会社の業績は、社長の言動や資質に左右されることがある。社長は会社の中で最も目立つため、社員の意識やモチベーションに影響することもあるだろう。本記事ではダメな社長によく見られる28の特徴と、客観的に判断するためのチェックリストをまとめた。
目次
人間性の特徴4つ
人間性は社長自身の仕事ぶりだけではなく、社員のモチベーションにも影響する。周りからダメな社長の烙印を押されると、会社への貢献意識は徐々に下がっていくだろう。
以下の特徴に当てはまる社長は、日頃の細かい言動まで見直したい。
特徴1. 感情・気分の起伏が激しい
すぐに怒鳴るなど感情の起伏が激しく、その日の気分によって極端に行動が変わることは、典型的なダメな社長の人間性だ。会社の社長は、社員や取引先などとコミュニケーションを取り、円滑な関係を構築していかなければならない。感情・気分の起伏が激しすぎる人間には、それが難しい。
特徴2. 思いつきで行動する
思いつきで行動するのも、ダメな社長の典型パターンだ。偶然うまくいったとしても、流行にすぐに飛びついてみたり、熟考せずに経営方針を決めたりすると、最終的に大きな失敗を招く。本人は「それがスピード経営」と思っているかもしれないが、それは大きな勘違いだ。
特徴3. 優柔不断で決断が遅い
逆に優柔不断で決断が遅いのも、社長として致命的だ。社員は、社長が決断しなければ動けない。社長の仕事は「決断すること」と言っても過言ではない。もちろん熟考が必要なこともあるが、単に優柔不断で決断が遅い場合は、せっかくのチャンスを逃してしまう。
特徴4. 勉強が嫌い
勉強が嫌いな人は、社長には向いていない。社長は会社のすべてに責任を持ち、問題が発生したら真っ先に解決する必要があるためだ。
経営や実務に関して、必要な知識をあらかじめ備えていた者はいないだろう。時代とともに変化し続け
る市場環境に対応するためには、勉強して新たな知識を吸収しなければならない。
社長としての特徴ワースト13
人間性以外の面では、どのような点に気を付けるべきだろうか。ここからはマインドや思考回路などを中心に、社長としては望ましくない特徴をまとめた。
以下の特徴に該当する場合は、経営戦略や労働環境の質が下がってしまうので注意したい。
ワースト1. 公私混同をする
公私混同は、ダメな社長の典型的な特徴だ。事業に無関係な旅行や飲み会に会社の経費を使うことはもちろん、お気に入りの社員を贔屓したり、社員のプライベートに介入したりすることも公私混同の一種にあたる。社長の立場をわきまえない公私混同は、さまざまな問題の原因になるだけでなく、組織を腐敗させかねない悪しき習慣だろう。
ワースト2. ビジョンやミッションを語れない
会社のビジョンやミッションは、社員を同じ方向に向かせ、取引先や顧客の共感・支持を得るための原動力となる。そのため、明確なビジョンやミッションを語れないのもダメな社長の特徴だ。このような社長は、思い込んだことを力ずくで進めようとする。そんなことでは社員はついてこず、いざというときに進むべき方向を見誤ってしまうだろう。
ワースト3. 会社の数字を把握していない
会社の数字を把握していない経営者は、それだけでダメな社長と断言できる。売上や利益がどれだけあるか、手元のキャッシュがどれだけあるかを知らなければ、経営はできない。数字を把握していない社長は、「直感」や「情熱」を強調する傾向がある。しかし、それでは会社が傾くのは時間の問題だろう。
ワースト4. 具体的な指示ができない
具体的な指示ができないのも、ダメな社長の特徴だ。「徹底的にやれ」「とにかく成果を出せ」と丸投げしても、社員はどう動いていいか分からず、動いたとしても成果が出ない。頭で考えたことがその通りに実現するのは、おとぎ話やSFの中だけだ。
ワースト5. 成功を自分の手柄にする
成功を自分の手柄にするのも、ダメな社長にありがちだ。仕事が上手くいくのは、取締役や社員のおかげである。仕事が上手くいったとき、一人ひとりを褒めて喜びを分かち合えば、取締役や社員は社長に対して感謝の気持ちを抱くにも関わらず、それができない。そのため、社員のモチベーションは下がり、次第に会社の業績も悪化していくだろう。
ワースト6. 失敗を社員や環境のせいにする
