日本STO市場の発展に向けてはブロックチェーン技術を活用したデジタルな社会基盤(公証制度)とタイムスタンプ(確定日付)の可能性などのSTOを巡る法解釈や出資持分の効率的な譲渡の実現による不動産市場の流動性向上に関する社会的な議論の活性化が重要です。

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(画像=STOnlineより)

黎明期における市場形成とともにより多くの人々が参画できる環境の整備もまた必要であると言えるでしょう。

改正金融商品取引法の施行によって、市場のさらなる発展が期待される中、SBIホールディングス株式会社と子会社のSBI e-Sports株式会社が、セキュリティトークン発行プラットフォーム「ibet」を活用した国内初のSTOを発表。

STOによる第三者割当増資によって50,000,000円の増資を予定しており、普通株式1,000株がibet上でデジタルに発行・管理されます。

第三者割当増資のデジタル化によってどれほどのコスト削減や効率化が図られるのかなど、大きな注目が集まるとされ、将来的には日本市場においてもセキュリティトークン取引所での売買や様々なユースケースの創出などが見込まれています。

また、株式会社LIFULLとSecuritize Japan株式会社が、株式会社エンジョイワークスとともに不動産STOに取り組んでおり、不動産領域においては出資持分の譲渡を前提としたエコシステムの構築によって、不動産小口投資の活性化が図られ、市場の流動性を向上させることが期待されています。

このように法規制に準拠した資金調達方法としてSTOの普及が日本では始まっており、公募型デジタル社債やファンド型STOなど実施も検討されています。

そして、米国のSTO市場においてはtZERO Marketsがついにローンチされ、米国の45の州および準州で、セキュリティトークンの取引がtZERO Marketsアプリで可能となりました。

現在の時価総額は、$513,578,717.75となっており、8月から引き続き、Overstock(OSTKO)、tZERO(TZROP)が安定した取引高を記録。

AspenCoin(ASPD)に次ぐ上場銘柄の増加が期待されており、今回のtZERO Marketsが普及することで、エコシステムの拡大が図られ、投資家数の増大とともに市場の関心が高まると考えられます。

Overstock社が業績を大きく拡大したことを背景に、米国のSTO市場は大きく発展を遂げましたが、より多くの企業の参画を促進することが1つの課題であると言えるでしょう。

日本と米国のSTOエコシステムを比較すると、大手企業・スタートアップ企業による市場形成の違いが見受けられ、従来の資本市場におけるデジタル技術の活用をどのように促進するかについては法規制のあり方が大きく影響していると考えられます。

すでに米国ではSEC登録免除規定である「Regulation」に準拠して2018年ごろからSTOが実施されてきた歴史があり、各国における市場形成の参考事例として認知されてきました。

一方、日本のSTO市場は将来的にスマートコントラストを活用し、流動性の制限を担保することで二項有価証券にセキュリティトークン(集団持分スキーム持分)が分類されるユースケースの創出など、様々な可能性を秘めています。

大手金融・不動産企業による市場形成は、デジタル社会の実現を目指す日本社会においても大きな影響力を及ぼすことでしょう。

デジタルなタイムスタンプ(確定日付)を巡る法解釈に関する活発な議論や出資持分の効率的な譲渡の実現に向けて、多くの人々からの関心を集めることがSTO市場の発展には必要不可欠であると考えられます。(提供:STOnline