病気などで休職している場合、給与が満額出なかったりまったく出なかったりすることがあります。手元のお金が徐々に減っていくのが不安になり治療に専念できない人もいるかもしれません。お金が必要になった場合に検討したいのが「カードローン」です。しかし、休職中にカードローンの契約は可能なのでしょうか。また審査では、何をチェックされるのかも気になります。
さらに借り入れができなかった場合は、どのように生活を維持していけばいいのでしょうか。本記事では、休職中のカードローンの申し込みやカードローンが利用できない場合のお金の解決方法について解説していきます。
休職中にカードローンの申し込みはできる
カードローンは、どのような人が利用できるのでしょうか。銀行と消費者金融の例をもとに申込条件を確認してみましょう。
銀行カードローン
銀行カードローンが申し込めるのは以下の条件を満たしている人です。
申込可能年齢 | 満20歳以上69歳以下 |
収入 | 原則安定した収入のある人 |
その他条件 | ・保証会社の保証が受けられる人 ・借入金の使い道は事業性資金以外に限る |
消費者金融
消費者金融のカードローンが申し込めるのは以下の条件を満たしている人です。
申込可能年齢 | 20歳以上69歳以下 |
収入 | 安定した収入のある人 |
その他条件 | 主婦・学生でもパート・アルバイトで安定した収入があれば申込可 |
・休職中にカードローンの申し込みができるか
銀行・消費者金融ともに申し込みの条件に「安定的な収入がある人」という項目があります。では休職中の申し込みはできるのでしょうか。その答えは「収入があるかどうか」に関係します。カードローンの申込時には安定的な収入があるかを確認されるのと同時に、税込年収も問われるのが一般的です。また借入希望金額が一定以上になる場合は、源泉徴収票などの収入を証明する書類の提出も求められます。
その際に「収入ゼロ」では申し込み自体できません。ちなみに消費者金融の場合、総量規制の対象となり年収の3分の1を超える貸付が禁止されています。例えば年収300万円の人の場合、貸付限度額は上限100万円です。つまり収入がゼロの人は年収の3分の1の金額も0円となるため、この点からも申し込みが不可と考えておいていいでしょう。
ただし休職していても「収入が減っていない」「ほとんど変わっていない」という場合は、申し込みはできる可能性もあります。ただし余計なトラブルを避けるためにも、休職中という事実は申し込み時点でカードローン会社に伝えておくようにしましょう。
休職中のカードローン審査は通過できる?
休職中にカードローンの申し込みができても、「審査に通過するかどうか」は別の話です。そのため審査に通過できるのかどうかもチェックしておきましょう。休職中のカードローン審査で気を付けないといけない点は、職場への「在籍確認」。申込時に申告された勤務先に本当に在籍しているのかを電話で確認するのです。
確認時はカードローン会社名を名乗らず「申込者が職場にいるかどうか」を電話に出た人に尋ねます。その際に休職の事実が伝えられると審査に通らない可能性もあるでしょう。その大きな理由は主に以下の2つです。
・今後の収入が安定するのかわからない
・復帰できるのかわからない
仮に申込時点で収入があったとしても休職が長引くと、減額されたり入ってこなくなったりする可能性もあります。また復帰の時期の目処が立たない場合も収入の安定性が低下するため、審査に通りにくくなると考えられるでしょう。
休職中でもカードローンの審査に通る可能性があるのは、次のようなパターンです。
・産休・育休、期間限定の休職など復職予定時期がはっきり決まっている場合
・「収入がまったく減っていない」「今後も絶対に減らない」「少々減額される」といった場合
とはいえ、休職中にもかかわらず休職の事実を伝えていないと申込時点で断られる可能性は大いにあります。インターネット申し込みなど、人を介さずに申し込みできるカードローンの場合は、事前にコールセンター、店頭窓口で現在の状況を相談しましょう。
カードローンの審査通過が難しい場合の対応
休職中は、カードローン審査に通過しにくいことを紹介しました。もしカードローンの利用ができない場合の解決方法についても考えておきましょう。この記事では、「配偶者貸付」「求職者支援制度」の2つの制度について見ていきます。
配偶者貸付の利用
まずは、配偶者貸付についてです。
・配偶者貸付とは
配偶者貸付とは、本人、配偶者の合算した年収の3分の1まで借り入れできる制度です。貸金業法に基づいた制度となっています。本人に収入がなくても配偶者に安定した収入があればカードローン借り入れが可能になるのです。ただ年収の3分の1までとなっていますが、本人と配偶者に別の借入金がある場合、借入金分は差し引かれることになります。以下の例を確認してみましょう。
