「つみたてNISAを始めたいけど、後で積み立てる金額を変更できるかわからない」という方は多いかもしれません。

結論から言うと、つみたてNISAでは積立金額の変更はいつでもできます。つみたてNISAと各金融機関のルールの範囲内に収まっている必要はありますが、後で減額も増額も可能です。

本記事ではつみたてNISAの基本的なルールと、金額変更に柔軟に対応できるおすすめのネット証券をご紹介します。

つみたてNISAはいつでも積立の金額変更ができる

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(画像=PIXTA)

つみたてNISAは、積立ルールの範囲内ならいつでも積立金額を変更できます。

つみたてNISAの基本 月に約3.3万円まで投資できる

つみたてNISAは年間40万円の投資枠を超えない範囲で金額を設定します。

基本は月に1回積み立てる「毎月コース」なので、月に3万3,333円までの範囲で好きな積立金額を設定します。

つみたてNISAはこの範囲内であれば運用益が非課税となるお得な制度。できる限りこの3万3,333円を最大限利用して投資をしたいものです。

つみたてNISAはどのくらいお得なの?
通常の投資では、運用益に20%ほど課税されてしまうので、たとえば100万円の運用益が出た場合、実際に手にできるのは約80万円になってしまいます。

一方、これがつみたてNISA なら非課税となり、100万円がそのまま手取りになります。

つみたてNISAは積立後も金額は変更可能

範囲内であれば、積み立てをスタートした後でも投資金額は変更できます。

たとえば「このままのペースでは非課税枠を使いきれない時」や、「スタート時よりも余裕ができたのでもっと投資したい時」など、状況に応じて投資金額を柔軟に変更していくのがいいでしょう。

「毎日」「毎週」コースを選べる場合も
金融機関によっては毎月コース以外に「毎日コース」や「毎週コース」を選べる場合もあります。積み立てタイミングをより分散させたい場合、どんな積立コースがあるかで金融機関を選択するのもいいでしょう。

つみたてNISAの投資枠を使い切りたいなら、ネット証券がおすすめ

毎月同じ金額で積み立てるのが基本ですが、そのままではつみたてNISAは特性上、どうしても投資枠が余ってしまいます。

つみたてNISAはお得な制度だからこそ、投資枠を最大限活用していきたいものです。

そこで特定の月だけ増額する「ボーナス設定」や、年間40万円の「投資枠を使い切る」よう金額を柔軟に調整できる金融機関を選ぶのがいいでしょう。

その観点から、ネット証券がおすすめだと言えます。

最低額、設定単位は金融機関による ネット証券なら100円以上1円刻み
積立の最低金額や、何円単位で変更できるかは金融機関によって異なります。

ネット証券なら最低金額100円、1円単位で金額を設定できる金融機関も。自由に金額を変更したい方はネット証券を選択しましょう。

つみたてNISAの金額変更がもっとも柔軟にできる証券会社はどこ?

「SBI証券」が一番のおすすめ!

以下にネット証券5社のつみたてNISAの積立ルールを一覧にまとめました。

比較した結果、一番おすすめしたいのは「SBI証券」です。

5社の内、SBI証券はかなり柔軟に積立金額を設定できることがわかります。全ての項目で最も充実した内容になりました。

  積立コース 最低金額、設定単位 ボーナス設定 投資枠を
使い切る設定
SBI証券 毎月
毎週
毎日
最低金額:100円
設定単位:1円

(年2回まで)
NISA枠
ぎりぎり注文
楽天証券 毎月
毎日
最低金額:100円
設定単位:1円

(年2回まで)
増額設定
マネックス
証券
毎月
毎日

最低金額:
※引き落とし方法による
 証券口座から:100円
 銀行口座から:1,000円

設定単位:1円


(年2回まで)
非課税枠
使い切り機能
松井証券 毎月 最低金額:100円
設定単位:1円
- -
auカブコム
証券
毎月 最低金額:100円
設定単位:1円

(年2回まで)
-

・ぜひ使いたい、SBI証券「NISA枠ぎりぎり注文」
SBI証券では「NISA枠ぎりぎり注文」というものを用意しています。

何度目かの積立が「年40万円の枠」を超える場合、この「NISA枠ぎりぎり注文」を設定しないと全額が通常の口座で買い付けられてしまいます。

「NISA枠ぎりぎり注文」を設定すると、自動的に枠に収まる金額に修正されて買い付けられます。

「SBI証券」で投資枠を使い切るためのポイント
ポイントは「ボーナス設定」の併用です。通常の積立だけだと、そもそも年40万円を超える注文を設定できないため、枠を超える注文は起こりません。

