カードローンは決まった額の定期的な返済(約定返済)のほか、ローン残高を一度に払ってしまう「一括返済」も可能です。
残高がなくなるわけですから、一括返済で利息が減るのは想像が付くと思います。では、どれくらい利息が減るのでしょうか。
本記事では「カードローンを一括返済すると、どれくらい利息が減少するのか」についてお伝えします。計算方法や一括返済のメリット、デメリットについても紹介します。
カードローンを利用している方には有益な情報なので、ぜひ参考にしてください。
カードローンは一括返済がおすすめ 数万円お得になる場合も!
カードローンを一括返済すると、利息はどれくらい減るのでしょうか。一括返済の概要と、計算方法を確認しましょう。
カードローン 「約定返済」と「一括返済」の違い
本記事ではカードローンの「一括返済」についてお伝えしますが、一括返済に対し、通常の定期的な返済を「約定返済」といいます。
両者の概要は以下の通りです。
約定返済:契約の際に定められた指定の日に、決まった額を返済する方法。返済は義務。
一括返済:約定返済と別に返済し、完済してしまう方法。義務ではなく、任意の返済。
「約定返済」は、カードローンと約束した返済ルールです。返済が義務付けられているので、遅延や滞納はペナルティが発生します。
一方、「一括返済」は義務ではありません。一括返済しなくても、約定返済さえしていればペナルティはありません。
カードローンの利息の計算方法 「借り入れ日数を減らせば利息が減る!」
カードローンの利息は、以下の式で計算されます。
利息=借り入れ金額×金利×借り入れ日数÷365日
例えば20万円を金利18%で借りている場合を考えてみましょう。ひと月を30日とすれば、月に約3,000円の利息が発生する計算です(20万円×18%×30日÷365日)。
カードローンの残高がある限り利息が発生しますが、一括返済で完済してしまえば利息は発生しません。
カードローン 一括返済の利息シミュレーション
カードローンを一括返済した場合、利息がどれくらい減るか計算してみましょう。カードローンの条件は以下とします。
借り入れ金額:20万円
金利:18%
月の返済額:1万円
返済方式:元利定額方式
※ひと月を30日とし計算
「元利定額方式」とは、月の返済額から利息を引き、残りで元金を返す方式です。上記の場合、返済額1万円の中から利息を支払い、残りで元金を返済します。
なお、もう1つの返済方式「元金定額方式」は、元金の返済額を事前に確定させ、利息は別に支払う方法です。仮に「元金定額方式で月に1万円の返済」という場合、実際の返済額は4,000円に利息を加えた金額になります。
✔︎利息の負担高!約定返済だけで返済した場合の利息シミュレーション
上記の条件で約定返済だけ行った場合、以下のような返済になります。
返済時点の残高 | 月の利息 | 月の返済額 | 返済後の残高 | |
---|---|---|---|---|
1回 | 200,000円 | 2,958円 | 10,000円 | 192,958円 |
2回 | 192,958円 | 2,854円 | 10,000円 | 185,812円 |
23回 | 18,468円 | 273円 | 10,000円 | 8,741円 |
24回 | 8,741円 | 129円 | 8,870円 | 0円 |
計 | 38,870円 | 238,870円 |
まとめると以下のようになります。完済まで24回かかり、利息の負担額は約3.9万円となりました。
返済回数 | 24回 |
---|---|
総返済金額 | 23万8,870円 |
総利息額 | 3万8,870円 |
✔︎利息が数万円お得に!半年後に一括返済した場合の利息シミュレーション
次に借り入れてから半年後に一括返済する場合、以下のようになります。半年後(6回目)の約定返済後の残高、15万6,155円を一括返済します。
返済時点の残高 | 月の利息 | 月の返済額 | 返済後の残高 | |
---|---|---|---|---|
1回 | 200,000円 | 2,958円 | 10,000円 | 192,958円 |
2回 | 192,958円 | 2,854円 | 10,000円 | 185,812円 |
6回 | 163,733円 | 2,422円 | 10,000円 | 156,155円 |
一括返済 | 156,155円 | - | 156,155円 | 0円 |
計 | 16,155円 | 216,155円 |
約定返済だけ返済した場合と比較しながらまとめると、以下のようになります。
借り入れ期間は1年半短くなり、利息を約2.3万円節約できました。
約定返済のみ | 半年後に一括返済 | 差 | |
---|---|---|---|
返済回数 | 24回 | 7回 (約定返済6回) |
▲17回 |
総返済金額 | 23万8,870円 | 21万6,155円 | ▲2万2,715円 |
総利息額 | 3万8,870円 | 1万6,155円 | ▲2万2,715円 |
カードローンで一括返済するメリット
カードローンを一括返済する場合のメリットをあらためて確認しましょう。
一括返済のメリット①:利息を減らせる
一括返済のメリット②:信用情報の履歴(クレジットヒストリー)が向上する
一括返済のメリット③:利用枠が復活する
メリット①:利息を減らせる
上述の通り、一括返済すると利息の負担が減らせます。一括返済の最大のメリットといえるでしょう。
メリット②:信用情報の履歴(クレジットヒストリー)が向上する
カードローンの利用や返済の記録は「信用情報機関」に登録されます。これを「クレジットヒストリー(クレヒス)」といいます。
クレジットヒストリーは、他のローン会社とも共有されます。完済の記録も残るため、一括返済は「きちんと返済した」実績になり、他のローン申し込みで有利に働く可能性に期待できます。
メリット③:利用枠が復活する
一括返済すればカードローン残高がなくなりますから、借り入れ枠が復活します。またいつでも借りられる状況に戻せる点はメリットといえるでしょう。
