医療スタートアップのサスメド株式会社が、ブロックチェーンで臨床試験(治験)を効率化するシステムを2021年に実用化する予定であることを明らかにした。6日、同社がプレスリリースで発表した。
サスメドは2019年に認定を受けて取り組んできた「新技術等実証制度」に基づき、国立がん研究センターとブロックチェーンを使った実証実験を行なってきた。
新技術等実証制度とは、事業者が実証実験を行い、事業者から実証データの報告を受けた政府が実証結果に基づく規制の見直しや変更を行うと制度のことだ。
リリースによると、実証実験の結果、サスメドの有するブロックチェーンにより、医薬品や医療機器等の臨床試験で求められるモニタリングを代替することが法令上認められる旨、および厚生労働大臣及び経済産業大臣から通知を受けたという。
サスメドのシステムを臨床試験に活用することを国が認めた形だ。
サスメドによると、医療機関や製薬会社などをブロックチェーンでつなぐシステムを開発。参加機関でデータを分散して管理することで改ざんも防ぐことができる。
新薬開発の臨床試験では複数の医療機関から数百人以上の患者が参加することもある。これまでは医薬品開発の業務受託機関の担当者が1件ずつ足を運び、電子カルテと当局に提出するデータとの間に食い違いがないか確認作業を行なっていた。
サスメドによれば、大規模な治験では確認作業の人件費だけで数十億円に達することもあるという。こうした億レベルのコストをサスメドのブロックチェーンを使うことで、7割削減できるという。
サスメドは医師でもある上野太郎社長が2015年に創業。医療用アプリやブロックチェーンの医療応用についての技術開発を行い、技術に立脚したデジタル医療を推進する研究開発型企業だ。
今後、サスメドは「ブロックチェーン技術を実装した治験・臨床研究向けのシステムを、臨床試験の効率化を目指す製薬メーカー及び大学病院をはじめとする研究機関に対して提供いたします」「現在の労働集約的なモニタリング業務を抜本的に刷新し、臨床開発の効率化を通じて、日本の医療分野における国際競争力の維持・強化と、社会保障の持続可能性に貢献することを目指します」と抱負を述べた。(提供:月刊暗号資産)