2020年8月、金(ゴールド)の価格が史上最高値をつけたことが話題になりました。投資をしている人はもちろん、一般のニュースでも多く報道されたため、投資をしていない人たちも「金が高くなっているらしい」と認識するようになったのではないでしょうか。
「金に投資すれば儲かるかもしれない」と考える人が増え、にわかに金投資が注目されるようになったのです。
そこで当記事では、金価格が史上最高値を付けるほどに高騰している理由や背景を解説し、今後の金価格を展望します。また、実際に金投資をしてみたいという人に向けて、金投資を始める4つの方法を紹介します。
金価格が史上最高値、プラチナと「逆転」も
金と並ぶ貴金属といえば、プラチナを思い浮かべる人が多いでしょう。プラチナは金よりもさらに希少性が高いため、金よりも高価な金属であると考えられていました。クレジットカードには「ゴールドカード」の上のランクとして「プラチナカード」があることからも、そのイメージが広く浸透していることがわかります。
しかし、すでに金価格とプラチナ価格は逆転していることをご存じでしょうか。コロナショックと呼ばれる新型コロナウイルス感染拡大による相場の変動で、その傾向はより顕著になり、「有事の金買い」が加速しているのです。
クレジットカードのランクとは裏腹に、すでに金価格がプラチナ価格を大きく上回っているのです。
金価格が上昇している理由
貴金属の筆頭であるプラチナを大きく上回る価格で取引されている金ですが、なぜここまで高騰しているのでしょうか。考えられる理由は以下のとおりです。
1.日米をはじめとする主要国の大規模金融緩和(インフレのリスクヘッジ)
コロナショックによる株価暴落などへの対策として、日米などの主要国は大規模な金融緩和を実施しています。金融緩和とは、平たく言えば「通貨をどんどん供給する」ことです。主要国が通貨供給量を増やし続けると、通貨の相対的な価値が下がってしまいます。これが進行するとインフレになり、資産を現金で持っていると価値が目減りするリスクがあります。そのリスクヘッジとして、現物資産の代表である金に買いが集まっていると考えられます。
2.リスク回避マネーの受け皿(有事の金買い)
米中対立や北朝鮮などの局地的な緊張といった地政学的リスクが高まることでも、「有事の金買い」として金が買われやすくなります。金には世界共通の価値があるため、戦争などのリスクが顕在化してもその価値が失われる可能性が極めて低いからです。
3.債券に代わる安全資産としての需要
世界の投資マネーは、さまざまな金融資産を渡り歩くように移動しています。数ある金融資産の中でも安全性が高いとされているのが債券ですが、日本をはじめ主要国の国債金利はゼロもしくはマイナスに突入しています。債券を持っていても資金は増えないということで、より安全な資産である金に投資マネーが移動しているという説もあります。
今後の金価格はどうなる?
史上最高値を付けたことで注目を浴びた金価格は、今後どうなっていくのでしょうか。未来のことなので正確に言い当てることはできませんが、現在の構図が大きく変わらない限り上昇が続くのではないかという意見が多く見られます。
チャートを見ると、テクニカル的にも上昇トレンドが継続していることが見て取れます。
株などのリスク資産だけを運用するとリスクが高くなるので、ポートフォリオの一部として金投資を組み込むのは有効と言えるでしょう。
金投資のメリットとデメリット
金投資にはメリットだけではなく、デメリットもあります。金投資を検討する際は、メリットとデメリットの両方を十分に理解しておく必要があります。
メリット
・普遍的な価値があり、資源量に限界がある
金は天然資源であり、人類の科学力をもってしても自由に生産することができません。これまでの採掘量と今後採掘できる埋蔵量には限界があり、無限に供給できるわけではありません。無限に供給できる通貨との決定的な違いは、ここです。
人類は有史以来、金を富の象徴として尊んできました。普遍的な価値に希少性が加わることで、金への信頼が絶大なものになっているのです。
すでに人類が採掘した金は約19万トンで、競技用プールに換算するとわずか約4杯分です。しかも、今後採掘できる埋蔵量は数万トン程度と言われており、20年程度で枯渇するとも言われています。採掘できなくなった後はすでにある金を再利用するしかないため、その希少性は一層高まるでしょう。
・不景気、インフレに強い
無限に供給できる通貨と違って、金は供給量に限界があります。そのため通貨価値が下落すると金の価値は相対的に高くなりやすく、インフレに強いという特徴があります。インフレに強い安全資産であるため景気変動の影響も受けにくく、いかなる景気局面においても価値を失いにくいという「絶対的な価値」があるのです。
デメリット
・インカムゲインは期待できない
金は安全な現物資産ですが、株や債券などのように運用する資産ではありません。持っているだけでは収入が発生することはないため、インカムゲインが期待できる投資ではないのです。価格上昇によるキャピタルゲインは期待できますが、金投資における利益はそれだけです。
・現物保有には盗難などのリスクがある
インゴットや金貨などの形で金の現物を保有していると、盗難のリスクがつきまといます。金自体に名義が設定されているわけではないので、現物を盗まれてしまうと取り戻すのは困難です。
それを防ぐためにセキュリティ性の高い金庫を購入したり、保管サービスを利用したりするのは有効ですが、そのためのコストも必要となります。
金投資を始める方法4選
個人投資家が金投資を始める方法は、主に4つあります。それぞれの概要と具体的な始め方について解説します。
1.金CFD取引
CFDとは、外国株や株価指数、商品など世界のあらゆるものに投資ができる差金決済型のデリバティブ商品です。証券会社の中には金のCFDを取り扱っているところがあるので、その証券会社に口座を開設すればCFDによる金投資ができます。
現物取引との大きな違いは、金価格を参照原資産とした差金決済なので、金の現物をやり取りすることがない点です。そのため保管コストなどが不要であり、買いだけではなく売りからも入ることができるといったメリットがあります。
2.金ETF
ETFとは、証券取引所に上場している投資信託のことです。株価指数や商品価格などさまざまなものと連動するように運用しているETFがあり、金価格と連動するETFを保有することで金投資ができます。証券取引所に上場しているため、株と同じ感覚で手軽に売買ができます。
日本国内にも金価格と連動するETFがありますが、アメリカには世界最大規模の運用資産を誇る有名な金のETFがあります。ETFも現物の保有を伴わないため、保管コストが不要で盗難リスクもありません。
3.金地金
金地金(きんじがね)とは、いわゆる金塊のことです。つまり、インゴットや金貨などの形で金の現物を保有します。「タンス預金」に近い、最も原始的かつわかりやすい金投資といえるでしょう。
4.純金積み立て
金の現物を一定期間ごとに一定量を購入し続け積み立てることで、資産形成を目指す投資商品です。金の現物を購入しますが、現物は販売会社が保管するスキームになっているため、手元に現物を置く必要はありません。
積み立て投資なのでドルコスト平均法によるリスク分散ができ、毎月数千円といった少額からでも始めることができるため、手軽にできる資産防衛術といえます。(提供:Incomepress )
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