カードローンを利用する際に気になるのが、総量規制です。総量規制は債務者保護の観点で設けられていますが、多く借り入れたい方にとっては不便に感じるかもしれません。ここでは総量規制について詳しく説明しますので、内容を理解した上でうまく活用しましょう。

カードローンを借りる際に気になる総量規制とは

カードローン,総量規制
(画像=PIXTA)

総量規制とは「すべての貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えている場合は、貸金業者はその本人に新しく貸し付けてはいけない」という決まりのことで、貸金業法に定められています。

例えば年収が300万円のAさんは、貸金業者からは年収の3分の1までの100万円までしか借りられません。

規制されるのは借り入れた人ではなく、貸金業者です。Aさんは100万円以上借り入れても処罰されませんが、貸し付けた貸金業者は罰が与えられます。

総量規制の目的

総量規制の目的は、以下の2点です。

  1. 貸金業者の過剰貸付の規制
  2. 多重債務者の増加を防止・抑制

この法律が施行された平成20年の前後は、多重債務者数が増加し社会問題になっていました。日本政府は、多重債務者数を増やさないために総量規制を導入し、過剰な貸付を抑える目的でできた法律です。

総量規制の対象になる借入

総量規制の対象となる借入は、「貸金業者」からの借入です。

貸金業者とは財務局または都道府県に登録し、お金を貸し付ける業務を行う業者のことです。消費者金融、事業者金融、クレジットカード会社などがこれに当たります。

したがって、以下のものが総量規制の対象となる「貸金業者」からの借入に該当します。

・クレジットカードローン
・消費者金融のローンや融資
・信販会社からの借入

総量規制の適用除外・例外となる借入

総量規制には、適用除外や例外となる借入があります。

・総量規制の適用除外となる借入

・住宅ローン
・自動車ローン
・高額療養費の貸付け
・有価証券を担保とする貸付け
・不動産を担保とする貸付け

・総量規制の例外となる借入

例外とは消費保護の観点で特に問題のない借入のことで、以下のようなものが該当します。

・顧客に一方的に有利となる借換え
・借入残高を段階的に減少させるための借換え
・顧客やその親族などの緊急に必要と認められる医療費を支払うための資金の貸付け
・社会通念上 緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
・配偶者と併せた年収3分の1以下の貸付け
・個人事業者に対する貸付け新たに事業を営む個人事業者に対する貸付け
・預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け

・法人は総量規制の対象外

総量規制の目的は消費者保護なので、法人の借入は対象外です。

一方で、個人事業主は規制の対象になります。ただし、事業や収支、資金計画を貸金業者に提出し返済能力が確認できれば、総量規制の例外となって年収の3分の1以上の借入ができます。

銀行カードローンは総量規制の対象外?

クレジットカード会社は貸金業者に該当するため、クレジットカードローンは総量規制の対象です。では、銀行カードローンはどうでしょうか?

銀行カードローンは総量規制の対象外

銀行は貸金業者に該当しないため、銀行の融資やカードローンは総量規制の対象外です。

なお、ここでいう銀行には以下の金融機関も含まれます。

・信用金庫
・信用組合
・労働金庫
・農協

銀行カードローンには自主規制がある

銀行カードローンは総量規制の対象外ですが、いくらでも借りられるわけではありません。銀行では、自主規制を行っていることがあるからです。自主規制とは、各銀行が独自に設けた貸し出す際の基準のことで、消費者の年収や職業、借入残高などをもとに貸出の可否や金額を決定します。

銀行カードローンが自主規制を行うようになった背景

銀行カードローンが自主規制を行うようになったのは、貸金業者による貸付と性質が似ており、多重債務者を増やす恐れがあるからです。

銀行カードローンは即日貸付に対応しており、金利が10%を超える場合もあるため、実質的には消費者金融やクレジットカードローンとあまり変わりません。そのため、「銀行カードローンも貸金業者の貸付のように多重債務者を増やしかねない」との批判がありました。

