「auカブコム証券」は、三菱UFJフィナンシャルグループの証券会社です。かつては「カブドットコム証券」という名称でしたが、2019年12月1日に社名を変更しました。その際非上場化したことで、それまでの「株主還元重視」から「顧客還元重視」へと大きく舵を切りました。

では、auカブコム証券の使い勝手はどうなのでしょうか。今回は、auカブコム証券の手数料を他のネット証券と比較します。また、auカブコム証券の商品やサービスもご紹介します。

auカブコム証券はインターネットだと上限手数料が「3,690円」

auカブコム証券,手数料,比較
(画像=PIXTA)

auカブコム証券の現物株式の手数料を見てみましょう。

表1.auカブコム証券の現物株式取引手数料

約定代金 手数料(税抜)
インターネット 電話
自動応答(IVR)
インターネット手数料
+100円
オペレーター
インターネット手数料
+2,000円
10万円以下 90円 190円 2,090円
20万円以下 180円 280円 2,180円
50万円以下 250円 350円 2,250円
50万円超 約定金額×0.09%+90円
(上限:3,690円)
(上限:3,790円) (上限5,690円)

現物株式では少額取引がおトク

インターネットで10万円以下の取引をすると、手数料は1回あたり90円です。電話でも取引はできますが、インターネットでの取引と比べると自動応答では+100円、オペレーターは+2,000円と割高になります。50万円を超えると約定代金に応じて手数料が決まりますが、インターネットでの上限は3,690円です。

信用取引では売買手数料が0円

株式の取引には、実際に証券会社に預けているお金の範囲内で売買する「現物取引」と、現金や株式を保証金として証券会社に預け、証券会社からお金を借りて株式を買ったり、株を借りて売ったりする「信用取引」があります。auカブコム証券の信用取引手数料は、0円です。

auカブコム証券の手数料を他のネット証券と比較

auカブコム証券の手数料は安いのか、他のネット証券と比較してみましょう。今回比較したのは、代表的なネット証券である「SBI証券」「楽天証券」「松井証券」「DMM.com」「マネックス証券」「ライブスター証券」の6社。結果は以下のとおりです(表2)。

表2.主要ネット証券7社の現物株式(国内)取引手数料の比較

約定
代金
au
カブコム
証券
SBI
証券
楽天
証券
松井
証券
DMM.
com
マネックス
証券
ライブ
スター
証券
5万円 90円 50円
(0円)
50円
(0円)
(0円) 50円 100円 50円
(400円)
10万円 90円 90円
(0円)
90円
(0円)
(0円) 80円 100円 80円
(400円)
20万円 180円 105円
(0円)
105円
(0円)
(0円) 97円 180円 97円
(400円)
50万円 250円 250円
(0円)
250円
(0円)
(0円) 180円 450円 180円
(400円)
100万円 540円 487円
(0円)
487円
(857円)
(1,000円) 340円 (成行)1,000円
(指値)1,500円
340円
(600円)
300万円 2,790円 921円
(1,562円)
921円
(3,000円)
(3,000円) 600円 (成行)3,000円
(指値)4,500円
600円
(1,400円)
1,000万円 3,690円 921円
(4,362円)
921円
(1万円)
(3万円) 800円 (成行)1万円
(指値)1万5,000円
800円
(4,200円)

現物株式取引の手数料

証券会社によっては、1注文ごとに手数料がかかる手数料プランのほか、取引回数の多い人向けに1日の約定代金合計額に対して手数料が設定されているプラン(1日定額プラン)があります。1日定額プランの手数料はカッコ内の金額です。

auカブコムの手数料は、50万円以下の少額取引であれば他のネット証券と同じ水準であることがわかります。100万円を超えると最安値のDMM.comやライブスター証券や、大手のSBI証券や楽天証券との差が広がり始め、300万円以上になると手数料ではかなり不利になります。

