(本記事は、井上 達也氏の著書『起業を考えたら必ず読む本』の中から一部を抜粋・編集しています)
資金繰り問題の先手を打つ
信金や地銀に個人口座を作ったり、創業資金の相談に行った方は、来るべき資金繰り問題に先手を打ちましょう。
借りられるお金は、まず借りてしまうのです。
大赤字で資金繰りに窮した会社には誰もお金を貸してはくれません。あなたもお金を返してくれるかどうかわからない友達にお金は貸しませんよね?
それに、今は金利が相当安いですから借りておいたほうがお得です。融資の相談に行くと信用保証協会を通す形になりますので、保証料を支払わなければなりませんが、それでもトータルの支払額は相当安いはずです。
ただ普通の融資は1回目の決算が終わるまで、つまり設立後1年間はお金を貸してくれない場合もあります。起業時にはまずネットで地域の創業融資を検索してみてください。
ちなみに、いくらぐらい貸してもらえるのか、気になりませんか?
それは事業内容にもよりますが、目安として、自己資金の2倍程度です。つまり150万円の自己資本があれば、300万円程度の融資を受けることができます。
ただここで重要なことをひとつ。もし自分がサラリーマン感覚からまだ抜け出していないのならば、お金を借りないことです。単純に借りた分のお金が生活費としてなくなるだけで、事業が大きくなることはありません。そしてその後、返済地獄がやって来ます。
これは、資金が尽きそうになった時の話です。
私がまだサラリーマン感覚から抜け出ていない時に、銀行から300万円のお金を借りました。半年すぎたあたりでまた資金が尽きそうになり、そこでまた銀行から300万円を借り、3か月後にまた資金が尽きそうになりました。今度は300万円の融資依頼をしましたが、200万円しか借りられず、そしてこの200万円はたった1か月でなくなり ました。資金がなくなるスピードは加速していくのです。なぜかというと、最初に借りたお金の返済があるからです。
結局、月々の支払いがどんどん大きくなっていき、大した利益もないのに私は毎月15万円も支払うことになりました。毎月返済に追われる毎日です。創業時は本当に銀行にお金を返すためだけに働いた5年間でした。
株式会社日本デジタル研究所(JDL)を経て1991年に株式会社セイショウシステムテクノロジー(現、フリーウェイジャパン)を設立。
同社は、クラウド業務系システムを開発・提供しており、そのユーザー数は11万を超える。
ベンチャーキャピタルからの出資なしで事業を拡大できたのは、著者の斬新な戦略発想に依るところが大きい。
その力を頼って、上場企業を含めた様々な業界の経営者から相談されることも多く、積極的に他社を支援している。
無類のお酒好きで、Facebookなどを通じて読者と交流するなど、多様な面を持ち合わせている。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます