どうしてもお金を借りなければならない状況になってしまったら、どうするべきでしょうか。焦って複数のカードローンに同時に申し込み、何とかお金を調達しようと考えるかもしれませんが、それは避けなければなりません。ここでは、カードローンを申し込むときの注意点について解説します。

複数のカードローンを申し込むことは可能

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(画像=PIXTA)

複数のカードローンに同時に申し込むことは可能ですが、そうすることでかえって自分の希望から遠ざかってしまうかもしれません。その理由を見ていきましょう。

複数のカードローンを同時に申し込むとどうなるか

いくつかのカードローンを同時に申し込むことは、手続きとしては難しくありません。それぞれに申込手続きが発生するため、少々手間がかかるくらいです。問題は「審査」にあります。

カードローンは、申し込めば確実に利用できるわけではありません。金融機関ではカードローンを申し込んだ人の情報を確認して、「貸したお金を返してくれそうな人」かどうかを見極める作業をします。これを「審査」といいます。

申込手続きに問題がなくても、金融機関の判断で審査に通らないことがあります。審査を通過しなければ、お金を借りることはできません。複数の金融機関で同時にカードローンを申し込むと、審査に通りにくくなる傾向があります。

すでに借り入れをしていて追加でカードローンを申し込む場合

現在利用しているカードローンがあって、さらに別のカードローンを申し込む場合も審査があります。カードローンを申し込むときは、他社で借入をしている件数や金額の申告が必要です。

すでに複数のカードローンを借りている場合や、借りている金額が大きい場合は、審査に通過しにくくなります。貸金業法には総量規制というルールがあり、借入できる金額の上限は各社での借入の合計が「年収の3分の1」までです。

複数のカードローンを利用する際の注意点

審査に通過して複数のカードローンが利用できるようになった場合は、注意が必要です。複数のカードローンを同時に利用すると、毎月の返済日や返済額、返済方法などが異なるため管理がしにくくなることがあります。また1社でまとめて借りる場合よりも、複数の会社から少しずつ借りるほうが金利は高くなりやすく、返済の負担が増えるケースが多いです。

複数のカードローンを同時に申し込む際の注意点

複数のカードローンを申し込んで、審査に通るケースもあります。審査基準は金融機関によって異なるため、一概には言えません。ただ、審査に通過しにくくなるというのはお金を借りたい人にとって大きなデメリットですので、できる限り避けましょう。

ちなみに、各金融機関は「信用情報機関」というところを通じて、自社に借り入れを申し込んだ人が他社にも申し込んでいるのか、いくらくらい借りているのか、今まで遅れずに返済できているかといった情報を確認することができます。

そのため、申し込みの際に他社での借入額を記入しなかったり嘘の申告をしたりしても、すぐにバレてしまいます。「正直に申告しない人」と判断されると信用を失うため、さらに審査に落ちやすくなり、お金を借りることから遠ざかってしまいます。正しい情報を正直に申告することが大切です。

複数のカードローンの借り入れで起きる「申込みブラック」とは

複数のカードローンに同時に申し込んでしまったがために審査に通らない状況は、俗に「申込みブラック」と呼ばれます。

由来はブラックリスト(要注意人物を記載したリスト)の「ブラック」ですが、実際は金融機関にブラックリストというデータや書類が存在するわけではありません。カードローンに限らずクレジットカードでも、複数申し込んで申込みブラックになってしまう人がいます。

申込みブラックにならないためには、1社ずつ順番に申込手続きを行うのがおすすめです。審査結果が出る前に他社に申し込むと、金融機関から見たときに「お金に困って手当たり次第にお金を借りようとしている」と思われ、「きちんとお金を返してくれないかも」と判断される恐れがあります。

申込みブラックになった際の対処法

もし申込みブラックになってしまったら、どうすればよいのでしょうか。

対処法1.別のカードローンに申し込む

前述のとおり審査基準は金融機関によって違うため、同じ人が申し込んでも「A社では通らないがB社なら通る」ということがあります。申込みブラックは審査に通りにくい状況ではありますが、通る可能性もゼロではありません。

対処法2.6ヵ月待ってから申し込む

カードローンに申し込んだという情報は、信用情報機関を通じて各金融機関に共有されます。ただし、信用情報機関に申込情報が記録されるのは6ヵ月間だけです。最後に申し込んだ金融機関が情報をチェックした日から6ヵ月が過ぎると、「申込みブラック」の記録は消えます。

新たなカードローンを利用する方法以外で6ヵ月間しのげる場合は、申込情報の記録が消えるのを待って、審査に不利な条件がなくなってから申し込むとよいでしょう。

複数のカードローンを申し込む前に考えるべきこと

同時に複数のカードローンに申し込むことは、本人にとって不利になる可能性が高いため、おすすめできません。「でもお金がない、何とかしないと……」という場合はどうすればよいのでしょうか。

お金を借りなくても済む方法を考える

できれば、お金は借りずに乗り切りたいもの。節約する、身の周りの物を売る、臨時で働いて収入を増やすなど、お金を借りずに済む方法はないか考えてみましょう。収入が低い場合や失業してしまった場合は、国が無金利または低金利でお金を貸してくれる「生活福祉資金貸付制度」のような支援制度の対象になる可能性があります。

現在のカードローンを増額する

すでにカードローンを利用していて、さらにお金が必要になった場合は、新たにカードローンに申し込む前に現在のカードローンで借入限度額の「増額」ができないか確認しましょう。増額が認められると、より大きな金額を借りられるようになります。増額にも審査がありますが、これまできちんと返済しているなら試す価値はあるでしょう。

カードローンの借り換えを行う

もしも借金を返すために借金をしようとしているなら、まずは返済の負担を軽くすることを考えましょう。今よりも金利の低いカードローンや毎月の返済額が少ないカードローンを探して、1社に絞って申し込み、借り換えれば負担を軽減できます。

また、「おまとめローン」など複数の借入をまとめられるローンを利用すれば、複数のカードローンを利用することで発生する管理の煩雑さや金利の高さといったデメリットを解消できるかもしれません。

お金を借りすぎて困ったら

お金を借りすぎて困っている場合は、公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会(TEL:0570-031640)や法テラス(日本司法支援センター)(TEL:0570-078374)に電話して無料で相談することもできますよ。

カードローンは複数の同時申込みも可能 でも避けるべき!

同時に複数のカードローンに申し込むこと自体は可能ですが、審査に通過して無事にお金を借りられる可能性は低いです。急いでいるときや困っているときでも、手当たり次第に申し込むのはやめましょう。借りずに済む方法はないか、借りるなら他の方法はないか、よく考えてから行動するようにしてください。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
関西学院大学商学部卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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