株式型クラウドファンディング(CF)プラットフォーマーのトップ2人が、株式型CFについて存分に語り合ってもらう同企画。#1では、CF市場全体の展望や株式型CFの魅力について語ってもらった。#2では、銘柄選別や投資手法について、引き続きイークラウド代表取締役の波多江直彦さんと、ユニコーン代表取締役CEO(最高経営責任者)の安田次郎さんに話を聞いていく。株式型CFは、超人気アニメ・ドラゴンボールに出てくる「元気玉」のようなものだった――!?
※この記事は10月12日に行われたZUU onlineのウェビナーを基に再構成されたものです。
慶應義塾大学法学部卒業後、サイバーエージェントに入社。広告代理部門、スマホメディア、オークション事業の立ち上げ、子会社役員などを経てサイバーエージェント・ベンチャーズで投資事業に従事。その後、XTech VenturesでパートナーとしてVR(仮想現実)、SaaS、モビリティ、HRTech、シェアリングエコノミー、サブスクリプションサービスなどへの投資実行を担当する。2018年7月にイークラウドを創業し、代表取締役に就任。
国際証券(現三菱UFJモルガンスタンレー証券)にて、本邦企業の資本政策・資金調達やIR戦略の立案、執行に従事。その後、クレディ・スイス証券、リーマン・ブラザーズ証券の株式資本市場部に籍を置き、国内外における株式及び株式関連の資金調達(IPO含む)において数多くの主幹事案件を担当。野村證券移籍後は、第三者割当型の資金調達や、事業会社が保有する株式の売却や自社株買いなどの案件について、デリバティブ(金融派生商品)を活用したスキームなどのソリューション提供業務を手掛ける。2019年2月より現職。ユニコーンでは9号案件が実施中。
株価のバリュエーションは上場銘柄との比較で判断
――株式型CFの個別案件の「株価」は募集時にプラットフォーマーから提示されるわけですが、その株価が適正であるかどうかの判断は個人投資家には難しいですよね。
波多江 株式型CFの案件は、すでにプラットフォーマーが将来的に有望だったり、成長性があると判断しているわけなので、当然、将来的には株価の上昇が期待できます。ただ、この「株価の上昇」にはIPOやM&Aが前提になっているので注意が必要です。
たとえば、東証マザーズに新規上場する企業の中には、上場直後から時価総額が100億円を超える銘柄もありますよね。株式型CFで資金調達をする時点で、その企業の時価総額が5億円や10億円程度の規模なら、IPOが実現されれば10倍、20倍になる可能性を秘めていることになります。
ベンチャーキャピタルなどでは、その企業がIPOをする時の時価総額を予想して、その数値からリターンやリスクを算出する手法が用いられます。売上高が10億円程度だったり損益が赤字だったりしても、トレンドに沿った事業を手掛ける企業であれば、高く評価されるケースもあります。
個人投資家の方々は、すでにIPOを果たした類似企業と比べて、「この企業なら時価総額100億円は可能だろう」「さらに成長することができそうだ」というような判断をしていただければいいのではないでしょうか。
――株価のバリュエーション(割安なのか割高なのか)を判断する方法はあるのでしょうか。
波多江 企業のバリュエーション評価には、たとえばDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法や株価倍率法といったさまざまな手法が用いられますが、ベンチャー企業に関してはそこをあまり細かくやってしまうと、逆に正確な価値を見誤ってしまう可能性があります。というのも、ベンチャー企業は将来に向けた事業計画だったり、目指している世界に向かうために資金を調達することもあるからです。そのため、イークラウドでは「この手法を使う」といった、決まった評価基準はありません。
企業経営者の「こういう理由だから、どのくらいのバリュエーションでいくらくらいの資金調達をしたい」という方針のうち、「こういう理由だから」というロジックの筋が通っているか、投資に対してリターンとリスクが見合っているかという部分を大切にしています。
――あまり足元の細かい数字にとらわれず、その事業の魅力や将来性を見るべきということですね。
波多江 経営者の事業に対する“熱量”も大きく関係してきますね。あとは、やはりエグジットに結びつかないと大きなリターンは期待できませんから、その企業の事業領域がIPOやM&Aに至りそうな内容なのかを考えることも大事です。
――投資のリスクを減らしたり、有望銘柄を見極めるための手段はありませんか?