加藤勝信官房長官は9日、定例会見でCBDCに関して「当然検討すべき事項だと考えている」と発言した。
これは「中国を筆頭に欧米でもデジタル通貨の導入に向けた取り組みおよび検討が加速しているが、日本においてはどの段階まで検討され、政府としてどのように取り組むか」との質問に対して答えたもの。
加藤官房長官は「日本銀行において、CBDCの機能、特性について段階的に実証実験を進めていくと承知している」と、これまでの方針に変化がないことを再確認した。
その上で、現時点で政府としてCBDCの発行に関して具体的な計画を持っているわけではないと回答した。
しかし加藤官房長官は「デジタル化を含めた時代の流れの中で、CBDCについて当然検討すべき事項だと考えている」と述べ、改めて政府が進めるデジタル化政策において重要な事項であることを強調した。
また、財務省をはじめ関係省庁、さらには日銀における検討なども踏まえて、今後CBDC発行の必要性や金融システムに与える影響などについて検討を深めていくだろうとの認識を示した。
日本政府は今年7月、閣議決定された2020年度の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)において、CBDC発行に関する具体的な検討を盛り込んでいる。
先日には、与党である自民党の新国際秩序創造戦略本部が、年内に政府へ提言する「中間とりまとめ」を策定し、政府および日銀に対しCBDC発行の準備に向けて関連法改正の準備を促す内容を盛り込むなど、水面下で準備が加速的に進められていることが伺える。
CBDCに関しては、開発が進む中国において先日、中央銀行である中国人民銀行副総裁の Fan Yi Fei氏がその順調ぶりをアピールした。
Fan氏によると、中国のCBDCにあたるデジタル人民元はすでに11億元(約171億円)相当の試験取引が行われており、313万件以上の取引が処理されているとのことだ。
公の場で関係者がデジタル人民元に関する具体的な発言したのは初めてのことであり、導入に向けた動きは今後さらに加速していくものとみられる。
日本においては新型コロナウイルスによってあらゆる面でデジタル化の遅れが露呈したこともあり、今後CBDCに関しても遅れを取らないよう、迅速に導入の検討および研究を進めていく必要があるだろう。(提供:月刊暗号資産)