ボーナス設定なら枠を超える設定ができます。ボーナス設定で残りの枠以上を買い付けるよう設定し、併せて「NISA枠ぎりぎり注文」を設定します。10円未満の金額は修正されませんが、そうすることでほぼすべての枠を使い切れます。

投資枠を使い切りたいなら「楽天証券」「マネックス証券」も選択肢に

投資枠を使い切れるよう、特別な設定を用意している「楽天証券」「マネックス証券」もおすすめです。

・楽天証券「増額設定」
楽天証券では「増額設定」でつみたてNISA枠を使い切りやすくしています。

ボーナス設定との違いは以下の通りです。増額設定は翌年以降には持ち越されないので、一時的な設定という意味合いです。

  ボーナス設定 増額設定
指定できる月 年2ヵ月まで 残りの積立回数の
すべて
設定の翌年への持ち越し あり なし

・マネックス証券「非課税枠使い切り機能」
マネックス証券はつみたてNISAの枠40万円を使い切れるよう「非課税枠使いきり機能」を用意しています。

SBI証券の「NISA枠ぎりぎり注文」と同じように、積立金額が投資枠を超える際に、投資枠に収まるよう自動的に積立金額を調整する機能です。

その他の積立ルールも確認しておこう

積立の基本となる「毎日」コースと「毎週」コースの差や、ボーナス設定の仕組みも理解しておくと、金融機関選びに役立ちます。

・「毎日」コースと「毎週」コースの差
毎日コースを選択できるのは「SBI証券」「楽天証券」「マネックス証券」で、SBI証券は「毎週コース」も選択できます。

積立コースが異なる場合、積立1回あたりの金額の上限が変わります。毎月なら1回あたり約3.3万円まででしたが、毎日だと約1,600円です。

毎週はSBI証券でしか選択できませんが、1回あたり7,692円が上限です。

  積立1回分の上限
毎月コース 約3.3万円
毎週コース 7,692円(SBI証券)
毎日コース 約1,600円

・ボーナス設定の仕組み 増額する月を2つ選べる
ボーナス設定は「松井証券」以外のネット証券で選べます。通常の積立投資より多くの金額を積み立てる月を最大2ヵ月分選べる設定です。

「普段の収支だとあまり積立できない」という方は、通常の積立金額は控えめにして、ボーナスが出る月の積立金額を増やしてみてはいかがでしょうか。

つみたてNISA金額変更の活用法 4つのパターンごとに解説

つみたてNISAの金額変更は、「増額」だけではありません。減額したり、停止したりもできます。

変更するのはどういうシチュエーションでしょうか。4つのパターン別に、それぞれどのような対処をすればよいか解説します。

①積立が厳しいので減額したい

「減額」「停止」「売却」が選択肢   「考えていたより家計収支が厳しく、積立が苦しい」という場合、積立金額を減らす選択肢が考えられます。

・積立金額を減らす「減額」
・または積立を一時的に止める「停止」
・すでに積み立てた資産の「売却」

の3つの対処が候補です。

家計収支などの状況に合わせて、「減額⇒停止⇒売却」の順に検討しましょう。

※売却はおすすめしない できるだけ継続を
3つの対処のうち、「売却」はあまりおすすめしません。

つみたてNISAは非課税期間が20年間ありますが、売却しても新たに復活することはありません。

つまり、非課税期間をフル活用できなくなってしまいます。

また、長期投資のメリット「複利」が働かなくなってしまう点もデメリットです。複利は長期運用するほどリターンは大きくなり、運用期間が短いと効果が弱くなってしまいます。

年3%の商品に40万円投資した場合
  運用終了時の価格 1年あたりのリターン
5年運用 46.37万円 1.27万円
10年運用 53.76万円 1.38万円
20年運用 72.24万円 1.61万円

