(本記事は、PIM総研の著書『いきなりキャッシュリッチになった人のための資産防衛術』クロスメディア・パブリッシングの中から一部を抜粋・編集しています)
不動産投資・経営が資産防衛に向く5つの理由
ここでは、富裕層にとっての資産防衛の観点から、不動産投資の利点について見ていこうと思います。
登場した会社の株を売却して20億円を手にしたSさんは、そのほとんどすべてを不動産に替えていますが、不動産が資産として優れている点をいくつか挙げてくれました。
(1)資産として安全である (2)税金面でのメリットが大きい (3)相続税を圧縮できる (4)手間がかからない投資である (5)自分のビジネスセンスが活かせる
などです。
どういうことなのか見ていきましょう。
ちなみに、初心者向けの不動産投資の本では、これ以外に「少ない自己資金で始められる」「年金の不足分を補える」「生命保険代わりになる」などのメリットがよく挙げられますが、富裕層にはあまり関係がないので、本書では割愛します。
(1)資産として安全である
資産防衛を目的とする富裕層にとって、資産の価値が減ってしまうことが一番のリスクになります。
もしも現金で資産を所有していたならば、物価が上昇を続けた場合、将来的な購買力は目減りする一方です。下のグラフは、物価上昇率が0~3%で上昇した場合の1000万円の価値の推移です。
例えば、物価が年3%の割合で上昇した場合、現金1000万円を所有していて、10年後に購入できるのは現在744万円相当の商品ということになります。256万円も目減りするというわけです。
では不動産はどうなのでしょうか?
下のグラフは、マンション経営の収入源となる賃料の、2009〜2018年の10年間の推移です。リーマンショックや東日本大震災、消費税のアップなど、マイナスとなりそうな要因があったにもかかわらず、安定的に推移しているのがおわかりでしょう。特に首都圏では2012年を底にじわじわと上がり続けています。
長い目で見たときの不動産資産の特徴は、実物資産であることです。Sさんもなぜ不動産なのかについて、次のように語っています。
「どんなに時代が変わっても、人にとって衣食住の重要性は変わらないはず、だからこそ、100年のスパンで見れば現金や証券よりも土地・不動産が正解だと思いました。お金には実体がないけれど、不動産には実際に住めるという実体があります。より具体的で価値が変わりにくいと思います」
実物資産とは、「物」そのものに価値がある資産のことで、不動産、金(ゴールド)、自動車、美術品・骨董品などがあります。もちろんマンションも実物資産の1つです。
実物資産であることのメリットは、3つ考えられます。
1つ目は、紙切れや電子データと違って、消えてなくならないことです。株を所有していたとしても、その会社が倒産してしまえば、株券はただの紙切れになります。紙幣ですら、猛烈なインフレで紙くず同然になったケースがあることを、世界史は教えてくれています。一方マンションは、価値が下がったとしてもなくなることはありません。
2つ目が、取得に際して金融機関が融資を組んでくれることです。これは他の金融商品では考えられないことです。実物資産なので、不動産そのものが担保として機能するからです。それだけ金融機関の評価が高いということです。
3つ目が、実物資産ゆえにインフレに強いということです。資産を現金のまま所有していると、インフレになったときに価値が目減りしてしまいます。これを実物資産であるマンションに替えておけば、インフレが進めば進むほど資産価値が高まります。日本が国の借金をなんとかインフレにして圧縮しようとしているのは皆さんもご存じでしょう。将来的にインフレが予想されるのであれば、融資を組んで(借金をして)実物資産であるマンションを購入するのが賢い投資と言えます。
よく「株やFXはボラティリティが大きい(価格変動が激しい)」と言われます。最近ではトランプ・ショックがいい例だと思います。不動産価格の場合は、トランプさんが大統領になっても、イギリスがEUから脱退しても、何ら影響を受けません。
政治や経済の変化に一喜一憂しなくていいというところも、株式投資やFXと大きく違うところでしょう。不動産投資では、ぼろ儲けはできませんが、大損もしないのです。
私たちが首都圏、しかも23区内の不動産投資を勧めるのも、資産の目減りを確実に防げると考えているからです。
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