新型コロナウイルスの影響で閉塞感が漂う日本経済ですが、起業を目指す人は今もあとを絶ちません。いよいよ2020年も終わりますが、来年はいったいどのようなビジネスがトレンドになるのでしょうか。起業を考えるならぜひ押さえておきたい、5つのビジネスを紹介します。

目次

  1. 2021年は“オリンピック”と“コロナ”に関心が集まる
  2. 2021年、起業のトレンドになりそうな分野は?
  3. (1)大本命の5G技術を使った「バーチャルイベント事業」
  4. (2)情報化社会で需要が多い「情報発信ビジネス」
  5. (3)空の輸送革命を先取りする「ドローン配送事業」
  6. (4)健康志向×自然回帰で需要が増えそうな「スマート農業」
  7. (5)まだ競合が少ない、第3の中食「ケータリング」

2021年は“オリンピック”と“コロナ”に関心が集まる

トレンド,ビジネス
(画像=kegfire/stock.adobe.com)

コロナ一色となった2020年ですが、2021年はどのような一年になるのでしょうか。まだまだ不安は残るものの、やはり最大の注目は「東京オリンピック・パラリンピック」です。世界的に依然として感染者が増加を続けるなかで、いかに安全に実施できるか、またその安全性をどのように説明するかが至上命題だといえるでしょう。

日本に限っていえば、政府が2021年前半までの国民全員分のワクチン確保に向け動いており、10月27日には予防接種法の改正案が閣議決定されています。ワクチンは米大手製薬会社のファイザーと英アストラゼネカからそれぞれ1億2,000回分の供給を受けることで基本合意しているほか、米モデルナなどとも協議が続いています。国民全員のワクチン接種が実現すれば、コロナ収束に向け大きな前進になると予想されます。

こうした動きはすでに海外でも活発になっています。アメリカでは、ファイザーが2020年11月後半には規制当局に緊急使用の許可を申請する見通しです。ファイザーはドイツのビオンテックとワクチンの開発を進めており、2020年10月の時点で第3段階の臨床試験を行っています。ほかに中国、ロシアでもワクチン開発・承認が進んでおり、その実用化に注目が集まっています。

2021年、起業のトレンドになりそうな分野は?

では、2021年に起業においてトレンドになるのは、どのような分野といえるでしょうか。コロナ禍の状況はまだ続くことが予想されるため、引き続き「新しい日常」関連の分野が有望になりそうです。なるべく人と接することを少なくするため、バーチャルなサービスや、自宅で受けられるサービスなどが需要を喚起しそうです。

また、5Gを使ったさまざまなサービスも次々に登場してくるでしょう。バーチャルなサービスに利用されるVR(仮想現実)の技術もさらに向上しそうです。例としては、米国の通信キャリアであるスプリントはサッカー大会で5Gを活用して試合の4Kライブ映像を配信する実証実験を、同じく米国の通信大手のベライゾンもプロバスケットリーグの試合で、360度VR映像を配信する5G実証実験を行っています。今後日本の通信キャリアも同様の取り組みを行うかもしれません。

ほかにも注目すべきトレンドは数多くあります。では、2021年に起業するのに有望と思われる事業を紹介していきます。

(1)大本命の5G技術を使った「バーチャルイベント事業」

2020年から実用開始した5Gは、2021年もトレンドの中心になることは間違いないでしょう。「高速」「大容量通信」「低遅延」「多接続」という5Gの利点を生かしたサービスの開発競争が進みそうです。

なかでも広がりを見せそうなのが「バーチャルイベント事業」です。2020年はコロナ禍で海外渡航が禁止になったり、さまざまなイベントが中止になったりしただけに、xR(VR、MR、MRなどの総称)の世界で代替需要が生まれる可能性は十分にあります。

xRビジネスはすでに様々な企業が参入していますが、たとえば仮想現実でファーストクラスのフライトが体験できる「ファーストエアライン」(東京・池袋)の例がわかりやすいでしょう。飛行機の機内を模した部屋に入場し、ファーストクラス、ビジネスクラスから座席を選択し、着席します。離陸時間になるとVRゴーグルを付けて、実際のフライトさながらの映像で空の旅を擬似体験するというサービスです。xRのなかでもVRは、VR専門のアミューズメント施設もあるなど、高いエンターテインメント性が強みです。

こうしたエンターテインメントが、5G技術を活用することでさらなる進化が可能になるでしょう。たとえば、まだまだ一般的ではありませんが、2021年は5Gを活用した「バーチャルコンサート」が浸透する可能性すらあります。実際に、2020年8月には嵐がソフトバンクグループの記者発表会で5Gを使ったファンとの「バーチャル大合唱」を披露しています。

大容量・低遅延といった5Gの特性を活かすことで、これまでなかなか表現が難しかった“ライブ感”を演出することもできるはずです。2021年、無限の可能性が広がっているフィールドだといえるでしょう。

(2)情報化社会で需要が多い「情報発信ビジネス」

情報化社会を象徴するような事業に、「情報発信ビジネス」があります。この事業のメリットはほとんど資本が必要ないことです。事業の舞台になるのはブログ、メールマガジン、SNS、YouTubeなどで、パソコン1台あれば自宅で始めることができます。

