主要国際ブランドの中で、JCBは日本で誕生した唯一の国際ブランドである。日本国内や日本人観光客が多い地域で使い勝手が良いことに加え、VISAやMastercardと違いプロパーカードを発行していることも特徴だ。
JCBブランドの法人カードは、他の国際ブランドと比べて、どのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。プロパーカードとして発行されているJCB法人カードの特徴や、新登場の「JCB CARD Biz」についても詳しく解説する。
JCB法人カードとは
JCBは、クレジットカードを利用できる仕組みを世界中に提供している「国際ブランド」であるとともに、クレジットカード発行業務やカード会員向けサービスの提供を行う「イシュアー」でもある。
JCB法人カードには、JCBが発行しているプロパーカードの法人カードに加え、JCBが発行する提携カードの法人カードと、国際ブランドとしてのJCBライセンスを提供されたカード会社が発行する法人カードも存在する。
JCBと並ぶ主要国際ブランドであるVISAやMastercardは、プロパーカードを発行していない代わりに、ライセンスを提供しているカード会社からさまざまな法人カードが発行されている。一方で、JCBは他の法人カードへのライセンス提供が少ないため、JCB法人カードを発行しているカード会社はそれほど多くない。
JCB法人カードのメリット・デメリット
プロパーカードとしてのJCB法人カードは、他の国際ブランドとどのような違いがあるのだろうか。JCB法人カードのメリット・デメリットを押さえておこう。
メリット
JCBカードでは、「JCB ORIGINAL SERIESパートナー」と呼ばれる優待店でカードを利用すると、通常よりポイントが貯まりやすくなるサービスが展開されている。また、年間のカード利用額が一定額を超えるとお得な特典を受けられる「JCBスターメンバーズ」というサービスもある。
「JCB ORIGINAL SERIESパートナー」の優待店には、Amazon.co.jpやスターバックス、セブン‐イレブン、一休.comレストラン、昭和シェル石油など、日常的に利用される店舗やサービスが名を連ねている。法人としても、さまざまなシーンで利用しやすいだろう。
「JCBスターメンバーズ」は、集計期間中の利用合計金額で決まるメンバーランクによって、特典の内容が変わるサービスである。基本的には、年間利用金額が多いほど、ポイント還元率が上昇する仕組みだ。法人カードは利用金額が多くなりやすいため、還元率上昇の恩恵を受けやすいだろう。
これら2つのサービスは、JCB法人カードの中でも、プロパーカードでのみ受けられるサービスである。ポイントを増やせる仕組みをより有効に活用するためには、プロパーカードのJCB法人カードを選択するのがおすすめだ。
デメリット
Visa、Mastercard、American Express、Diners、JCBは、世界中で通用する主要国際ブランドと言われている。しかしJCBの加盟店数は、世界規模で見るとVisaやMastercardの1/4程度しかない。日本国内では主要5ブランドすべてを使える店舗がほとんどだが、海外ではJCBを利用できない店舗が多いということだ。
したがって、海外出張や海外旅行が多い経営者は、JCB法人カードのメリットを受けにくいと言える。海外利用も考慮するなら、5大ブランドの中でも国際的なシェアが高いVisaとMastercardをおすすめする。
プロパーカードは3種類
数あるJCB法人カードの中でも、プロパーカードならJCBが展開するポイントプログラムの恩恵を受けやすい。3種類用意されているプロパーカードについて、それぞれの特徴や魅力を紹介する。
JCB法人カード
JCB法人カードのプロパーカードで、最もスタンダードなタイプである。初年度の年会費はオンライン入会の場合のみ無料、2年目以降は1,375円(税込)の年会費が発生する。追加カードの年会費は、1枚目のカードが年会費無料の場合は同じく無料となり、2年目以降は1,375円(税込)かかる。
旅行傷害保険は、国内・海外ともに最大3,000万円に設定されている。国内・海外航空機遅延保険は付帯しておらず、ショッピングガード保険は海外のみ最大100万円の設定だ。法人カードの発行枚数にかかわらず、年会費無料で複数枚のETCカードを申し込める。利用分は親カードに一括で請求されるため、利用明細を管理しやすいのも魅力だ。
