(本記事は、PIM総研の著書『いきなりキャッシュリッチになった人のための資産防衛術』クロスメディア・パブリッシングの中から一部を抜粋・編集しています)

法人化に伴う節税オプション

CRE戦略,減価償却
(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

法人化して不動産投資・運営などの事業を行うと、個人では「出費」となっていたものが「経費」となります。資産防衛の点で、ここは見逃せません。

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(画像=『いきなりキャッシュリッチになった人のための資産防衛術』より)

上の図を見てもわかるように、個人事業の場合、自身や家族の退職金は経費となりません。これが法人となると、不当に高額でないかぎり、経費として計上できます。小規模企業共済の掛け金にしても、個人では不動産所得の場合は必要経費として認められませんが、法人の場合は全額経費として認められます。

事業の損失、生命保険のケースでも、その違いが明らかです。

これは富裕層に対してはそうそうない問題かもしれませんが、自身の保有会社が連鎖倒産などの余波を受けないために加入したい「経営セーフティ共済」も、必要経費になるかどうかに個人・法人の差があります。個人の不動産所得に関わる共済掛金は経費として認められませんが、法人であれば全額掛金が経費に計上できます。

経営セーフティ共済は、退職金の原資となる積み立てにもなりますが、物件の大規模修繕費用の積み立てにもなります。資産防衛として大きな物件を所有する場合、長期的に必ず発生する修繕費用を毎年積み立てておき、いざ必要となったときに共済契約を解約し、それを工事費用に充てるということができます。

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(画像=『いきなりキャッシュリッチになった人のための資産防衛術』より)

法人化による不動産経営で、後継者も育てられる

Sさんは、「不動産経営は会社経営と変わりないので、経営者であれば親しみやすい」と言います。

確かに、不動産経営は、他の投資や資産運用に比べ、自らリスクと収益をコントロールできる点で、会社経営に似ています。つまり、経営センスが活かせる投資です。会社経営が一人では行えない点とも同様で、マネジメント力を活かすことができます。不動産のプロ、税務・財務のプロを見極め、チームを組むことで、インカムゲイン(賃料収入など)とキャッシュフローを最大化できます。

また、Sさんは、末代まで資産を継承するための“後継者育成”の場として、法人化を考えています。子どもたちが成長した際には、この不動産保有会社を使い、経営マインドを育てることを視野に入れているのです。

「社長のスキルは社長にならないと身につかない。数字に強くなるためには自分が会社の代表になるのが手っ取り早い。後継者育成の観点からも、法人設立のメリットはある」ということです。

社長になれば税理士とも付き合って決算の話もしなければなりませんし、簿記、決算書は必然的に詳しくなります。銀行からの借り入れなど、対人交渉にも強くなるでしょう。

株は親(ご自身)が持ち、経営アドバイスをしつつも、子どもたちに場数を踏 ませる。末代にわたる資産防衛術として有用な方策です。

法人の代表を「妻」にするか否か問題

「プライベートカンパニーをつくり、妻を社長にしなさい」というテーマの書籍も出て、話題になりました。Sさんもそのお一人です。ただしその際に注意しておくことがあると言います。

「妻を社長にすると、離婚問題が生じたときに財産分与で大問題となります。離婚をしないという前提があるならいいかもしれませんが、もし愛人でもいるような方なら気をつけた方がよいでしょう」

多少でも離婚リスクのある方ならば、ご自身が社長を務めることが得策なのかもしれません。ただし、末代までの資産防衛を本当に考え、同族企業で相続まで含めてうまく運営しようと考える場合、配偶者との関係が非常に大切になることは言うまでもありません。自身が社長にならないことによる隠れた節税メリット、後継者育成メリットなど、一族での可能性が広がるからです。

ちなみに、Sさんは、妻を不動産保有会社の社長に、弟、妻の姉と娘を社員にし、所得の分散を図っています。ご自身が代表にならない理由としては、代表になることでの制約が発生し身動きが取りづらくなる点、社長でないことによって他の会社の正社員にもなれる自由度がある点を挙げています。

キャッシュリッチになった人のための資産防衛術
PIM総研
資産形成に適したワンルームマンション販売と賃貸管理のプロフェッショナル集団・株式会社P I M を母体とするシンクタンク。富裕層を主な顧客として、不動産投資を軸に据えた資産運用と資産保全の情報調査・研究・提供を行っている。母体である株式会社PIMは、2001年東京都世田谷区梅丘で設立。創業以来、東京都内でも人気の高い地区のみにターゲットを絞り事業を展開。「不動産という資産を通じて、より豊かな暮らし」を実現するために、「営業本部」「管理本部」「リーシング事業本部」「開発事業本部」「コンサルティング事業本部」「法務管理室」の精鋭による6つの専門部署を設置し、資産形成を幅広くサポートしている。

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