帝国データバンク
(画像=PIXTA)

製造業界の復調が、一部地域で景況感を押し上げ
~ 全国130圏域別にみると、景況感に温度差も ~

はじめに

国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始したTDB景気動向調査。現在、日本全体、全国10地域、47都道府県などに関して景気DIなどの指標を公表している。帝国データバンクでは、企業が実感する地域の景況感により近づけるため、地域の経済的なつながりや交通網などを考慮し全国47都道府県を130の圏域に分割して、圏域別景気DIを算出している。

本稿では、全国130圏域の景気DIについて、TDB景気動向調査2020年8月調査をもとに結果をとりまとめた。

■なお、130圏域は、各種圏域に関する資料を参考に帝国データバンクにて加工・設定。地図データは、国土地理院発行の数値地図(国土基本情報)とESRIジャパンの全国市区町村界データを使用し加工した

■調査期間は2020年8月18日~31日、調査対象は全国2万3,689社で、有効回答企業数は1万2,000社(回答率50.7%)

調査結果

1 2020年8月の景気DIを圏域別にみると、前月から130圏域のうち86圏域で改善となった。圏域別の順位は、広島県三次市などの「備北」が45.8でトップ。以下、高知県南国市などの「高知東部」(42.9)、大分県別府市などの「大分東部・北部」(41.7)が40台で続き、北海道帯広市などの「十勝」(38.4)、福島県いわき市などの「浜通り」(38.3)が上位に並んだ

2 特に、広島県三次市などの「備北」(45.8)では、輸送用機械・器具製造や建材・家具、窯業・土石製品製造などの製造業界が牽引し、前月より15.2ポイントの改善がみられた。また、高知県南国市などの「高知東部」(42.9)や福島県いわき市などの「浜通り」(38.3)などでは、厳しいながらも公共事業や災害復旧工事など建設業界を中心に景況感を押し上げた

3 他方、『東海』では、景況感の改善がみられるものの、愛知県豊橋市などの「東三河」や三重県津市などの「三重北中部」(ともに31.1)以外の圏域では30を下回っており、依然として厳しい様子がうかがえた

4 自動車関連をはじめとする製造業界の生産活動の復調を要因として一部圏域で改善がみられ、災害復旧関連の工事など公共事業が牽引している地域で、景況感を押し上げた。新型コロナウイルスにより厳しい環境下であるが、全国130圏域でみると、景況感に温度差が表れている