その結果、三菱UFJ銀行やみずほ銀行をはじめ、多くの銀行が自主規制を設けて貸付を制限したのです。

カードローンを借りる際の総量規制の注意点

カードローンを借りる際にかかる総量規制では、以下の4点に注意する必要があります。

注意点①:複数の貸金業者から借りても総量規制額は変わらない

総量規制は、複数の貸金業者から借り入れる場合でも年収の3分の1までと決まっています。

例えば、年収が600万円のBさんの総量規制額は200万円です。

Bさんが貸金業者Xから100万円、貸金業者Yから100万円を借り入れている場合、貸金業者Zから新たに200万円を借りられるでしょうか?答えは「No」です。

なぜなら、貸金業者Xと貸金業者Yから100万円ずつ借りた時点で、Bさんの総量規制額を満たしているからです。

注意点②:総量規制内ならいくらでも借りられるわけではない

貸付業者や金融機関は、貸付を行うときに消費者に返済能力があるかどうかを審査します。審査項目は年収や借入額、金融事故の有無、職業など、それぞれの業者が独自に決めたものです。審査結果によっては貸付不可となったり、貸付額が希望を下回ったりすることもあるため、総量規制内であればいくらでも借りられるわけではないのです。

注意点③:総量規制の「年収」には範囲がある

総量規制の「年収」には、以下のようなものが含まれます。

・給与
・年金
・恩給
・定期的に受領する不動産の賃貸収入
・年間の事業所得

例えば、宝くじや競馬などの一時所得は「年収」に含まれません。

注意点④:貸金業者は「指定信用情報機関」で総量規制額を把握する

利用者の貸金業者からの借入残高は、「指定信用情報機関」に記録されています。そのため、貸金業者は「指定信用情報機関」で利用者の借入残高を参照し、新たな借入によって総量規制に抵触しないかどうかを確認しているのです。

申し込みの際に現在の借入状況を聞かれますが、嘘の金額を記入してもすぐにわかってしまうため、必ず正しく申告してください。

総量規制を超えて借り入れたい場合に利用できるローン・カードローン

どうしても総量規制を超えて借り入れたい方に向けて、利用できるローンやカードローンを3つ紹介します。

アイフルの「かりかえMAX」

アイフルの「かりかえMAX」は、総量規制の例外である「借入残高を段階的に減少させるための借換え」に当たるため、総量規制以上の金額の借換えができます。

▼アイフルの「かりかえMAX」を利用するメリット

・利用額は800万円まで
・ネットで申し込みが完結
・金利や毎月の支払額を減らせる
・審査は最短30分

プロミスの「おまとめローン」

プロミスの「おまとめローン」は、300万円以内なら総量規制を超えてもまとめてローンにすることができます。

▼プロミスの「おまとめローン」を利用するメリット

・借入限度額は300万円
・審査は最短30分
・ネットで申し込みが完結

楽天銀行の「楽天銀行スーパーローン」

「楽天銀行スーパーローン」は、銀行からの借入になるため総量規制の対象外です。

▼「楽天銀行スーパーローン」を利用するメリット
・金利が消費者金融より安い
・最短翌日融資で銀行系カードローンの中でも早い
・ネットで申し込みが完結

総量規制を超えた金額を借りたい場合は、800万円以内で利用できます。

カードローンは総量規制に関わらず無理な借入はNG!

総量規制は、消費者を多重債務から守るために設けられた制度です。しかし個人の状況によっては、総量規制以内の金額であっても返済に苦しむこともあるでしょう。総量規制の有無に関わらず、収入や返済能力に見合わない無理な借入は、決してしないようにしてください。

文・魚住 剛司
大学卒業後、大手生命保険会社に入社。個人への保険営業と資産運用コンサルティング業務に従事し金融・資産運用の基礎を学ぶ。1年間でお金や投資についての本を100冊以上読破し、資産を10倍以上に増やす。その経験を活かして初心者向けの資産運用方法など、お金についての情報発信を開始。現在は、金融専門のライターとして活動している。FP2級を保有。

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