国内暗号資産(仮想通貨)取引所Zaifを運営するFISCO仮想通貨取引所は16日、大手暗号資産取引所Binanceに対し、マネーロンダリング幇助における損失の支払いを求め提訴したことを公表した。

FISCOは明言していないものの、過去にZaifで盗まれた資金のうち一部がBinanceを経由してマネーロンダリングが行われたとし、Binanceがこれを幇助したと主張してカリフォルニア州北地区裁判所に訴状を提出したとみられる。

裁判
(画像=月刊暗号資産)

事の発端は2018年にZaifで発生したハッキング事件で、当時の評価額で約6,000万ドル(約66億円)分の暗号資産が盗難被害に遭った。

当時Zaifはテックビューロ社が運営していたが、ハッキング事件直後にFISCOに経営支援を求め、FISCOが資金を失ったユーザーに被害額の補填をしている。

その後、当時FISCOが運営していた取引所とZaifは今年2月に統合した。

訴状によると、盗難にあったのは暗号資産ビットコイン(BTC)2,800万ドル相当であったが、その内1451.7BTC(当時約10億円)がBinanceでマネーロンダリングが行われたとし、損失額の支払いを求めている。

またBinanceに対して、KYCやAMLが業界標準に達しておらず、対策が甘いと指摘している。

Binanceは1日の取引額が2BTC以下であれば、本人確認などの情報が不要で口座開設が可能だ。ハッカーはこのBinanceのポリシーを利用して大量の新規口座を作成し、細かく取引する事で本人確認を逃れていたとFISCOは訴状の中で述べている。

FISCOは取引所から盗まれたBTCがBinanceに送金されていることを通知していたとも主張しており、不正なBTCが送金された事実を知っていたにも関わらず、故意または過失によりマネーロンダリングを止めなかったと主張している。

併せて、訴状ではハッキング被害にあった暗号資産のうち4,100万ドル相当は米国内のZaifユーザーのものであったと指摘し、Binanceのインフラがカリフォルニア州に集中していることなどから、訴訟の整合性を主張した。

なお、現在Binance側から今回の件に関して発表はされていない。(提供:月刊暗号資産