株式投資、いわゆる「株」は多くの人にとって身近な投資方法ですが、いざ始めようとすると数十万円といったまとまったお金が必要になるため、気軽に始めるには少しハードルが高いかもしれません。そこで今回は、少額からでも株に投資できる方法と、それを行う際におすすめの証券会社を5つご紹介します。

株の少額投資とは?

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(画像=PIXTA)

少額からでも株に投資できる

「A社の株価が5,000円に下がった」「B社の株価が8,000円を超えた」といったニュースを見たことがある人は多いでしょう。通常の株式取引では「1株だけ買う」ということはできず、売買単位が決まっています。これを「単元株」と言います。

以前は単元株を会社が自由に決めることができましたが、2018年10月からは100株に統一されました。つまり1株5,000円のA社の株を買う場合は、最低100株分の50万円が必要になります。

この単元株によって「株式投資にはまとまったお金が必要」と思われているのですが、中には少額から買える株もあります。それが「単元未満株」と「ミニ株」です。

単元未満株

「単元未満株」とは単元株にこだわらず、より細かい単位で購入できる株のことで、1株から購入することができます。

ミニ株

「ミニ株」も単元未満株と同じような意味でよく使われます。単元株より細かい単位で株を買える点は同じですが、単元未満株では1株から購入できるのに対し、ミニ株では1単元の10分の1、つまり現在は10株から購入できる点が異なります。

各証券会社では、少額からの株式投資の手段として単元未満株またはミニ株の仕組みを導入していますが、現在は単元未満株を導入している証券会社が多いです。

株の少額投資ができるおすすめの証券会社5つ

ミニ株や単元未満株は、証券会社によって「ワン株」「S株」「プチ株」などの名称でサービスが提供されています。2020年7月現在、単元株未満で株を買えるおすすめの証券会社のサービス名と手数料は以下の表のとおりです。

表.少額投資ができるおすすめの証券会社5選

証券会社名 サービス名 取引手数料(税抜き)
マネックス証券 ワン株
(単元未満株)
約定代金の0.5%
(最低手数料48円)
SBI証券 S株
(単元未満株)
約定代金の0.5%
(最低手数料50円)
SMBC日興証券 株式ミニ投資
(ミニ株)
約定代金2,000円以上:700円
約定代金2,000円未満:約定代金の2.3%
auカブコム証券 プチ株
(単元未満株)
約定代金の0.5%
(最低手数料48円)
SBI
ネオモバイル証券
ネオモバ
(単元未満株)
月間の約定代金合計額50万円まで:200円

マネックス証券:ワン株

マネックス証券が提供している単元未満株「ワン株」の特徴は、何と言っても取引手数料が安いことです。約定代金に対する手数料率が低いだけでなく、最低手数料も48円と業界最安値です。

SBI証券:S株

S株の手数料も非常に安いですが、同じSBI証券グループのSBIネオモバイル証券で「ネオモバ」というサービスが始まり、単元未満株の取引を頻繁に行う場合は「ネオモバ」のほうが手数料はかなり安くなります。

SMBC日興証券:株式ミニ投資

SMBC日興証券は、今回紹介する証券会社の中で唯一「ミニ株」を取り扱っています。取引手数料は比較的高めですが、10株単位で売買ができ、対象銘柄数も約2,100本と業界トップクラスです。

auカブコム証券:プチ株

auカブコム証券の特徴は、マネックス証券と同水準の安い手数料です。株を1株単位で自動積立できる「プレミアム積立」というサービスもあり、このサービスを利用すると毎月500円以上1円単位で積み立てをして株を買うことができます。プレミアム積立では、買付手数料は無料です。

SBIネオモバイル証券:ネオモバ

SBIネオモバイル証券が提供する「ネオモバ」の最大の特徴は、取引手数料が月間の約定代金に応じて変わることです。例えば、月間の約定代金合計が50万円以下の場合、手数料は200円です。

Tポイントとの連携も良く、Tポイントを使って株が購入できるほか、期間固定Tポイント200ポイントが毎月還元されます。

株で少額投資をするメリット

単元未満株やミニ株といったサービスのおかげで、まとまったお金がなくても少額から気軽に株式投資を始めることができます。投資初心者にとっては、少額投資によって分散投資がしやすくなることも大きなメリットでしょう。

株価は会社の業績などによって変動し、その会社が倒産すれば価値はゼロになります。例えば手持ちのお金が30万円しかないと、単元株では買える銘柄数が限られますが、単元未満株であれば多くの銘柄に分散投資ができます。単元未満株であっても、保有株数に応じて配当金を受け取ることができます。

株で少額投資をするデメリット

単元未満数やミニ株には少額から株式投資ができるというメリットがありますが、株式投資のメインはやはり単元株での売買です。少額から取引できる証券会社が限定されていることや、取扱銘柄が少ないことはデメリットと言えるでしょう。

これから少額で株を始める人は、始めから少額投資ができる証券会社を選べばいいのですが、すでに株式投資を始めている人は、現在利用している証券会社に単元未満株やミニ株がなければ、別の証券口座を開設する必要があります。

また単元株未満でも配当金は受け取れますが、株主総会での議決権はなく、株主優待もほとんど受けられないことに注意してください。

株の少額投資ならNISAも選択肢に

NISAという制度をご存じの方は多いでしょう。NISAでは新規投資額で毎年120万円まで、株式や投資信託などへの投資から得られる配当金・分配金や譲渡益が非課税になります。例えば、100万円で買った株が200万円に値上がりした場合、本来は100万円の利益に対して20万3,150円(20.315%)の税金がかかりますが、NISAでの取引であれば100万円をそのまま受け取れます。

NISAと単元未満株などの少額投資は、実は非常に相性が良いです。1万2,000円を超える株は単元株では120万円を超えてしまうためNISA口座では買えませんし、単元株で80万円分の株を買ってしまうと、残りの40万円の非課税枠を使うには100株で40万円以内の株から選ぶことになるため、選択肢が限られてしまうからです。

NISA口座で単元未満株を利用すれば、「120万円の範囲で数銘柄を組み合わせる」のではなく「銘柄を自由に組み合わせて120万円分選べる」という買い方ができます。

すでにNISA口座を活用していて、その年の非課税枠が残りわずかであっても、単元未満株であれば残りの枠を有効に使えるでしょう。

投資ではタイミングが大切なので、NISA枠を利用するためだけに投資をするのはおすすめできませんが、残った非課税枠を有効利用する手段として、単元未満株という選択肢があることは覚えておきましょう。

少額投資を利用して気軽に株を始めてみよう

株式投資に興味があっても、1社の株を買うのに10万円必要となれば、なかなか気軽に始めることはできないでしょう。しかし、証券会社によっては単元未満株やミニ株など少額で株式を買えるサービスがあり、数千円、数万円あれば株式に投資することができます。

数千円であれば失敗しても勉強代と思えますし、実際に投資を始めてみるといろいろな分野に興味が広がるはずです。今回ご紹介したサービスで気になるものがあれば、ぜひ利用してみてください。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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