最近は、大型台風や集中豪雨が急増しており、マンション経営を始める際、洪水・津波・土砂災害などのリスクをチェックする重要性が高まっています。これらのリスクを手軽にチェックできるツールが「ハザードマップ」です。そもそもハザードマップとは何なのか、具体的にどのようにマンション経営に活かせばいいのかなどを解説していきます。

目次

  1. 1.ハザードマップとは?
  2. 2.近年、大型台風・集中豪雨、首都直下型地震のリスクが高まっている
  3. 3.マンション経営における各ハザードマップの活用方法
    1. 3-1.洪水ハザードマップ
    2. 3-2.津波ハザードマップ
    3. 3-3.土砂災害ハザードマップ
  4. 4.保険を活用して災害時の被害をカバーする手も
    1. 4-1.水災補償がカバーしてくれる範囲は?
    2. 4-2.区分マンションの場合、水災補償加入の注意点は?
    3. 4-3.一棟マンションの場合、水災補償加入の注意点は?
  5. 5.まとめ

1.ハザードマップとは?

不動産投資
(画像=keith-young/stock.adobe.com)

ハザードマップとは、防災地図のことです。自治体ごとの災害リスクと避難経路・避難場所などを視覚的に表示。各地域の災害リスクは、地形・地盤や過去の被災状況から判定しています。ハザードマップは、具体的に次の4つのリスクを私たちに教えてくれます。

  • 洪水
  • 津波
  • 土砂災害
  • 道路防災情報

ハザードマップを調べるには、「ハザードマップポータルサイト」にアクセスする、あるいは、「ハザードマップ 自治体名」などのキーワードでインターネット検索する方法があります。マンションが建設されるような大都市圏であれば、詳しいハザードマップが用意されているのが普通です。

2.近年、大型台風・集中豪雨、首都直下型地震のリスクが高まっている

マンション経営において、ハザードマップを確認する重要性が高まる背景には、台風・集中豪雨・地震のリスクが上がっていることが挙げられます。

気象庁気象研究所によると、東京の台風の上陸数は直近40年で見ると1.5倍に増えています。また、首都直下型地震の発生確率は今後30年間で70%といわれています。地震の被害といえば火災や倒壊のイメージが強いですが、大地震の場合、津波・液状化・急斜面の土砂災害などの被害も甚大と予想されます。

ただし、これは災害リスクがあるエリアのマンションは買わない方がいいという意味ではありません。日本は災害大国なので、リスクがないエリアとなるとかなり限定されてしまうでしょう。

大切なことはオーナーが事前にマンションの災害リスクを把握することです。災害リスクを知れば、保険に加入する、入居者にアナウンスするといった適切な対策がとりやすくなります。

3.マンション経営における各ハザードマップの活用方法

具体的に、どのようにハザードマップをマンション経営に活用していけばいいのかを確認していきましょう。ハザードマップには、洪水・津波・土砂災害などの種類があります。

3-1.洪水ハザードマップ

洪水ハザードマップでは、近隣の河川が増水した場合の浸水予測をしています。とくに東京23区をはじめとする大都市圏は大きな川や水路に近い低地が多いので「洪水ハザードマップ」は要確認です。

よくある誤った認識として「中層階〜高層階の区分マンションであれば洪水は関係ない」と考えてしまうケースです。マンションが浸水してしまえば、エントランスから出入りすることができませんし、周辺環境が浸水すると日常生活を送ることも難しくなります。洪水が与える入居者への影響は周辺環境も関わってくるのです。

3-2.津波ハザードマップ

ハザードマップには洪水ハザードマップの他に、津波ハザードマップというものもあります。
とくに臨海エリアのマンションは、津波ハザードマップも要確認です。鉄筋コンクリート造で出来ているマンションは一般的に津波に強いと言われます。しかし、東日本大震災では複数の鉄筋コンクリートの建物が津波で横転しています。油断せずに津波ハザードマップをしっかり確認しましょう。

低地だと海沿いからかなり離れたエリアでも、津波リスクが示されていることもあります。そのため低地のマンションを購入するときは、海から距離がある立地でも念のため津波ハザードマップを確認するのが無難です。

3-3.土砂災害ハザードマップ

土砂災害は、地震・台風・大雨などをきっかけに崖崩れや地滑りが起きるものです。ひとたび発生すれば、頑丈な鉄筋コンクリート造マンションといえども、飲み込まれてしまうリスクがあります。

急な斜面や山が多い日本は、土砂災害が多い国といえます。政府広報によると、過去30年間では、年平均1,000件以上の土砂災害が全国で発生しています。加えて、近年土砂災害が多発しており、平成30年は3,459件、令和元年は1,996件と年平均の2〜3倍の発生件数となっています。

大型台風や記録的な大雨が増えている影響と考えられますが、今後さらに増える可能性があり、これまで以上に土砂災害リスクが高まることが予想されます。所有マンションに土砂災害リスクがある場合、入居者に対して契約時や台風接近前などに、避難所の場所をアナウンスするなどの対応が求められます。

4.保険を活用して災害時の被害をカバーする手も

購入予定のマンションの災害リスクが高い場合、必要に応じ保険に加入することでリスクを軽減できます。例えば、洪水や土砂災害が多いエリアであれば、水災補償の保険に加入することで損害をカバーできます。

ただし、一般的に水災補償は単独の保険商品として販売されていません。マンション購入時に契約する火災保険のオプションとして加入できます。その他オプションとして、風災・雪災・ひょうなどの被害をカバーできるものもあります。過去の災害リスクに応じて適切なオプションを選択してください。

4-1.水災補償がカバーしてくれる範囲は?

水災補償の具体的な内容は個々の契約で変わりますが、一般的な例を挙げてみます。台風で近隣の河川が氾濫して床下浸水した場合、建物・居室内・家財などの被害が補償されます。また、大雨により建物近くで土砂崩れが発生しマンションが被害にあった場合も、補償対象の可能性が高いです。保険によっては、建物だけを補償対象にできることもあります。この場合、家財は補償の対象外となります。

4-2.区分マンションの場合、水災補償加入の注意点は?

区分マンションの場合、所有している部屋が床下浸水や土砂崩れの直接的な被害にあわなければ水災補償の対象にならないのが一般的です。そのため、中層階〜高層階の区分マンションを購入するなら、水災リスクの高いエリアでも水災補償は不要と考えられます。水災リスクの高いエリアで低層階の区分マンションを購入する場合は、水災補償を検討しましょう。

4-3.一棟マンションの場合、水災補償加入の注意点は?

一棟マンションの場合、洪水や土砂崩れが発生すれば被害は甚大です。リスクの高いエリアで一棟マンションを購入する場合、水災補償も検討すべきでしょう。加入により、被害を最小限に抑えられます。加入の際は、建物そのものへの補償をつけることがポイントです。

区分マンション、一棟マンション共通の注意点として、地震による津波や土砂崩れが発生した場合、水災補償の対象にならないことが挙げられます。このようなケースでは地震保険で備えられる可能性があるため、リスクが気になる方は地震保険も検討してみましょう。

5.まとめ

この記事では、マンション経営とハザードマップをテーマに解説してきました。マンション購入前にハザードマップで災害リスクを確認する。たった、これだけの手間でリスクヘッジをすべきかが判断できます。オーナーが予めリスクを熟知することで、入居者の生命を守る責任を果たすことに繋がります。

後々「ハザードマップを見ておけばよかった」とならないよう、マンション経営を始める前には「ハザードマップ 自治体名」のキーワードで必ず検索してみてください。(提供:Dear Reicious Online


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