失敗を社員や環境のせいにするのは、会社の事業を自分ごととして捉えていないためだ。社長は社内のすべての情報を取得でき、また社員をいかようにも動かせる。それで失敗したのなら、それは社長の責任であり、社長は自身の至らない点を反省すべきだろう。
ワースト7. 過去の成功体験にとらわれる
過去の成功体験にとらわれるのは、時代が変化していくことを認識していないためだ。過去の手法が通用しなくなったら、新しいやり方を試せばいい。それができずにそのまま止まってしまうのは、ダメな社長の傾向である。会社は遅かれ早かれ時代に取り残され、淘汰されることになるだろう。
ワースト8. 周りをYESマンで固める
厳しい意見を耳にしたくない社長は、自分の周りをYESマンだけで固めがちである。実際の経営判断では、客観的に見て正しいこと、間違ったことが存在する。しかし、ダメな社長は自分が聞きたい意見だけを聞き、したいことだけに取り組む。そのような社長は遠からず裸の王様になり、見放されていくだろう。
ワースト9. 社員に権限を委譲しない
他人を認められない社長は、社員に権限を移譲しない。自分と違う考え方を持つ取締役や社員が、彼らのやり方で物事を進めることが許せない。そのような社長でも、会社の規模が小さいうちは何とかなるだろう。しかし従業員が数十人規模になると、社員に権限を委譲しなければ会社の成長は見込めない。
ワースト10. 無意味なこだわりがある
ダメな社長は、無意味なことにこだわる傾向がある。事業経営は論理的に考えるべきものだが、そこに無意味なこだわりを持ち込むことで、すべてを壊してしまう。取締役や社員が説得しても、聞く耳を持たない。なぜならば、その社長にとっては自分のこだわりこそが常に正しいためだ。
ワースト11. ルールを作っても自分は守らない
ルールを作っても、自分がそれを守らないのはダメな社長だ。ダメな社長にとってルールとは、社員を縛るためだけのものであり、自分は守る必要がないと考えている。せっかく決めたルールが、知らない間になかったことになるのも、ダメな社長の会社ではよくあることだ。振り回される社員は、迷惑千万だろう。
ワースト12. トップダウンで物事を進められない
平時は、社長はほとんど何もしなくても、事業は回っていくだろう。しかし、いざというときには社長がリーダーシップを発揮し、トップダウンで意思決定をしなくてはならない。それができないダメな社長は、自分で決める勇気もなければ、能力もないのである。
ワースト13. 状況を楽観視する
過去に経験したことのない事態に直面したとき、状況を楽観視するのはダメな社長だ。楽観視するのは、不安を打ち消し、安心したいためである。もちろん、過度に悲観的になる必要はない。しかし、発生しうるリスクにきちんと備えているからこそ、正しい判断ができる。「何とかなるだろう」と思っているだけでは、状況は悪化する一方だ。
労働環境についての特徴ワースト5
労働環境における問題は、社員のモチベーションや生産性に直結する。例えば、給与が低かったりハラスメントが多かったりする職場で、「会社のために働きたい」と考える社員はほとんどいないだろう。
ここからは、労働環境についてのダメな社長の特徴を紹介する。
ワースト1. 残業代を支払わない
残業代を支払おうとしないのは、言うまでもなくダメな社長だ。残業代の未払いは違法であり、悪徳会社である。ダメな社長は「勤務時間内に仕事を終えられない社員が悪い」と思っている。しかし、そのような考え方が通用するわけがなく、いずれ社員は会社を去り、会社は立ち行かなくなるだろう。
ワースト2. 長時間労働をさせる
長時間労働をさせるのは、社長自身が長時間労働をしてきたからだ。寸暇を惜しんで働くからこそ成功すると思っている。社長は、それでいい。しかし、社員にそれを押し付けてはならない。仕事だけでなく、プライベートも充実させたい人もいる。そのような人と共存することが会社全体の成長につながることに、ダメな社長は気付かないのだ。
ワースト3. 有給休暇にいい顔をしない
有給休暇を社員に取得させることは、会社の義務である。有給休暇の取得にいい顔をしない社長は、自分の目の届かないところで社員が楽しむことが許せないのだ。「社員は支配するもの」と考えているところがダメである。そのような会社に、優秀な社員が集まるわけがない。
ワースト4. パワハラ・セクハラを許容する
