新型コロナウイルスの感染拡大、そして今年(2020年)4月初めの「緊急事態宣言」に伴い「テレワーク」を導入した企業も多い。「テレワーク関連株」への注目も高まっている。
ではテレワーク関連企業は本当に成長しているのだろうか。
いくつか取り上げてみよう。
まず必要になるのがセキュリティだ。 例えばソリトンシステムズ(3040)は「働き方改革」を軸としたセキュリティ対策ソフトやシステム構築に強みがある。同社の株価は新型コロナウイルスの感染拡大の傾向が強まった今年3月ごろから比較的急激に上昇し、その後も上昇傾向を続けている。
また同社の2020年の第3四半期決算によれば前年同四半期比で営業利益が80.9パーセント増、経常利益が109.6パーセント増となっている。
テレワークで必須となるのが業務進捗の管理やコミュニケーションツールだ。サイボウズ(4776)は在宅勤務に対応するグループウェアを提供しており、2010年から自社でもテレワークの取り組みを進めていた。
ソリトンシステムズと同様に3月初旬から株価は上昇し、売上高も今年1月から9月まで前年同期比で110パーセントを超えている。営業利益についても4月以降は9月を除き110パーセント以上となっている(参考)。
また業務の進捗にはオンライン会議も必須となろう。 ブイキューブ(3681)はウェブ会議システムを提供している。
同社の2020年12月期第3四半期決算においても前年同期比17.3パーセント増となっている(参考)。
また業務のプロセスの中では名刺交換や契約書といった従来紙ベースであったものの電子化も必要となる。
例えばSansan(4443)はクラウド名刺交換サービスを提供する。
経常利益は前年同期比でマイナスとなっているが、売上高や売上総利益は増加している。
また契約書など紙文書の電子化としてはGMOクラウド(3788)が電子契約サービスを展開する。
株価は今年4月ごろから上昇傾向にあり、2020年12月期第3四半期決算では売上高は前年同月比+3.9パーセント、営業利益は童+1.7パーセント、経常利益は+8.0パーセントとなっている(参考)。
以上のようにテレワーク関連株はおおむね期待通りに株価の上昇、売り上げの増加が見られている。
パンデミックによる「緊急事態宣言」に対する緊急措置としてテレワークは日本において急速に進められたものの、7月にはこれを導入した約4分の1が一旦取りやめたとしている。
感染拡大が改めて取りざたされる中、テレワークは再度トレンドとなるだろうか。テレワークを巡る動向から目が離せない。
株式会社原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA)
元キャリア外交官である原田武夫が2007年に設立登記(本社:東京・丸の内)。グローバル・マクロ(国際的な資金循環)と地政学リスクの分析をベースとした予測分析シナリオを定量分析と定性分析による独自の手法で作成・公表している。それに基づく調査分析レポートはトムソン・ロイターで配信され、国内外の有力機関投資家等から定評を得ている。「パックス・ジャポニカ」の実現を掲げた独立系シンクタンクとしての活動の他、国内外有力企業に対する経営コンサルティングや社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。
グローバル・インテリジェンス・ユニット リサーチャー
佐藤 奈桜 記す