カードローンで一括返済するデメリット
一括返済はメリットばかりではありません。デメリットも確認しておきましょう。
一括返済のデメリット①:やりくりは一時的に厳しくなる
一括返済のデメリット②:手数料が掛かる場合がある
デメリット①:やりくりは一時的に厳しくなる 余裕がある時に
一括返済は、一時的に支出が多くなります。家計収支が厳しくなる可能性があるので、余裕がある時に行いましょう。
デメリット②:手数料が掛かる場合がある 手数料無料の方法で行う
一括返済の方法によっては、別途手数料が掛かる可能性があります。できるだけ手数料が掛からない方法で一括返済しましょう。
カードローンの一括返済で注意したい3つのポイント
デメリット以外に、以下3つのポイントにも注意しましょう。
・①約定返済が残る場合がある
・②複数のローンがある場合、他の約定返済が滞らないようにする
・③カードの契約自体は消えない
それぞれ解説します。
①約定返済が残る場合がある 最後の返済忘れに注意
一括返済は、あくまで約定返済の追加で行う方法です。カードローンや返済方法によっては、一括返済では完済とならず、最後の約定返済で完済となるパターンもあります。
一括返済する場合、完済するにはどうすればよいか、カードローン会社に確認した方がよいでしょう。
②複数のローンがある場合、他の約定返済が滞らないようにする
カードローン契約が複数ある場合、一括返済するカードローン以外の約定返済を忘れないようにしましょう。
上述のように、約定返済が滞るとペナルティがあります。
✔︎【返済のコツ】複数のローンは、金利が高い順に一括返済
カードローンを複数契約している場合、「どのカードローンから一括返済すればいい?」と疑問に思うかもしれません。
利息の計算式を思い出しましょう。利息は借り入れ金額に金利を掛けて計算されるので、金利が高いほど利息は大きくなります。金利が高いカードローンから順に一括返済しましょう。
③カードの契約自体は消えない
カードローンを完済しても、カードローンの契約自体は残るので注意しましょう。契約を残していても特にデメリットはありませんが、もう使いたくない場合は別途解約手続きを行いましょう。
カードローンを一括返済する3つの手順
カードローンを一括返済するには、大まかに3つの手順があります。
手順①:残高を確認する
手順②:“完済”できる返済方法を確認
手順③:一括返済する
それぞれ確認しましょう。
手順①:残高を確認する
利息は日割りで計算されるため、一括返済する日によって完済に必要な金額が異なります。一括返済する日の残高を必ず確認しましょう。
手順②:“完済”できる返済方法を確認 方法によっては残高が一部残ってしまう
カードローンや一括返済の方法によって、残高が多少残る場合があります。特に以下の2つに注意しましょう。
・未収利息:一括返済で利息精算されない場合に残る
・無利息残高:ATM返済時の1,000円未満の残高
完済する方法はカードローン会社によって異なります。事前に確認しましょう。
手順③:一括返済する 事前に連絡が必要な場合も
残高と方法が分かったら一括返済しましょう。事前に連絡が必要なカードローンもありますので注意しましょう。
一括返済できない場合、一部の「繰上返済」でも利息は減る
「早く返したいけど、一括返済できるほどの余裕はない」という場合、残高の一部を追加で返済する「繰上返済」を検討してはいかがでしょうか。一括返済ほどではないですが、利息を減らす効果があります。
「繰り上げ返済」のシミュレーション
上記で紹介した一括返済とのシミュレーションと同じ条件で計算してみましょう。以下の条件で借り入れ、半年後に10万円を繰上返済すると仮定します。
借り入れ金額:20万円
金利:18%
月の返済額:1万円
返済方式:元利定額方式
※ひと月を30日とし計算
返済時点の残高 | 月の利息 | 月の返済額 | 返済後の残高 | |
1回 | 200,000円 | 2,958円 | 10,000円 | 192,958円 |
2回 | 192,958円 | 2,854円 | 10,000円 | 185,812円 |
6回 | 163,733円 | 2,422円 | 10,000円 | 156,155円 |
繰上返済 (10万円) |
156,155円 | - | 100,000円 | 56,155円 |
7回 | 56,155円 | 830円 | 10,000円 | 46,985円 |
12回 | 8,929円 | 132円 | 9,061円 | 0円 |
計 | 19,061円 | 219,061円 |
約定返済のみ、また半年後に一括返済する場合と比較し、まとめると以下のようになります。
約定返済のみ | 半年後に一括返済 | 半年後に10万円 繰上返済 |
|
---|---|---|---|
返済回数 | 24回 | 7回 (約定返済6回) |
13回 (約定返済12回) |
総返済金額 | 23万8,870円 | 21万6,155円 | 21万9,061円 |
総利息額 | 3万8,870円 | 1万6,155円 | 1万9,061円 |
一括返済ほどではありませんが、利息の負担額が減り、総返済額を減らせることが分かります。
「繰上返済」なら無理のない金額で返済できる
一括返済は残高が大きいと必要なお金も大きくなりますが、繰上返済は無理のない範囲で行えます。資金のやりくりがしやすい点はメリットといえるでしょう。
一括返済と繰り上げ返済を活用し、できるだけ早い返済を心がけましょう
利息の節約を考えれば一括返済の方が望ましいですが、資金に余裕がない場合、繰上返済でも充分効果は期待できます。いずれの方法も、家計に余裕がある場合に活用しましょう。
文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有。
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