株式投資の目的で最も一般的なのは、安い時に買い高くなったら売ることで利益を得ることですが、中にはじっくりと保有して配当金を得るためや、株主優待目当てで株を始めたい人もいると思います。株の取引を行うには証券会社に口座を開設する必要がありますが、せっかく開設するなら自分の目的に合ったところに開設したいもの。そこで今回は、特に株主優待を目的とする人におすすめのネット証券をご紹介します。

株主優待ってどんな制度?

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(画像=PIXTA)

株主優待とは、会社が自社の株を買ってくれた株主に対し、自社のサービスや商品などの「優待品」を提供する制度です。株主優待を提供するかしないかは会社によって任意のため、どこの株を買っても必ず株主優待が受けられるわけではありませんが、最近では多くの会社がこの制度を導入しています。

この株主優待は海外の会社ではほとんど見られることがなく、例えば同じマクドナルドでも、日本マクドナルドホールディングスの株主になれば優待食事券をもらえますが、アメリカのマクドナルドの株主になっても優待はありません。海外にも優待制度のある企業がありますが、日本ほど一般的ではありません。

株主優待の魅力とは

株価や配当金は会社の業績によって大きく左右されます。一方、株主優待も業績には左右されますが、影響はそれほど大きくなく、毎年安定して優待を受けられることが魅力の1つです。また、優待内容も自社製品や金券・割引券のほか、カタログギフトや限定品などバリエーションも豊かになっています。

また、会社にとっては長期にわたって保有してくれる株主の方が望ましいため、長期保有制度を取り入れる企業も増えています。この制度では、通常の優待に加え、優待品やサービスがプラスされるので、長く保有すればするほどお得になります。

株主優待で証券会社を選ぶなら売買手数料に注目

株主優待に有利な証券会社の条件は?

株主優待が目的で株を始める場合、それほど頻繁に株の取引をするわけではないでしょうし、買いたい株も自分が優待を受けたい会社の株になると思います。したがって、個別に担当者がついたり親切なアドバイスが受けられたりする総合証券より、費用を抑え、低コストで取引ができるネット証券の方が向いているといえます。

また、一口にネット証券といっても、手数料の体系はさまざまですし、同じ証券会社の手数料でも取引頻度や取引金額によって変わってきます。

現在株式の最小販売株数(単元株)は100株単位となっており、優待目的であれば1つの会社につき数万円から数十万円の資金が目安になります。つまり、「100万円以内の1回の取引手数料が安い」という条件が株主優待目的の証券会社選びではポイントになります。

主なネット証券の手数料比較

具体的に、代表的なネット証券の手数料をご紹介します。株式取引の手数料は、取引の都度手数料が発生するタイプと、定額(期間内であれば何回取引しても手数料が同じ)タイプの2種類が主流になっていますが、証券会社によっては2つのタイプを両方採用しているところもあります。

前述の通り、株主優待を受けるには数万円から数十万円の取引がメインになるので、1回の取引がそれぞれ20万円以下、50万円以下、そして100万円以下の3種類の手数料を表1で比較しています。取引の都度手数料が発生するタイプと定額タイプの両方を採用している証券会社で、定額タイプの方が安い場合はその手数料と定額プラン名を載せています。

表1.主なネット証券の株式売買の手数料比較

証券会社 手数料(税込)
20万円以下 50万円以下 100万円以下
SBI証券 0円
(アクティブプラン)
0円
(アクティブプラン)
0円
(アクティブプラン)
楽天証券 0円
(いちにち定額コース)
0円
(いちにち定額コース)
535円
マネックス証券 198円 495円 (成行注文)1,100円
(指値注文)1,650円
松井証券 0円 0円 1,100円
GMOクリック証券 107円 265円 479円
DMM.com証券 106円 198円 374円
ライブスター証券 106円 198円 374円

株主優待目的でおすすめのネット証券ランキング

1位:SBI証券

SBI証券は上記の手数料の項目でご紹介したように、100万円以下の株式取引手数料がアクティブプラン(定額コース)なら0円となっています。定額コースといえば1日に何回も取引する人が利用する料金プランと思われるかもしれませんが、SBI証券ではアクティブプランを利用する際に別途手数料を払う必要がないので、100万円以内であれば完全に無料で取引をすることができます。つまり、100万円以内の株を買うことで、売買手数料を払うことなく株主優待を受けられます。

2位:楽天証券

楽天証券はSBI証券と同じく、50万円以下の取引であれば「いちにち定額コース」の手数料が0円になります。ただし、いちにち定額コースは50万円を超え100万円以下になると943円の手数料が必要になるので、100万円以下の取引であれば「超割りコース(取引都度手数料発生)」の方が安くなります(535円)。

また、楽天証券の取引には楽天市場やその他楽天サービスを利用することで貯まる「楽天スーパーポイント」を株式購入の代金や手数料に利用することができるので、楽天のサービスをよく使う人には特におすすめです。

3位:松井証券

松井証券は1回の取引毎ではなく、1日の約定代金で料金が決まるシンプルな手数料プランのみ採用しています。1日何回取引しても50万円以下であれば手数料がかからないので、売買手数料を払うことなく株を購入できる会社も多いはずです。

また、松井証券は難しい投資商品を取り扱わないことやWebサイトの文字を大きくするなど、一般的にインターネットの普及率が高くないと言われる50歳以上にも使いやすいサービスを提供しています。

4位:DMM.com証券

DMM.com証券は、定額プランのコースはありませんが、1回の売買ごとに手数料が発生するタイプの料金プランでは最も安い手数料を採用しています。また、税抜き取引手数料に対して1%の株ポイントがもらえるのもメリットの1つです。

5位:ライブスター証券

ライブスター証券の取引手数料も、1回の売買ごとに決まるプランではDMM.comと並んで最安値となっています。取引の都度手数料のプランを選択するのが面倒という人もいると思いますので、そういった方にはライブスター証券やDMM.com証券のシンプルで低コストなプランがおすすめです。

6位:GMOクリック証券

GMOクリック証券はこれまでご紹介してきた証券会社に比べると手数料は少し高くなりますが、それでも非常に低コストな部類です。また、取引ツールがPCとスマホ用別々に用意されており、高機能なことで定評があるのも特徴です。

7位:マネックス証券

マネックス証券は手数料が安く投資ツールも充実しているので、投資初心者の方にやさしい証券会社です。ただし、どちらかといえば米国株や中国株が充実していますので、株主優待だけが目的であればそれほどメリットはないかもしれません。

株主優待は投資初心者でも魅力的な特典

株主優待は、株主になることで会社の商品やサービスを受けられるお得なサービスです。会社の業績の影響をそれほど受けることないので、積極的に株の売買で儲けるのではなく、じっくり保有したい投資初心者にもおすすめです。今回ご紹介したネット証券を参考に、自分の取引スタイルに合った証券会社を選んでみてください。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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