(本記事は、PIM総研の著書『いきなりキャッシュリッチになった人のための資産防衛術』クロスメディア・パブリッシングの中から一部を抜粋・編集しています)
イグジットで、巨額の富が入った人たちへ
新しいサービスや商品を生み出すことで脚光を浴びる起業家が、日々ニュースに取り上げられています。その人たちの価値観に耳を傾けると、「永続的な企業経営をしたい」「世の中を変えたい」「雇用を生み出したい」という言葉を聞きます。それはそれで、素晴らしいことです。
一方で、経営者の“本音”を聞く立場である私たち(PIM総研)からすると、もっとリアルな経営者の方たちの「生の声」も耳にします。
「イグジット」
つまり、出口戦略です。
「親子数代で事業をやってきたが、潮時なので会社を売りたい」 「好きなことをして会社を急成長させたが、経営がしたいわけではなかった……」 「そもそも、事業を発展させて、売却するつもりだった」
など。
「イグジット」というケースには、上記のようなさまざまな理由と、以下のような方法があります。
方法論でいうなら、株式公開、株式譲渡、経営陣による会社の買収(MBO:マネジメント・バイアウト)などがありますが、1つ共通するのは、創業者や創業メンバーに「巨額の果実(お金)」が舞い込むこと。
周囲から「これで〇〇さんもハッピーリタイアだね」と羨望の眼差しを受けたり、一方で付き合いのなかった金融機関などから突然の営業を受けたりと、ステージの変わった環境にいきなり身を置き、この「巨額のお金」に対する使い道で右往左往するケースを見てきました。
そこで、PIM総研として、これまで多くの富裕層の方とお付き合いしてきた知見をお伝えしたく、本書にまとめました。
いきなり「巨額の富」が入った人の“3類型”
私たち(PIM総研)が見てきたなかで、イグジットにより巨額のキャッシュを手に入れた“成功者”の方が、次に選ぶ行動の選択肢は、以下の3つです。
(1)攻める……ファンドをつくったり、エンジェル投資家として、次なる富にベット(賭ける)したりする。事業家として邁進するタイプ。
(2)楽しむ……一生分のお金は手にしたので、自分の人生を謳歌するタイプ。独身の方に多く、下手に財産を残しても仕方がないという発想で、どんどんお金を使っていきます。(ご家族ができたときには、次の選択肢かもしれません)
(3)守る………(予想以上の)財産を手にしたその瞬間から、資産運用に真剣に取り組み、家族や末代にまで“残す何か”を考えるタイプ。
実はこのタイプ(3)の方が一番多いのです。根っからの投資マインドを持った起業家は別ですが、経営に成功したからといって、新しい事業に成功するかどうかはわかりません。親から引き継いだ会社を売却した経営者ならなおさらでしょう。また、投資家として成功するかどうかは、これまた経営とは別の能力が必要とされます。
本書は、この(3)の方へのアドバイスをお伝えすることを、主としています。
「資産を守る」タイプに伝えたいこと
(1)の攻める気質の方なら、あくなき事業欲とその才能を発揮してもらいたいところです。不動産投資・経営に強みを持つ私たちが、(1)のタイプの方のお手伝いをするならば、次なる事業として自ら不動産投資会社を設立する際のアドバイスでしょうか。
(2)の個人的人生を謳歌する、エピキュリアン(快楽主義者)派に対しては、「一度きりの人生なので、それはそれでいいですね」としか申し上げようがないですし、私たちからアドバイスができることといえば、「ニューヨークに新しくできた●●というレストランの●●料理がおいしい」「私たちの知り得る富裕層●●さんは、●●な買い物をしていますよ」くらいでしかないかもしれません。
(3)の、家族やその先の末代まで、「資産を守りたい」方。このタイプにこそ、私たちがこれまでに培ってきたノウハウをお伝えすることができます。
PIM総研の母体であるPIMは東京を中心に首都圏の投資用賃貸マンションにこだわり、18年の実績を持つ会社です。これまでに1600人以上のオーナーの方と「事業」をご一緒させてもらってきました。
本書の読者の方で、すでに不動産投資を行っている方も多いかもしれません。不動産投資・賃貸管理業は、江戸時代から連綿と続いている、れっきとした「事業」です。ただし、これから取り組む方ならば、確かなパートナーを選び、始めなければなりません。
また、森ビルなどを見るまでもなく、財閥ともいえる存在で、「不動産」に関わっていない会社はありません。例えば、出版大手で知られる講談社(野間家)、小学館(相賀家)も、本業を下支えしているのは、まぎれもなく不動産業です。そのほか、大手私鉄、百貨店も、不動産業なくして事業は成り立たないのが、現実でしょう。
つまり、規模の大小はさておき、「不動産を介在させないかぎり、末代までの繁栄はない」と、断言してもいいのではないでしょうか。
“いきなり”巨額のキャッシュが入ってくると、喜びや安堵とともに、次は「どうすればよいか?」と、動揺し、対処に困るもの。
その第一の選択肢として、まず「不動産投資・経営」を視野に入れるなら、「投機(大きなリスクはあれど、大きなリターンが見込める)」ではなく、「事業(経営センスが問われる)」こそ、選ぶに値する価値があります。
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