信用取引の手数料

次に、信用取引の手数料を比較してみましょう(表3)。現物株式の手数料と同様に、カッコ内の金額は「1日定額プラン」の手数料です。

表3.主要ネット証券7社の信用取引手数料の比較

約定代金 au
カブコム
証券
SBI
証券
楽天
証券
松井
証券
DMM.
com
マネックス
証券
ライブ
スター
証券
10万円 0円 90円
(0円)
90円
(0円)
(0円) 80円 90円 0円
20万円 0円 135円
(0円)
135円
(0円)
(0円) 80円 135円 0円
50万円 0円 180円
(0円)
180円
(0円)
(0円) 80円 180円 0円
100万円 0円 350円
(0円)
350円
(857円)
(1,000円) 80円 350円 0円
300万円 0円 350円
(1,277円)
350円
(3,000円)
(3,000円) 80円 1,000円 0円

auカブコムの信用取引の手数料は無料ですが、SBI証券や楽天証券などの大手でも無料ではなく、ネット証券の中でもかなり特殊な料金体系であることがわかります。

auカブコム証券のメリット

Pontaポイントが貯まる

auカブコム証券で投資信託を購入すると、月間平均保有額に応じて毎月Pontaポイントが貯まります。このプログラムに参加するにはau IDの登録が必要ですが、auユーザーでなくても登録できるので、すべてのスマホユーザーが対象です。

投資信託はノーロード

投資信託は、すべて販売手数料なし(ノーロード)で買えます。ただし、投資信託を維持・管理するための費用(信託報酬など)が別途かかります。

少額から株を購入できる

株は本来100株単位(単元株)で取引する必要がありますが、auカブコム証券のプチ株では1株から買えます。プレミアム積立というサービスでは、月々500円から積み立て方式で株を買うこともできます。

独自の高機能アプリ&ツールを使える

大手のネット証券では、先進的なツールを使えるのもメリットです。auカブコム証券でも高速発注機能を持つ「kabuステーション」や、登録銘柄の株価がリアルタイムで更新される「カブボードフラッシュ」、40種のテクニカル指標を搭載した「ウルトラチャート」などのツールを利用できます。

投資情報が豊富

三菱UFJフィナンシャルグループである強みを活かして、豊富な投資情報や独自レポートを無料で配信しています。また、株スクールやカブ四季総会などのイベントやセミナーを開催するだけでなく、TVやラジオ、Webセミナーなどさまざまな媒体を通して情報を発信しています。

auカブコム証券の取扱商品

auカブコム証券では、現物株式や信用取引のほかにもさまざまな商品を取り扱っています。auカブコム証券の主な取扱商品は、以下のとおりです。

表4.auカブコム証券の主な取扱商品

株式 現物株式 証券口座にある資金で株の売買を行う
信用取引 現金や株を担保として証券会社に
預けて株の取引を行う
IPO/PO 未上場企業が証券取引所に新規で
上場する株を買える
ETF、ETN 日経平均株価や金価格などの指標を株式と
同じように取引所で取引できる
REIT 不動産投資信託。ビルやマンションなどの
不動産に投資できる
投資信託 プロがさまざまな株・債券を組み合わせて運用する商品
FX ドルと円などの為替レートの変動による利益を狙う取引
先物・オプション取引 あらかじめ決められた日に
決められた価格で売買する取引
債券(外国債券) 国や企業がお金を借りるために発行する
有価証券。満期まで利子を受け取れる
外貨建MMF 国や優良企業の債券を対象とした投資信託の一種

表4のとおり、代表的な金融商品を広く取り扱っています。しかし、外国株式の取り扱いがないので、海外の資産に分散投資をしたい場合は外国債券か外貨建MMFを利用することになります。

信用取引を行うなら持っておきたい口座

auカブコム証券がどのような証券会社か、主に手数料の面からご紹介しました。投資の中でも一般的な株式の現物取引の手数料は、50万円以下の取引はネット証券の中では平均的ですが、それ以上になると割高になります。注目すべきは、信用取引の手数料が無料であること。当然ながら、主なネット証券の中で最安です。投資ツールや提供される情報も充実しており、信用取引を行うなら口座を開設して損はない証券会社といえます。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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