さんもすごい見ますね。
会社事業規模に対しての適正なIR担当者の数は?
市川: 私への質問なんですが、IR部門は会社事業規模に対してどのぐらいの体制が最適か。えーとですね、まず世の中の平均をみていくと、日本ではIR担当者の平均っていうのは二人ぐらいです、上場会社全部っていうと。新興市場に上場している企業ですと、兼任なので0.5人から2人ぐらいが多くてですね、一部上場企業になって時価総額が1兆円とか数千億円とかになったりすると3人とか5人とか、多いところは10人近いところもあります。事業規模もあるんですが事業の種類が結構大きいかなあと思います。
楽天なんかは事業の種類が多いのと、金融事業の数も多くてそれぞれ違った収益構造だったりしますので、そうなるとちょっと多くなると。あとは海外株主が多いと(多くなる)。マネーフォワードさんでも今すごく海外株主増えていらっしゃいますけれども、海外株主に対してどういう風に説明していくか、日本語と英語をどうコミュニケーションを合わせていくかっていうところでいうときちっとFAQを揃えておくとか、そういう(業務が増える)意味では少し人数が多くなるのかなという風に思ってます。
金坂: ちなみに、FAQとかQAって作られたりするじゃないですか。三木谷さんとか(当時の)CFO山田さんとかは、結構見て頭の中に入れてちゃんとその通りやってくださるんですか?
市川: 三木谷さんは3つぐらいしか見ないので、3つぐらいにまとめると見る。で、それだったら全部やってくれる。頭に入ったやつは必ずやってくれるんですけども、頭に入るのって直前にエレベーターに乗りながら見せるものぐらいしかないので、その状況で頭に入るものに限る。
CFOクラスでいうともう少し多くて、四半期の質問が来た時もどういう風に答えるかとかですね、キーとなる事業動向についてもどう答えるかっていうところは、以前、私が楽天にいた時はかなり事前に打ち合わせをしたので、多分20問、30問ぐらいは頭に入ってたんじゃないかなという風に思います。
チーム全体では結構分厚くて全部やってくと100とか200とかになっていくので、これをどう減らすかとか、どこをどう覚えるかみたいなことになっていましたって感じですかね。
コロナによる決算への影響について
市川: ちょっと盛り上がってますけれども2つありまして、最初に頂いていた質問、マネーフォワードさんがベンチマークにされている企業と、気になった企業。でもさっきこれおっしゃいましたね、ラクスルとシフトという風に。
金坂: そうですね、とくに最近はコロナの影響がすごくいろんな企業の業績にものすごくダイレクトに影響していて、IT業界であっても。なんで、すごい面白いというとちょっと怒られちゃうかもしれないですけど、世の中で何が起こってるかを知る上でいろんな会社の決算も結構見てますけれども。
市川: そうですよね、面白いですよね。さっきあったラクスルとSHIFTは私も見ていますけど、大企業でいうと日立さんの開示がものすごくて、新興市場の人は真似するのが難しいぐらいめちゃくちゃすごかったんです。ROIとか事業別に出していて、それはすごいなと思いました。
良いIRチームの作り方とは
市川:あとちょっと事前質問があったんですけれども、良いIRチームの作り方・メンバーの育て方とかありましたか?