本稿では、CBDCがもたらす地政学的影響を踏まえて、今週発表された各国での取り組みについて解説していきます。

  • 欧州中央銀行(ECB) タスクフォースのCBDC調査結果を踏まえた公開協議の実施を予定

  • デジタル人民元 詳細な分析によるウォレット設計が明らかに

  • マスターカード CBDC実証プラットフォームについて

ドイツの分散型技術市場の調査会社であるdGenは、レポート「CBDC:主要なデジタル通貨の地政学的影響」を発表しました。

STOnlineより
(画像=月刊暗号資産)

・デジタル人民元の普及によって、世界の通貨シェア第2位であるユーロの地位が脅かされる可能性
・そのため2025年までにデジタルユーロを発行する必要がある
・CBDCの採用は地域や世界の貿易に大きな影響を与える
・デジタルドルが発行された場合には中小国はデジタルドルへの切り替えを検討する
・2030年までに、世界で3〜5か国が通貨をCBDCに完全に置き換える

レポートでは、ヨーロッパでのデジタルユーロがもたらす影響力など今後10年間でCBDCによってどのような変化がもたらされるのか、詳細な調査報告がなされており、経済大国がCBDCをめぐって争う5年から10年の間に、ステーブルコインを含む他の民間が開発する通貨が有力な決済手段として利用が広まる可能性も示唆しています。

目次

  1. 欧州中央銀行(ECB) タスクフォースのCBDC調査結果を踏まえた公開協議の実施を予定
  2. デジタル人民元 詳細な分析によるウォレット設計が明らかに
  3. デジタル人民元 詳細な分析によるウォレット設計が明らかに

欧州中央銀行(ECB) タスクフォースのCBDC調査結果を踏まえた公開協議の実施を予定

STOnlineより
(画像=月刊暗号資産)

欧州市場ではCBDCを巡って、欧州中央銀行(ECB)の対応の遅れを指摘する声もあり、地政学的な観点からより危機感を持って取り組みを進める必要があるとされています。

世界外貨準備高を比較すると、米ドル6.8兆ドル、ユーロ2.2兆ドルに対して人民元は2,110億ドルであることからその影響力は今のところ小さいとも考えられますが、技術的進化への対応が遅れることで、将来的には国際秩序に大きな影響が及ぶことも想定しなくてはなりません。

新興国への投資をSWIFTを介さずデジタル人民元を利用して中国が行う可能性など、幅広い分野で商用化への取り組みが進んだ場合には、ユーロの世界通貨シェアにおける地位が脅かされる可能性についても多くの議論が必要であると言えます。

欧州中央銀行(ECB) ラガルド総裁は、欧州が世界的な変化に取り残されないようにするため、デジタルユーロの必要性を協議することが重要であるかもしれないとしており、「世界中の他の多くの中央銀行と同様に、CBDCのメリット、リスク、および運用上の課題を模索しています」と語っています。

デジタルユーロの発行によって、金融取引の効率改善など欧州がイノベーションの最前線で取り組みを進めることのできる可能性がある一方で、そのリスクや課題についても欧州中央銀行(ECB)は検討しなくてはなりません。

ラガルド総裁は、今後数週間でタスクフォースの調査結果が公開され、公開協議が開始される予定であるとしており、欧州中央銀行(ECB)による実現可能性の検証がデジタルユーロの未来を左右することとなりそうです。

デジタル人民元 詳細な分析によるウォレット設計が明らかに

STOnlineより
(画像=月刊暗号資産)

欧州市場ではCBDCを巡って、欧州中央銀行(ECB)の対応の遅れを指摘する声もあり、地政学的な観点からより危機感を持って取り組みを進める必要があるとされています。

世界外貨準備高を比較すると、米ドル6.8兆ドル、ユーロ2.2兆ドルに対して人民元は2,110億ドルであることからその影響力は今のところ小さいとも考えられますが、技術的進化への対応が遅れることで、将来的には国際秩序に大きな影響が及ぶことも想定しなくてはなりません。

新興国への投資をSWIFTを介さずデジタル人民元を利用して中国が行う可能性など、幅広い分野で商用化への取り組みが進んだ場合には、ユーロの世界通貨シェアにおける地位が脅かされる可能性についても多くの議論が必要であると言えます。

欧州中央銀行(ECB) ラガルド総裁は、欧州が世界的な変化に取り残されないようにするため、デジタルユーロの必要性を協議することが重要であるかもしれないとしており、「世界中の他の多くの中央銀行と同様に、CBDCのメリット、リスク、および運用上の課題を模索しています」と語っています。

デジタルユーロの発行によって、金融取引の効率改善など欧州がイノベーションの最前線で取り組みを進めることのできる可能性がある一方で、そのリスクや課題についても欧州中央銀行(ECB)は検討しなくてはなりません。

ラガルド総裁は、今後数週間でタスクフォースの調査結果が公開され、公開協議が開始される予定であるとしており、欧州中央銀行(ECB)による実現可能性の検証がデジタルユーロの未来を左右することとなりそうです。

デジタル人民元 詳細な分析によるウォレット設計が明らかに

STOnlineより
(画像=月刊暗号資産)

マスターカードは独自仮想テスト環境である「CBDC実証プラットフォーム」の提供を発表し、中央銀行、商業銀行、技術会社はこのプラットフォームによって、技術設計の評価やユースケースの検証を行うことができます。

仮想テスト環境でのCBDCの発行から取引までのシミュレーションは、銀行や一般市民が実際の利用を行う場合の既存決済システムとの相互運用性も検証することができ、マスターカードは実用的で安全かつ安全なCBDC開発をサポートします。

官民連携によって、中央銀行はCBDCの可能性と利用可能な機能の範囲をよりよく理解することができ、今後の利用機会について洞察を得ることで、さらなる可能性の探究とリスク分析を実現します。

現在のところ実際に中央銀行が、商業銀行や認可を受けた決済関連企業を通じてCBDCを発行し、流通させるといった取り組みは行われておらず、マスターカードが提供する「CBDC実証プラットフォーム」は、設計と運用に関するシミュレーションテストを通じて実現可能性の判断を迅速化させ、中央銀行の意思決定をサポートします。

マスターカードの「CBDC実証プラットフォーム」を利用する中央銀行はまだ明らかにされていませんが、潜在的な運用モデルを実証できる仮想テスト環境はCBDCの発展を大きく前進させることでしょう。(提供:STOnline