日本経済が停滞している昨今、世帯収入も伸び悩んでおり、住宅ローンの返済や教育費の捻出など、家計のやり繰りに四苦八苦している世帯も少なくありません。このような状況を踏まえ、副業を認める企業も増えています。副業を始めるならストック型ビジネスとフロー型ビジネスのどちらが適しているのか、そのメリット・デメリットを比較してみます。
目次
ストック型ビジネス、フロー型ビジネスとは
ストック型ビジネスのメリットとデメリット
フロー型ビジネスのメリットとデメリット
ストック型ビジネス、フロー型ビジネスの種類
ストック型ビジネスに向いている人、フロー型ビジネスに向いている人
会社員が副業を始めるならストック型ビジネスが向いている
ストック型ビジネス、フロー型ビジネスとは
まずは、ストック型ビジネスとフロー型ビジネスとは何か、その違いについて説明します。
ストック型ビジネス
ストックという単語は、日本語で「在庫」や「保存する」という意味があります。つまりストック型ビジネスとは、文字どおり在庫を抱えて商売をするという意味ではなく、収益を生み出す仕組みや仕事の基盤(インフラ)等を創り出し、継続的に収益を得る仕組みのビジネススタイルをいいます。
最もわかりやすいビジネスモデルとして、「カミソリと刃型」ビジネスが挙げられます。某有名メーカーの剃刀本体を購入すると、最初は替え刃が数個付いてきます。ですが替え刃は消耗品であり、定期的に替え刃を購入する必要があります。このような仕組みはストック型ビジネスの典型ではないでしょうか。
お客に一度購入してもらい、商品を気に入ってもらえれば、替え刃を継続的に購入されます。このときの価格設定にも大きな特徴があり、最初に購入する剃刀本体部分の価格は、比較的安価に設定されています。最初の購入のハードルを下げて、より多くの定期顧客を得ることに意義があるのです。
フロー型ビジネス
フロー型ビジネスとは、1つひとつの取引が単発である取引が該当します。わかりやすい事例では、土地や建物の売却が挙げられます。ひと言でいうと「売り切り型」のビジネスというイメージです。必要とするお客に必要なものを必要な時に提供するビジネスで、幅広いニーズをつかみやすく、比較的大きな収益を上げやすいことが特徴です。
単発の取引が主となりますので、常に新しいお客様を開拓する必要があります。そのため、安定した収益を得るビジネススタイルではないともいえます。
ストック型ビジネスのメリットとデメリット
ここまでストック型ビジネスとフロー型ビジネスの特徴や仕組みについて説明してきました。ここからはストック型ビジネスのメリットとデメリットを紹介します。
ストック型ビジネスのメリット
ストック型ビジネスは、前述のとおり収益を生み出す仕組みや仕事の基盤(インフラ)等を創造し、継続的に収益を得る仕組みのビジネススタイルです。比較的安定した収益を見込めることから、事業の計画が立てやすく安定した企業活動が望めます。
また、収益の予測を比較的容易に立てることができることから、新たな事業展開にも予算を設定しやすくなるでしょう。収益を生み出す仕組みを構築しているため、その都度営業活動を強いられることもほとんどありません。
ストック型ビジネスのデメリット
ストック型ビジネスはその特徴として、収益を生み出す仕組みを構築します。最初にお客様を集客する必要があることから、十分な顧客を集客することに時間がかかります。そのため、収益が安定するまでに時間がかかることがあります。
また、爆発的な収益は比較的望めず、事業開始から収益が安定するまでの期間、運転資金(資金繰り)が必要となり、十分な事業資金を準備する必要があります。
フロー型ビジネスのメリットとデメリット
一方でフロー型ビジネスにもメリットとデメリットがあります。その特徴をみていきましょう。
フロー型ビジネスのメリット
フロー型ビジネスは、単発的な取引(売り切り型)が特徴であることから、収益を上げるまでに比較的時間がかからないことが特徴です。また土地や建物の取引に代表されるように、大きな収益が得られる可能性があります。
フロー型ビジネスのデメリット
一度で多くの収益をあげられる可能性がありますが、その収益が安定しないのも特徴です。また常に顧客を開拓する必要があり、お客の購買意欲を駆り立てる魅力的商品の開発や強力な営業力が必要です。
▽ストック型ビジネス、フロー型ビジネスのメリットとデメリット
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ストック型ビジネス | ・事業の計画が立てやすく、比較的安定した収益を見込める ・都度新規開拓する必要がない | ・顧客を集客することに時間がかかる ・収益が安定するまでに時間がかかる ・十分な事業資金を準備する必要がある |
フロー型ビジネス | ・収益を上げるまでに時間がかからない ・大きな収益が得られる可能性がある | ・収益が安定しない ・常に顧客を開拓する必要がある |
