(本記事は、佐藤 祐一郎氏の著書『小さくても勝てる!』の中から一部を抜粋・編集しています)
「口にチャック」をしてからうまくいきだした
●とにかく聞くことに徹する
結局のところ、それまでの私は社員にしっかり向き合っていなかった。それが、社内でコミュニケーション・ギャップが生まれていた原因です。
だから採用しても結局は定着せず、ほとんどが辞めてしまった。
そのなかで私が変えたこと。それは口にチャックをして必要なこと以外は喋らず、聞き手に回ることでした。
社内のコミュニケーションが十分でなかった時期と現在、いちばん変わったことは何か。「口にチャック」と自分自身に言い聞かせることで、私自身が人の話を聞くようになったことなのです。
黙って社員の話を聞いていると、気づくことがたくさんあります。そのとき思いついたことを、かつての自分は遠慮せず、バーッと話していました。つきあいが長く、ウマが合う人であれば、それでもいいでしょう。ところが、そうではない相手、特にまだ私との距離がある若い人にとっては、聞いているだけでつらくなるはずです。
この聞いていることすら面倒くさくなる気持ちを、私はまったく理解していなかった。理解していないから、自分が話したぶんだけ、コミュニケーションをとった気分になっていたのです。
自分が話すと、その間、相手の話を聞くことができませんし、相手は伝える機会を失ってしまいます。いろいろなことに気づくことができないままで時間がすぎていることになります。
人の話を聞くことができている人にとっては当たり前のことかもしれません。ですが、私がこの当たり前のことができるようになるにつれて、社内コミュニケーションがうまく回るようになっていきました。
前述の「大阪コテコテツアー」に営業サポート部の女子社員たちを連れていったときのこと。この「女子会」では、私はガイドに徹し、会社のことなど一切しゃべらず聞き役に回りました。すると「昭和のキャバレー」で横に座った店の女の子と女子社員が大盛り上がり。時間オーバーしてしまいました。社長の「口にチャック」は大切ですね。