(本記事は、小杉樹彦氏の著書『世界一わかりやすい 20秒プレゼン実践メソッド 特別講義』秀和システムの中から一部を抜粋・編集しています)
EP発祥の地、シリコンバレーの実態
プレゼン教育の中でもとりわけ、EPが重要視される理由。
それはEPがプレゼン、否、あらゆるコミュニケーションの基礎に当たること、そして、基礎を徹底することにより、「不可能を可能に」することができるからだ。
具体的に説明しよう。
まず、EPがあらゆるコミュニケーションの基礎に当たるという点についてである。
EPは次のような観点から最もシンプルな意思伝達手段であるといえる。
□相手が初対面でも活用可能 □「伝わる」ことが第一目的 □20秒程度の最短時間で実践
次に、EPの効力という点についてである。
そもそもEPとは、圧倒的に不利な状況から、短時間で奇跡の大逆転劇を起こす方法論だ。
障壁が高いと思われるシーンでこそ、存分に効力を発揮する。
もともとEPは、起業家のメッカである米国シリコンバレーで生まれた。
EPを直訳すると、「エレベーター内で強力に売り込む」という意味になる。
由来は起業家がエレベーターの中で投資家と遭遇したときに、目的の階に到達するまでの20秒足らずの間で、自身のビジネスプランをプレゼンしたことから、そう名付けられたといわれている。
今もシリコンバレーでは日常茶飯事にEPが行なわれている。
EPができない起業家は生き残れないとさえいわれている。
私もEPと出逢ってから、特にビジネスの可能性が大きく広がった。
ここでは私自身のいくつかの事例を紹介しよう。
●大学在学中に学参書を商業出版 ●テレビ出演、雑誌取材の依頼殺到 ●29歳で大学客員教員に招聘 ●年商100億円企業と事業提携
これらは「カネなし」「コネなし」「実績なし」からのスタートだった。
すべて本当の話である。
一般的な20代では考えられないビジネス展開といえるだろう。
しかし、EPの魔力を示す例としては、ここで挙げた事例はほんの一部である。
ここでは紙面の都合上、そのすべてをお伝えすることはできないが、こうしたエピソードは、私以外にも枚挙に暇がない。
なぜ、今EPなのか?
では、なぜ、今EPを修得すべきなのだろうか?
その理由は大きく3つある。
1つ目に、インターネットの普及により、情報が氾濫しているからである。
現代は明らかに情報過多だ。
受け手は、情報を選別するだけでも一苦労である。
そんな中、EPはプレゼンの「究極系」ともいえる。
結果を出すためのEPは極限まで無駄を省き、研ぎ澄まされている。
一般的なプレゼンと違い、練りに練られたEPを数十秒の中に凝縮させる。
具体的には、EPなら必要かつ重要なことだけをまとめても、正直20秒もあれば十分だ。
それでいて、相手に対して確かな情報を伝えることができる。
情報の正確性、信頼性なら他のスキルの追随を許さない。
2つ目に、口頭によるコミュニケーションが減少化しているからである。
例えば、一昔前までは小学校を休むときには、当日の朝礼前までに保護者が電話で先生に連絡をしたものだ。
しかし、今ではメールで連絡することも多くなったそうだ。
ビジネスの世界でも、部下が会社を欠勤するときにメールで連絡をしてきたと、頭を抱える上司がいる。
果ては、告白するときでもLINEのメッセージを使うなど、日常生活の至るところでコミュニケーションの文字化が進んでいる。
こうした状況が、口頭で説明を求められると途端にできなくなってしまう人を増やしているのではないかと思う。
しかし、「口で話して」伝える力は、メールやSNSが発達した現代においても不可欠であることはいうまでもない。
3つ目に、変化の激しい現代社会では、時間の流れが急加速しているからである。
昨今は、前述したように気軽にコミュニケーションが取れるようになった一方で、多くの人は「待つ」ことに対する耐性が弱くなった。
例えば、アプリをダウンロードするのに5分かかると表示が出たら、あなたは「そんなにかかるのか……」と手持ち無沙汰になってしまうのではないだろうか。
特にあなたがEPを試みようとしている相手は多忙な人のはず。
このように1分1秒と待っていられない「せっかち」で時間がない人にこそ、EPは有効といえる。
逆に時間をかければかけるほど、面白いことにEPの内容は薄まる。
無論、それでは望んだ結果も期待できない。
これら3つの理由からEPは今、修得すべき重要なスキルといえる。
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