情報発信ビジネスの収益源はいくつかあります。ひとつは成果報酬型広告、つまり「アフィリエイト」による収入です。ブログやメールマガジンの情報を見た読者が、そこに掲載されている広告をクリックして商品を購入すると成果報酬が入るといった仕組みです。アフィリエイトでは、ひとつの分野に特化した専門性の高いサイトのほうが成果に結び付きやすいなどのポイントがあるようです。

また、YouTube広告も広義ではアフィリエイトといえるでしょう。動画をアップして、広告の再生完了数などに応じて収入を得ることができ、人気Youtuberになると億単位の収入になる人もいます。

もうひとつはコンサルタント系のブログやホームページを立ち上げ、アクセスして興味を持ってくれた人にノウハウや本などを買ってもらう「物販収入」です。情報発信ビジネスは、メディアを立ち上げるのに手間は掛かりますが、初期投資における負担が少ないので、検討する価値はあるでしょう。

(3)空の輸送革命を先取りする「ドローン配送事業」

2021年は“空の輸送革命”が本格化するかもしれません。SFの世界の話だと思っていた空飛ぶタクシーも実証実験が始まる段階まで開発が進んでいます。

“空の輸送革命”と表現した理由は、これから「ドローン配送事業」が本格的に普及する可能性が見えてきたからです。なお、アメリカでは2020年8月に、Amazonが米連邦航空局(FAA)からドローン配送サービスがの正式な認可を受けるまでに進んでいます。

ドローン配送のメリットのひとつは、道路渋滞に巻き込まれずに予定どおり商品を届けることができることです。空の輸送ですので、災害で孤立した地域へ食料や水を配送することにも役立てることができます。また、一般的なトラック輸送に比べれば、少ない物流費用で運営できるのもメリットです。

2020年6月に政府は、2022年を目処に有人地帯での補助者なし目視外飛行(レベル4)の実現に向けた、具体的な検討を開始すると発表しています。環境整備や技術開発が順調に進めば、2022年度以降、ドローン分野は企業参入が増える可能性があります。その意味ではドローン配送の関連事業を起業するなら2021年がチャンスと考えることもできます。

ただし、日本では現状ドローン配送事業は航空法で飛行場所や飛行方法、飛行時間が規制されています。どこでも飛ばせるわけではないので、ドローン配送を視野に入れた法制度の改正を期待しつつも、現行のルールの確認が必要です。また、2020年6月からは改正航空法によって、200グラム以上のドローンの所有者は氏名や住所、機種などを国土交通省に申請してIDを登録することが義務づけられています。

(4)健康志向×自然回帰で需要が増えそうな「スマート農業」

2020年は、コロナ禍でかつてないほどに“健康意識”が高まった一年でもあります。そのため、2021年も健康志向はトレンドのひとつになると考えられます。心身の健康のため都市部から地方への移住も決して珍しくなくなった現在、注目されている事業が「スマート農業」です。

農林水産省のホームページでは、スマート農業を「ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して省力化・精密化や高品質生産を実現するなどを推進している新たな農業」と説明しています。農業といえば、高齢化が進むなかで労働力の確保が課題となっている分野ですが、ロボット技術やスマホで操作する情報通信技術を使うことで作業の自動化・省力化が図られ、事業規模の拡大が可能になります。

農地も必要になるため初期投資はかさみますが、軌道に乗ればAIで一元管理し、「儲かる農業」を実現できる可能性は十分にあります。

(5)まだ競合が少ない、第3の中食「ケータリング」

コロナ禍でもあり、飲食店でパーティを行うのは難しい環境が続いています。そこで2021年に需要が増えそうなのが、テイクアウト(持ち帰り)、デリバリー(出前)に次ぐ第3の中食「ケータリング」です。

ケータリングとは、パーティ会場に出向いて調理してきた料理を配膳するサービスのことをいいます。コロナ禍の状況では、新たにレストランなどを開業するのはリスクが大きいでしょう。ケータリングであれば店舗は必要なく、調理や配膳のための厨房だけあれば開業できます。

コロナの影響でレセプションパーティのような法人向けの需要は厳しそうですが、個人宅のホームパーティを中心にすれば、外出を避けたい消費者の需要を取り込めるかもしれません。テイクアウトやデリバリーほど一般的ではないので競合が少ない点でも有利です。

ここまで2021年にトレンドになりそうなビジネスについて見てきました。コロナ禍の閉塞感を打ち破るようなビジネスが登場することが期待されます。

※本記事は2020年10月20日時点の状況をもとに作成しています。新型コロナウイルスを巡る動きは流動的ですので、最新の情報をご確認ください。(提供:JPRIME

執筆:内宮慶之
ファイナンシャルプランナー。現在、大阪市天王寺区でFP事務所を開業しており、講師業・相談業・執筆業を主に営んでおります。山登りが大好きで、自然のなかにいることが何より癒される今日この頃です。
https://fp1-uchimiya.sakura.ne.jp/wp/


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