自身がパワハラ・セクハラをする、あるいは他人のそれを許容するのは本当にダメな社長だ。パワハラやセクハラは、昭和の時代はある程度許容されていたところがある。しかし、時代の変化とともにそれらが認められなくなっているのは明らかだ。パワハラ・セクハラを認める社長は、まだ昭和の時代を生きているのだ。そのような社長がいる会社に、明るい未来があるはずがない。
ワースト5. すぐに「家族的」を持ち出す
「家族的な会社」は、一見良さそうに見える。しかし、何かと「家族的」を持ち出すのはダメな社長だ。ダメな社長が言う「家族」は、「あうんの呼吸で互いがわかり合う」ことを意味していることが多い。しかし実際は、社員は会社と雇用契約で結ばれ、また会社はさまざまな法律で規制されている。それを理解していない社長の会社が生き残るのは、難しいだろう。
ダメ社長に共通する癖とは?こんな口癖にも要注意
周りから軽蔑されず、尊敬されるような社長を目指すなら、ついやりがちな癖や口癖にも注意したい。会社で最も目立つ存在の社長は、細かい言動まで見られている可能性が高いためだ。
以下では、ダメな社長に共通する6つの癖を紹介する。
悪い癖1. 特別な立場であることの自覚がない
当然だが、一般的な社員と社長とでは会社での役割が異なる。例えば、社員はすでに作られたコミュニティで仕事をこなすが、社長は自らが新しいコミュニティを作る立場だ。そのため、社員と同じ目線で業務にあたると、社長としての役割を果たせないことがある。
悪い癖2. 感覚的に意思決定や仕事をこなす
経営判断をするにあたって、直感が重要になる場面もあるだろう。しかし、直感での経営判断には根拠や再現性がないため、いずれは間違ったり行き詰まったりしてしまう。経営はあくまで数字やデータで語るものであり、感覚だけで判断すべきではない。知識やノウハウを蓄積するためにも、「おそらくこうした方がいい」と感覚的に判断することは控えたいところだ。
悪い癖3. すべてを把握したがる
小規模な会社であっても、すべての経営情報を把握するには膨大な手間がかかる。また、社員の意思決定や問題解決の機会を奪う形となるため、人材育成の面でもマイクロマネジメントは望ましくない。スピード感のある経営を目指している場合は、重要な意思決定もある程度は社員に任せることが重要だ。
悪い癖4. 社員に責任を持たせようとする
社員がミスやトラブルを起こしたときに、「どう挽回するのか」と責任を当事者のみに押しつけていないだろうか。失敗した事業や赤字の責任を取らせようとすると、社員は思い切った挑戦ができなくなり、最終的には退職へとつながってしまう。会社の失敗は、基本的に人材をアサインした側の責任であるため、社長自身が埋め合わせのために動くことを意識したい。
悪い癖5. 早い意思決定より、正しい決断にこだわる
「成果を出そう」「間違わないようにしよう」など、正しい決断にこだわる癖も直したいところだ。消費トレンドの変化が激しい現代では、意思決定が遅れるとチャンスを逃してしまう。間違える可能性があったとしても、時には正しさより”早さ”を意識する必要がある。
悪い癖6. 現実から学ぼうとしない
「○○社は毎月1億円を達成している」のように、理想を追い求めがちな社長も会社をダメにする。自社の現実を受け止めなければ、正しい経営計画を立てることは難しいため、社員も負担を押しつける形になってしまう。社長が自身のスキルを上げるには、市場環境や顧客、取引先などの現実から学び、その知識を実務に活かすことが必要だ。
ダメ社長かどうかが分かるチェックリスト
経営能力が優れた社長であっても、自分自身を客観的に判断することは難しい場合がある。そのため、これまでの行動を思い返しながら、以下のようなチェックリストを活用してほしい。
自身での判断が難しい場合は、第三者に頼る方法も一つの手だ。プライベートに共通する特徴もあるため、上記のチェックリストを家族などに見てもらうと、新たな発見があるかもしれない。
ダメな社長にならないよう気を付けよう
すべての項目を合計すると、ダメな社長には28の特徴がある。社長にもさまざまなタイプがあるため、良い社長・ダメな社長の特徴を一概にまとめることはできない。
本記事のチェックリストを活用し、当てはまる特徴が一つでもある場合は、これまでの言動を思い返してみよう。
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