クレジットカード大手のJCB、みずほ銀行、富士通の3社は、金融機関に登録する個人情報を異業種間で流通・連携させるため、ブロックチェーンを用いた共同実証実験を行う。15日、3社が共同で発表した。

この実験では、金融機関に登録している顧客氏名、住所、勤務先などのID情報をワンストップで管理することで、個人情報を厳格に保護しつつ、ネットサービスの利用手続きを簡単にするとのこと。

個人情報
(画像=月刊暗号資産)

利用者は専用のモバイルアプリから金融機関を選び、あらかじめ登録した指紋や顔などの情報を利用することで個人情報の持ち出しを依頼できるようだ。

これにより顧客は煩雑な本人確認作業から解放され、各金融サービスの利用に必要な本人確認や口座設定、住所変更などをスムーズに行えるという。

また個人情報の流出を避けるため、今回開発するシステム上で顧客IDを集中管理することは行わず、各事業者がそれぞれ自社で保有する。

さらに、悪意のある顧客が虚偽の情報を登録することを防ぐため、複数企業が承認を必要とするブロックチェーン技術を利用し、情報の信用性を担保するとのことだ。

今回発表された実証実験では、富士通が昨年発表したアイデンティティー流通技術「IDYX」が組み込まれる。

このIDYXを用い、国内初となる顧客情報の一元管理サービスに参画する企業を増やしたい意向のようだ。

実証実験の実施期間は2020年10月から2021年1月までの4ヶ月間を予定しており、3社は「今後お客さま主権で各社が持つお客さまのID情報を相互に連携し、認証・更新することのできる、事業者・お客さま双方に利便性の高まるID情報活用の新たなサービスモデルを検討していきます」としている。

新型コロナウイルス・Covid-19が流行したことでオンライン化の流れが加速し、オンライン上で発生する取引も活発になってきた。

同時に、個人情報保護の見直しや規制についての議論も活発化しており、2018年5月に施行された個人情報の管理・説明責任を求めるEU一般データ保護規則(GDPR)など、世界各国で規制が整備されつつある。

データ保護規制に準拠する形で個人情報を自由に持ち出せ、別企業で再利用できるシステムができれば、利便性向上は疑う余地もないだろう。(提供:月刊暗号資産