毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。
本稿では、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」で、10月にアクセスの多かった書籍ベスト5を業界ごとにご紹介。金融業界を銀行関連・証券関連・保険関連の3つに分け、それぞれのユーザーがどのような本を多く読んでいるのかを解説いたします。
目次
金融業界ユーザー別ランキング(五十音順)
銀行業界ランキング
第1位:『超雑談力』(五百田達成著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第2位:『会社に行きたくない。さて、どうする?』(和田秀樹著、クロスメディア・パブリッシング)
第3位:『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』(西岡壱誠著、東洋経済新報社)
第4位:『頭を「からっぽ」にするレッスン』(アンディ・プディコム著、満園真木訳、辰巳出版)
第5位:『思うことから、すべては始まる』(植木宣隆著、サンマーク出版)
証券業界ランキング
第1位:『超雑談力』(五百田達成著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第2位:『課長の心得』(安部哲也著、総合法令出版)
第3位:『業界破壊企業』(斉藤徹著、光文社)
第4位:『思うことから、すべては始まる』(植木宣隆著、サンマーク出版)
第5位:『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』(西岡壱誠著、東洋経済新報社)
保険業界ランキング
第1位:『超雑談力』(五百田達成著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第2位:『これからの生き方。』(北野唯我著、百田ちなこ絵、世界文化社)
第3位:『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』(西岡壱誠著、東洋経済新報社)
第4位:『会社に行きたくない。さて、どうする?』(和田秀樹著、クロスメディア・パブリッシング)
第5位:『思うことから、すべては始まる』(植木宣隆著、サンマーク出版)
※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員を対象にした、2020年10月の閲覧数ランキング
雑談はビジネスの基本である
10月は、銀行・証券・保険の三部門すべてで『超雑談力』が最も読まれるという結果になりました。
「オンライン会議システムで初対面の人と雑談をするにも、何から話したらいいのだろう?」「相手との心の距離を縮めるのが難しい……」そんな課題意識があるとき、「誰とでもうまく雑談できるコツ」をちりばめた本書は、まさに救世主的な存在になるでしょう。
雑談の基本的な原則から、すぐに使えるテクニックまで幅広くカバーされており、職場でもプライベートでも、さまざまなシーンで活躍が期待されます。また、自分が話をする場合だけでなく、効果的な相づちの打ち方や、困ったことを延々と言ってくる人にどう対応するかといったことも、「雑談力」として紹介されています。
雑談はビジネスの基本。ビジネス環境が激変するなか、雑談のもつポテンシャルを再確認するという意味でも、参考になるところは必ずあるはずです。
あらゆる場面で通用する普遍的な思考力とは
『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』と『思うことから、すべては始まる』も、金融三部門でベスト5入りしました。どちらも普遍的な思考力について述べたものであり、広く読者の注目を集めることになりました。
『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』は、偏差値35から東大に入学した西岡壱誠氏による「地頭力シリーズ」の第3弾。とはいっても受験攻略本ではなく、東大生がどのようなものの見方をして、どう学びに活かしているかを解説した一冊です。このような見方をしているかどうかで、うまく社会を生き抜けるかどうかが決まってくるといっても過言ではないでしょう。
一方の『思うことから、すべては始まる』は、稲盛和夫著『生き方』や近藤麻理恵著『人生がときめく片づけの魔法』で知られる、サンマーク出版の代表取締役社長による著作。この出版不況のなか、編集部のほぼ全員が20万分以上のベストセラーを生み出す同社の文化は、どのようにつくられているのか。企画職はもちろん、経営や人事に関わる方であれば、本書から学べることは多いはず。
発売日:2020年08月13日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド
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発売日:2020年07月20日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、リーダーシップ・マネジメント、経営戦略
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銀行業界:「マインドフルネス」に注目集まる
ここからは、それぞれの業界で注目されている書籍をピックアップしていきましょう。
銀行業界ランキングで目立つのが、第4位の『頭を「からっぽ」にするレッスン』。ビル・ゲイツが「マインドフルネスを試してみたい人には、パーフェクトな入門書だ」と激賞したことで、知られ、2018年のベスト本に挙げたことで世界的に注目された一冊です。
最近、日本でも「マインドフルネス」という言葉を少しずつ聞くようになってきました。マインドフルネスとは、気をそらさずに「今、ここ」に在ることを意味します。過去の出来事や来季の計画で頭がいっぱいになっていると、「今、ここ」となかなか向き合えないもの。瞑想などを通して、マインドフルネスな状態を体感できるようになれば、やがて日常でもそれを感じられるようになるといいます。
本書が銀行業界でお勤めの方に多く読まれたのは、じつに興味深いところです。自己メンテナンス意識の高まりが感じられる結果と言えるのではないでしょうか。
発売日:2020年09月25日
ジャンル:自己啓発・マインド、健康・フィットネス
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証券業界:業界分析本が上位にくる傾向
証券業界では、『課長の心得』(第2位)や『業界破壊企業』(第3位)がベスト5入りするなど、他の業界ランキングでは見られない傾向が確認されました。
『課長の心得』は、かつてないほどに変化の激しい現代社会において、課長に求められるものは何かを説いた一冊。「課長になりたくない」という人が今増えていますが、現場の実行部隊のリーダーである課長は、おもしろく楽しい時期でもあります。そんな課長の役割について、理想だけでなく実践的なヒントを提供してくれる、じつに誠実な本です。
『業界破壊企業』は業界の勢力図を一変させる、いわゆるディスラプター企業にスポットを当てたもので、最近の「ディスラクター50」からよりすぐりの約20社を紹介しています。このような業界分析本が注目されやすいのは、証券業界に見られる傾向のひとつです。「世界の多種多様なイノベーション企業を一気に知りたい」というとき、ぜひお読みくださいませ。
発売日:2020年05月20日
ジャンル:起業・イノベーション、産業・業界、グローバル、テクノロジー・IT、サイエンス トレンド
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保険業界:今後のキャリアを考える本が複数ランクイン
保険業界ランキングで第2位の『これからの生き方』にもご注目いただければと思います。本書は、ベストセラーである『転職の思考法』や『天才を殺す凡人』の著者として知られる北野唯我氏の最新作。本書にはまず「漫画編」とそれに続く「ワーク編」があり、そして北野氏のメッセージが語られるという構成になっており、登場人物たちへのインタビューを通して「働くこと」の意味を再考させられます。
第4位に入った『会社に行きたくない。さて、どうする?』も含めて、保険業界ランキングではキャリアに関するものが多く読まれるという結果になりました。将来の見通しが不透明な今、どうやってこれからキャリアを積み上げていくべきなのか、注目が集まったかたちです。
発売日:2020年06月01日
ジャンル:自己啓発・マインド、健康・フィットネス
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編集後記
今月の金融業界ランキングでは、実践向けの書籍が多数上位に入りました。来月はどのような傾向が見られるでしょうか。引き続き注目してまいりたいと思います。
本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。
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