JCB独自のポイントプログラム「Oki Doki」に対応しており、1,000円(税込)の利用ごとに1ポイントが貯まる。「JCB ORIGINAL SERIESパートナー」や「JCBスターメンバーズ」を効果的に利用すれば、さらにポイントを貯めやすくなる。海外でのカード利用ではポイントが2倍になるなど、さまざまなシーンでお得にポイントが貯まる法人カードだ。
貯めたOki Dokiポイントは、JCBギフトカードやAmazon.co.jpで利用できるポイントなどに交換できる。社員にも従業員カードを持たせれば、経費の記録と管理が効率的になり、現金管理の手間も減る上にポイントも貯められる。
JCBゴールド法人カード
JCB法人カードの内容をグレードアップさせた、多くの面でワンランク上の恩恵を受けられるカードだ。年会費はオンライン入会の場合のみ初年度無料、2年目以降は11,000円(税込)。追加カードの場合、親カードの年会費が無料の場合は初年度無料、2年目以降は3,300円(税込)だ。
一般カードに勝る魅力として、法人代表者にとってありがたい特典が多いことも挙げられる。旅行傷害保険が、国内は最大5,000万円、海外は最大1億円に設定されているほか、国内・海外航空機遅延保険が付帯し、ショッピングガード保険も国内・海外ともに最大500万円に設定されている。いずれも、一般カードより手厚い補償だ。
また、国内主要空港やホノルル国際空港のラウンジを無料で利用できるほか、日本各地の対象店舗で飲食代金の割引が受けられたり、接待などで便利なゴルフ場予約サービスを利用できたりするなど、法人代表者にとって魅力的な特典が満載だ。
JCBプラチナ法人カード
JCB法人カードの最上級クラスに位置付けられるプレミアムカードだ。年会費は親カードで3万3,000円(税込)、追加カードは6,600円(税込)。国内の旅行傷害保険は最大1億円に設定されている。
プラチナカードならではの特別サービスとして、世界148の国や地域、600を超える都市にある1,300ヵ所以上の空港ラウンジを無料で利用できる「プライオリティ・パス」を利用できる。国内・海外のホテル・航空券の手配など、旅行に関する各種サポートを受けられる「プラチナ・コンシェルジュデスク」も魅力的だ。
ゴールドカードの手厚いサービスはそのままに、海外旅行傷害保険には家族特約が付くといったメリットも見逃せない。プロパーカードのプラチナカードという抜群のステータス性を誇ることも、法人経営者にとっては大きなメリットと言えるだろう。
新登場のJCB CARD Bizは代表者専用の1枚
「JCB CARD Biz」は、プロパーカードとしてのJCB法人カードに新しく追加された、2020年2月登場の法人カードだ。従来の法人カードが持つメリットに加え、リボ払いや分割払いもできるようになっている。
申込時に、現在事項全部証明書・履歴事項全部証明書など法人の本人確認書類を提出する必要がなく、代表者個人の本人確認書類だけで申し込めることも魅力だ。これによって、入会手続きの手間を大幅に削減できる。法人口座だけでなく個人口座も設定できることから、法人口座を作る前の段階でも申し込むことができる。
ただし追加カードを発行できず、ETCカードも1枚しか発行できないので、従業員の経費精算には向かない。ビジネスチャレンジのために、個人カード感覚で利用できるカードといえるだろう。従来のカード同様に、法人会員向けサービスが付帯するほか、各種キャッシュレス決済にも対応している。
一般・ゴールド・プラチナの3種類が用意されている。ゴールドカードの利用可能額※が設定されていること以外は、年会費・保険・サービスなどの基本的な内容は、従来のカードとほとんど同じである。
※公式サイト参照
国際ブランドのビジネスカードを有効活用しよう
JCB法人カードには、国産プロパーゆえの安心感に加え、一般カード・ゴールドカードをネットで申し込むと初年度の年会費が無料になり、「JCB STAR MEMBERS」によって2年目以降のポイントアップが期待できる。
JCB法人カードは、プロパーカードのステータス性を求める経営者や、保険・サービスの充実度を重視する経営者、会員向けの各種福利厚生サービスを手軽に導入したい経営者にとって、特におすすめできる法人カードと言えるだろう。(提供:THE OWNER)
文・八木真琴(ダリコーポレーション ライター)