ストック型ビジネス、フロー型ビジネスの種類
それぞれのビジネスの仕組みやメリット・デメリットを紹介してきましたが、具体的にはどのような事業があるのでしょうか。ここからはストック型ビジネス・フロー型ビジネスの種類を紹介していきます。
ストック型ビジネスの種類
ストック型ビジネスの事業例はさまざまです。その事業の形態(一例)をその事業の形態(一例)をご紹介します。紹介します。
▽ストック型ビジネスの事業例
タイプ | 事業例 |
---|---|
定期購入(購読)型 | 毎回定期的な購入契約。新聞・雑誌などの定期購読など |
保守点検型 | 定期的な保守点検契約など |
保険型 | 生命保険や火災保険などの契約など |
レンタル型 | 観葉植物レンタル・ファッションレンタルなど |
権利使用料型 | 著作権やノウハウ・ブランド名等の使用料など |
サービス型 | 税理士等士業の顧問料など |
会員制型 | リゾートホテルやbarなどの会員権等 |
賃貸型 | アパート・マンションやオフィスの賃貸契約等 |
インフラ型 | 電話やプロバイダー契約、ケーブルTVなど |
最近では、ストック型ビジネスの発展形として、サブスクリプション型ビジネスがクローズアップされています。表中では「定期購入(購読)型」や「レンタル型」の派生ビジネスといえるでしょう。代表的なものとして、Microsoftのoffice365は有名です。
サブスクリプションビジネスとは、商品やサービスを利用した分や期間に応じて料金を課金するサービスです。上記表内のレンタル型『ファッションレンタル』は、毎月定額でスーツなどの衣料をレンタルできるサービスです。近年ではこういったサービスによって、流行のものを買い替える必要がなくなったといえるでしょう
フロー型ビジネスの種類
次はフロー型ビジネスの事業の形態(一例)を紹介します。
▽フロー型ビジネスの事業例
業種 | 事業例 |
---|---|
小売業 | 百貨店・スーパー・衣料品店など |
飲食店業 | 各種飲食店や弁当屋など |
コンビニエンスストア | 店舗展開をするコンビニエンスストア |
美容・理容室 | 美容院や散髪屋さん |
IT企業(請負型) | ホームページ作成などを単発で請け負うIT企業など |
フロー型ビジネスは、1回ごとの取引に商品の販売や役務提供(サービス)が実際に伴うビジネススタイルです。いつも新しく集客する必要があり、隙間なく店舗展開をしたり、入店しやすい立地にこだわる、またはホームページなどで広く情報を提供するなど、特有の工夫が求められます。
ストック型ビジネスに向いている人、フロー型ビジネスに向いている人
ここまで、ストック型ビジネスとフロー型ビジネスの違いを見てきました。ストック型ビジネスはフロー型ビジネスに比べて、事業収益は安定するでしょう。しかし、事業が軌道に乗るまでに時間がかかり、フロー型ビジネスに比較し大きな(爆発的な収益)収益は見込めないことがわかりました。次に、どういうタイプの人がどちらのビジネスに向いているのかをみていきたいと思います。
ストック型ビジネスに向いている人
- まじめにコツコツと積み上げることができる人
- 弱音を吐かず一歩一歩前進できる人
- 世の中の役に立ちたいと考える人
- 1人で楽をしたいなんて考えない人
- 大儲けよりも、堅実に利益をあげたいと考える人
- 人の信用を得られる人
ストック型ビジネスは、事業が軌道に乗れば収益は安定しますが、そこにたどり着くまでは努力と我慢が必要です。成功するまでには、ある程度の時間が必要になります。弱音を吐かず、まじめにコツコツと積み上げることができる人に向いているようです。
フロー型ビジネスに向いている人
- コミュニケーション能力が高い人
- 営業力のある人
- 機動力を発揮できる人
- バイタリティーのある人
単発売り切り型ビジネススタイルのため、コミュニケーション能力が高く、営業力のある人が向いているようです。常に見込み客を開拓保有して、売り上げにつなげることができれば大きな収益となるでしょう。
会社員が副業を始めるならストック型ビジネスが向いている
企業に勤める会社員が副業を始める場合、本業におもな時間を割くことから、常に動き回って収益を上げ続けなければならないフロー型ビジネス型は難しいでしょう。ビジネスの基盤を構築し、収益を得る仕組みを作り上げるストック型ビジネスの方がより向いているといえます。ただし、どちらが正しいということはありませんので、自分自身のライフスタイルに合わせて、副業としてのビジネスを検討してみてはいかがでしょうか。
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(提供:JPRIME)
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