ec(電子商取引)を活用し、プリント基板を製造、販売するピーバンドットコム。今回は、アナリストの馬渕磨理子さんがピーバンドットコム社長の田坂正樹さんにインタビューします。前編では同社のビジネスモデルや強みについて質問してきましたが、後編ではさらに今後の展開や業績などについてうかがっていきます。(※インタビューでは、撮影時以外のマスク装着やソーシャルディスタンスの確保など新型コロナウイルスの感染防止に対する配慮を行っています)

what’s next#4〜ピーバンドットコム
(撮影=末松正義、画像=ZUU online)

識者プロフィール

田坂正樹 MASAKI TASAKA
ピーバンドットコム代表取締役社長
1971年東京生まれ。1995年、FA機器や金型などを手掛けるミスミ(現ミスミグループ)に入社。2000年にWEB広告などを手掛けるブレイク・フィールドの会社設立に参画する。2002年、現在の会社の前身となるインフローを設立(2012年に現社名に変更)。2003年にはプリント基板ネット通販サイト「P板.com」を本格的にスタートさせる。会社を2017年に東証マザーズ、2019年には東証1部上場を果たすなど順調に会社を成長させている。
馬渕磨理子 MARIKO MABUCHI

フィスコ企業リサーチレポーター・金融アナリスト 京都大学公共政策大学院で法律、経済学、行政学、公共政策を学び、修士過程を修了。法人の資産運用・管理を行い、そこで学んだ財務分析・経営分析を生かして2016年からフィスコリサーチレポーターに就任。個別銘柄の分析を手掛けるほか、フィスコ・シンクタンク研究員としてマクロ経済や世界情勢などの研究を行っている。現在はアナリストとして『プレジデント』(プレジデント社)や『週刊SPA!』(扶桑社)、『日経ヴェリタス』(日本経済新聞社)などへの寄稿や日経CNBCへの出演など、各メディアで活躍中。2020年12月に『株・投資ギガトレンド』(プレジデント社)を執筆。

ウェアラブルや遠隔医療などの新しい技術、産業で出番が拡大

馬渕 引き続きお話をうかがっていきたいと思います。2020年は5G(第5世代移動通信システム)が本格的にサービス開始となりました。それに伴ってプリント基板の高性能化も求められると思うのですが、これにはどのように対応されていますか?

田坂 5Gなどの新しい規格や技術に対応するため、プリント基板の〝軽薄短小〟を進めています。また、2019年に弊社サイトで超高多層基板の受付を始めましたが、5GやIoT(モノのインターネット)の普及によって需要増加が見込めるメタル放熱基板や高多層基板などの製品を、やはり低コストで顧客にお届けしています。

馬渕 5G やIoTの普及によって、今後はますます需要が拡大していきそうですね。ほかに需要が拡大しそうな分野はありますか?

田坂 5Gの普及はスマホや自動車はもちろん、他の業界に様々な影響を与えますよね。たとえば、遠隔医療との相性はいいと思います。

馬渕 実際に、5Gの本格普及に向けた新規の受注はありましたか。

田坂 携帯キャリアやその周辺会社から直接的な受注はありませんが、5Gの普及によって出番が拡大する「ロボット」や「医療機器」、「宇宙」関連の事業分野から発注が増えてきていますね。

馬渕 多くの新しい技術やテーマの根幹に関わっているわけですね!そうなると、これから業界におけるシェアも高まるのではないでしょうか。

田坂 先ほどお話したように、プリント基板業界全体における私たちのシェアは0.3%程度と、まだまだ低いのが現状です。さまざまな分野でecの存在感は増していますし、EMS(※前編参照)によって川上から川下まで一貫して手掛けることで顧客網を広げていく考えです。ベンチャーなどの新しい企業ではネットによる調達は当たり前になっているので、いかに既存のメーカーを私たちにリプレイスできるかがシェア拡大のポイントだと思いますね。

馬渕 これからシェアが拡大する産業はどこだとお考えですか?

田坂 やはり新しい産業です。宇宙関連事業はいまは規模が小さいですが、今後期待できる産業ですね。ほかには電気自動車、ウェアラブル端末、医療機器分野も伸びるでしょう。こうした分野のマーケットが拡大してくれば、私たちのビジネスモデルは新規産業に受け入れられやすいので、シェアの拡大につながると思います。

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(撮影=末松正義)

サービスの質を高めるためのM&Aを推進

馬渕 既存のマーケットをWEBにリプレイスされるとのことですが、今後の具体的な成長戦略イメージはありますか?