入院や病気は誰にでも、そしていつでも突然起こるものです。そのときになって、はじめて健康のありがたさを知り、そして同時にお金のありがたさも身にしみてわかります。

入院や病気、ケガには思った以上にお金がかかります。そのときのために保険が必要ですが、足りないときには「お金を借りる」という選択肢も検討しましょう。

今回は、入院や病気、ケガにお金はいくらかかるのか?そしてお金を準備する方法について解説します。

文・加藤隆二(銀行員ライター)
地方銀行に30年間勤務する銀行員ライター。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級、個人資産相談)、生保損保代理店資格、その他銀行業務検定資格複数保有。事業資金から、住宅ローンやカードローンなど借入全般の相談を数多く対応。返済が困難なお客様の、いろいろな相談を聞き、一緒に考え解決してきた一方、倒産、自己破産や一家離散、あるいはもっと不幸なケースにも関わって、お金の素晴らしさと怖さを、イヤと言うほど知っています。こうした経験を活かし、読者の役に立つ文章を書いていきたいと思います。

入院、病気、ケガにお金はいくらかかるのか?

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(画像=kei907/stock.adobe.com)

入院、病気、ケガにかかる医療費はどのくらいの金額になるのでしょうか?厚生労働省の資料「令和元年度 医療費の動向」から見ていきましょう。

・一人当たりの医療費は平均で34.5万円
・このうち75歳以上の平均は95.2万円、75歳未満は平均22.6万円
・一人当たりの医療費はほぼ毎年増加している
・受診する日数は平均25.2日だが年々短くなっている
・入院する日数は平均4.7日で、数年間横ばいが続いている
・入院1日当たりの医療費は平均3万7,900円で毎年微増
・入院外(通院や投薬)の医療費は全体でも、そして全診療科目でも増加傾向

<出典:令和元年度医療費の動向 厚生労働省ホームページ/医療費の動向調査/>

ではこの結果をもとに、もう少し詳しく説明します。

・入院
入院日数は短くなりつつあります。ここ最近は横ばいですが、それでも平均4.7日です。ちょっとした旅行や連続休暇くらいの日数なのですが、それでも医療費が大きいことに変わりはなく、生命保険や医療保険で「入院は1日からでも保険の対象です!」と宣伝するのが理解できます。

入院1日当たりの医療費が平均3万7,900円で、平均入院日数は4.7日なので、これを単純にかけ算すると17万8,130円(3万7,900円×4.7日)になります。入院は短くなり、でもかかるお金は増加しているといえます。

5年ほど前ですが、内科治療で手術するためちょうど1ヵ月入院したことがあります。このときの入院医療費の総額は約90万円でした。幸い健康保険適用でしたが、それでも医療費以外の食費などを含めると総額40万円となりました。加入していた生命保険で支払うことができ、保険のありがたさとお金のありがたさが身にしみた経験です。

・入院以外の医療費
こちらは平均値が出ていませんが、入院とそれ以外を合計した全体額が増加しています。また、入院日数が減ったということは、その分通院や投薬の費用も増加していると考えられます。

以上より、入院、病気、ケガにかかるお金はどんどん増えているといえます。

入院、病気、ケガにかかるお金を準備する4つの手段

医療費を準備する手段は大きく分けて公的補助と、自分で準備する場合があります。4つの方法について見ていきましょう。

公的な手段で準備する

こちらは公的にもらえる補助金や公的融資制度、そしてその他の公的な手段のことです。

・公的補助
公的補助としては以下があります。   ・高額療養費制度(健康保険に申請して助成を受ける)
・傷病手当金(同上)
・医療費控除(税務申告して還付を受ける)
・公的な融資制度(市町村に申請、それぞれ内容が異なる)

公的補助は他にもありますが、共通するのは手続きが必要で、その手続きも面倒、そして時間もかかるし、すべての人が対象になるわけではない、といった問題もあります。

・その他の公的な手段
これは最後の手段ともいえますが、例えば生活保護や自己破産も公的な手段です。公的補助が受けられず、他に方法がないならこういった方法を選ぶ道もあるのです。

保険(生命保険、損害保険、医療保険)

毎月掛け金を払っているのは、まさにこのときのためです。ここで使わなければいつ使う?ということで、とにかく保険をフルに活用しましょう。

しかしながら、保険にも限度日数や要件もあるのでオールマイティーではありません。自分が入院して、保険に加入しているからと安心していたら、その保険は今回使えないことがわかった、などという笑えない話も結構あります。

私自身、入院する前から何度も保険証券や約款を確認していました。保険が使えることは知っていましたが、それでもまだ心配で、病室に約款を持ち込んで読み返したり、保険会社の人に聞いたりして、何度も確認しました(すべて実話)。

保険の契約者貸付

もし、医療費に保険が使えないことがわかっても、保険にはもう一つお金を準備する手段があります。それが保険の契約者貸付です。保険の契約者なら審査なしで利用でき、低利で迅速です。

ただし、金額には限度があり、医療費全額をまかなえないかもしれません。

カードローン

生命保険・医療保険でもまだ足りない、あるいは保険が使えない、契約者貸付でも足りない場合、カードローンが頼みの綱になります。

カードローンは、お金の使い道と使うときが決まっていません。銀行でお金を借りる場合、基本的にはお金の使い道が決まっている必要があります。「自宅を手に入れるから貸して」なら住宅ローン、「車が欲しいから貸して」ならマイカーローン、といった具合です。

しかし、これが入院、病気、ケガになると「いつになるかわからないけど、入院費用を貸して」と言われても、一般的なローンでは融資してもらえません。

カードローンは原則としてお金の使い道が自由なので、いつ必要になるかわからない医療費にも使えます。そしてカードローンは、ただ持っているだけでも有効な準備手段になります。

いざというときは「お金を借りる」という選択肢も

入院、病気、ケガにお金が必要になったら、優先順位は公的補助、保険(保険金、契約者貸付)と説明しました。しかし、それら優先手段がうまく機能しなかったとき、お金がどうしても足りなくなってしまったときにこそ、カードローンはその真価を発揮します。

カードローンは使い道が自由なのと同時に、いつ使っても良いし、使わなければ持っているだけでも良いのです。持っているだけなら年会費や手数料などまずかかりません。それでいて、いざというときにはすぐに利用できます。

「カードローンは当座貸越といって、借入も返済も自由な融資です。あなたの利用限度額は50万円ですが、これはいつでも50万円融資すると約束されていることになります」

「今日はお金が必要でないけれど、明日急病で入院するかもしれません。保険が必ず使えるとも限りませんし、使えたとしてもすぐに保険金がもらえないかもしれません」

「そういった、いざというときのために、このカードローンをぜひ持っていてください!」

「あなたには50万円いつでも融資することになっていますから。もちろん審査なしで!」

これは、銀行窓口でカードローンを契約するときの私(銀行員)の説明です。セールストークではありますが、いざというときにこそカードローンが役に立つと本当に思っています。この言葉をぜひ参考にしてください。

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