どうしてもお金が必要なときは仕方ありませんが、安易な売却はしないようにしましょう。家計収支の見直しも行いながら、できるだけ長く運用するようおすすめします。

積立金額を減らすデメリットについては、もう少し後述します。

②積立金額を増やしたい 

「通常の増額」か「ボーナス設定」を利用

積立金額を今より増やしたい場合、通常の積立金額を増額させるかボーナス設定を活用しましょう。

「時間の分散」を考えると、通常の増額の方が望ましいです。ボーナス設定は積立金額に偏りが出るので、実質的に投資時期の偏りが出てしまうためです。

もちろん、ボーナス設定で増額しても大丈夫です。途中で積立を止めてしまわない限り、時間の分散は充分働くでしょう。

③投資枠を使い切りたい 

「ボーナス設定」か「使い切る設定」で対応

40万円の投資枠を使いきりたい場合、「ボーナス設定」を活用すると便利でしょう。

例えば以下のように積立金額を設定すると、端数が出ずに40万円を使い切れます。

月の積み立て額 ボーナス設定の額
(年2回)
1万円 14万円
1.5万円 11万円
2万円 8万円
2.5万円 5万円
3万円 2万円

また、金融機関に「投資枠を使い切る設定」があるならそちらを使ってもよいでしょう。

上述した3社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)なら、より柔軟に金額を設定できるでしょう。

④投資タイミングをコントロールしたい 

ルール内で積立の変更を繰り返す

つみたてNISAは、本来投資タイミングは選べず、定期積立の投資に限定されています。しかし、積立金額の変更を繰り返せば、実質的に投資タイミングのコントロールは可能です。

注意点は、各金融機関の設定変更スケジュールです。

たとえば「SBI証券」の場合、銀行引き落としでつみたてNISAをしていると、引き落とし請求日の10営業日前までに設定を変更しないといけません。

設定変更スケジュールは金融機関や引き落とし方法でも変わるので注意しましょう。

つみたてNISAの金額を減らす3つのデメリット

つみたてNISAでは積立金額を減らすデメリットがあります。確認してみましょう。

未使用の投資枠が出てしまう

年間40万円の投資枠は毎年割り当てられます。投資できる年は、現行では2037年までですが、2042年まで延長される予定です。仮に2020年につみたてNISAを開始すれば40万円×23年間で累計960万円の投資ができます。

ただし、投資枠の未使用部分は翌年へ繰り越されません。減額すると必ず未使用部分が出るので、累計の投資額は減ってしまいます。

時間の分散が弱くなる

前章の②「積立金額を増やしたい」でも触れましたが、「時間の分散」を考えると積み立て金額は一定の方が望ましく、減額すると効果が弱くなってしまいます。

また、積み立てた銘柄の「売却」は「複利効果」も弱めてしまうため、さらに悪手です。

目標から遠ざかってしまう可能性

他の条件が同じ場合で積立金額を減らすと、当たり前ですが将来の積立金額も減ります。

仮に年間リターン3%で、積立期間を20年間とした場合、積立金額ごとに将来いくらになっているか以下にまとめました。

リターン年間3%の商品に20年間積み立てる場合
積立金額
(年額)
将来の資産額
10万円 268.7万円
20万円 537.4万円
30万円 806.1万円
40万円 1,074.8万円

安易な減額は将来の目標に到達できない可能性があります。

目標到達のためには、いくら積み立てないといけないのか把握することが大切です。

「減債基金係数」を活用しましょう。

目標金額に減債基金係数を掛けると、年間に必要な金額が計算できます。

下記にリターンと積立期間別にまとめました。たとえば、将来1,000万円を積み立てたい場合、年間リターン3%で20年間積み立てるとすると、1,000万円×0.037=37万円となり、年間に37万円積み立てる必要があります。

  積立期間
10年 20年
年間リターン 1% 0.096 0.045
3% 0.087 0.037
5% 0.080 0.030
8% 0.069 0.022
10% 0.063 0.017

つみたてNISAの金額変更はいつでもOK 減額デメリットには注意

つみたてNISAはいつでも金額変更できますが、減額するデメリットには注意しましょう。

特に売却はおすすめしません。家計収支から積立が難しくなった場合、減額⇒停止⇒売却の順に考え、できるだけ継続するようにしましょう。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。

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