収入 | 借入金 | |
---|---|---|
本人 | 0円 | 20万円 |
配偶者 | 300万円 | 10万円 |
夫婦の合算収入額だけ見ると借入限度額は以下のようになります。
・(本人0円+配偶者300万円)×3分の1=配偶者貸付上限額100万円
しかし2人とも借入金があるため、この夫婦の借入限度額は以下のようになってしまうのです。
・配偶者貸付上限額100万円-(本人借入金20万円+配偶者借入金10万円)=70万円
配偶者貸付を利用する場合は、本人・配偶者両名の現在の借入金額も把握したうえで申し込みましょう。ただし以下のローンは借入金額に合算する必要はありません。
・クレジットカードで買い物した分の残高
・住宅ローン
・マイカーローン
・銀行のカードローンなど
配偶者貸付の手続方法
配偶者貸付を利用する場合は、配偶者の同意も必要です。そのうえで以下の書類を準備してください。
・本人・配偶者の収入を証明できる書類
・住民票の写し(本人と配偶者の氏名・住所・生年月日・続柄が記載されたもの)
※ 婚姻関係にあることを証明するため
・配偶者貸付同意書
※カードローン会社によって準備する書類には若干の違いがあります。
通常のカードローンは、インターネットや電話などで申し込み後即日~数日での融資ができることも多い傾向です。しかし配偶者貸付の場合は、同意書の記載や住民票の準備、書類は郵送で提出を求められることもあります。そのため通常の貸付に比べて融資までに時間がかかってしまう点は押さえておきましょう。
また、配偶者の同意は必須です。家族に内緒で借り入れすることはできませんので注意しておきましょう。
求職者支援制度の利用
休職からそのまま退職してしまい、次の仕事を探す必要に迫られるというパターンも考えられます。求職者が利用できる支援制度についても知っておきましょう。
・求職者支援制度とは
「退職してしまったけれど失業保険が受給できない」という人のための制度が「求職者支援制度」です。失業保険が受給できるのがどのような人なのかについて押さえておきましょう。
・離職の日の前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12ヵ月以上ある人
ただしこの条件は、一般的な退職の場合です。以下のようなときは失業保険を受けとれる条件が変わります。
・親の介護などで離職した人
・特定の理由で通勤が困難になり離職した人など
これらの人が失業保険を受け取れる条件は以下の通りです。
・離職の日の前1年間に雇用保険の被保険者期間が通算して6ヵ月以上ある
ここでご紹介した条件を満たせずに、失業保険を受け取れない人が求職者支援制度の対象となります。
求職者支援制度の手続方法
求職者支援制度では以下の3つがあります。
・無料の職業訓練
・職業訓練受講のための給付金支給
※本人・世帯収入、資産状況、など受給には一定の条件を満たす必要があります。
・ハローワークによる就職支援
求職者支援制度を利用するためには以下の手続きを行わないといけません。
・ハローワークへ求職の申し込み
・受けたい職業訓練の選択と申し込み
職業訓練以外に職業訓練受講給付金も受けたい場合は以下の書類も準備してください。
・マイナンバーカード、マイナンバー通知カードなど、個人番号が確認できるもの
・運転免許証・パスポートなど、身元が確認できる書類
・ハローワークから交付される受講申込書等
・住民票謄本の写しまたは住民票記載事項証明書
※ 世帯構成・続柄が記載されたもの
・申請者や配偶者が保有する残高が50万円以上の預貯金通帳、または残高証明など
職業訓練受講給付金受給には「本人収入が月8万円以下」「世帯収入が月25万円以下」などの条件があります。詳しくはハローワークにお問い合わせください。
休職中でお金がない場合も、条件によってはOKな可能性も
休職中のカードローンの申し込みや申し込みができない場合の対応方法について紹介しました。休職中にカードローンの申し込みをすることはできますが、必ずしも審査に通るとは限りません。しかし利用可能となるケースもあるため、うそをつかずに休職中の事実を事前に申告してください。休職中を隠して申し込んだ場合、虚偽の報告として問題になることもあります。
またカードローンが利用できない場合でも「配偶者貸付」「求職者支援制度」などが利用できる場合もあります。必要に応じて自分が利用できる制度がないか調べてみましょう。
文・田尻宏子
複数の金融機関での勤務経験や証券外務員第一種、ファイナンシャル・プランニング技能士2級の資格を活かし、金融関連専門のライターとして活動中。生損保・不動産・ローンの情報を中心に「誰でも分かりやすい記事をお届けする」をモットーに執筆。
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