本記事は、Nami Barden氏、河合克仁氏、Krishnaraj氏の著書『世界のエリートが実践する 心を磨く11のレッスン』(サンガ)の中から一部を抜粋・編集しています

ステップ3 苦悩の本当の原因を知る

ステップ
(画像=PIXTA)

コンシャスネスとは「意識」の学びです。日本ではまだ耳慣れない言葉かもしれません。しかし、グローバルレベルでは、大変人気のある学びの1つです。

人はよく、「相手が〇〇だから」「状況が〇〇だから」、自分が苦悩しているんだと思いがちです。

例えば、誰かから「お前って頭が悪いな」と言われたらどうでしょうか。このセリフにカチンとくる人は、おそらく相手や相手の言葉が、自分を苦悩の状態にさせたと思っているでしょう。だからこそ、相手に対して自分の頭の良さを証明するために頑張ってみたり、相手を罵って恨んでみたり、相手を変えることに必死になったりします。

しかし、どのような苦悩も、自分のマインドに存在するエゴセルフが作り上げた理想像が原因です。

もし心の中で「自分は頭が良くなくてはいけない」という思いがあり、「頭の良い人」という理想像にしがみついているとしたらどうでしょうか。他人に「頭が良くない」と言われたり、そのように扱われたりしたときに、自分の心は苦悩するのです。

しかし、まったく同じシチュエーションで「お前って頭が悪いな」と言われても、なんとも思わない人がいます。このような人は「頭の良い人でなければならない」という理想像を持っていないのです。だから他人から「頭が悪い」と言われても、痛くもかゆくもなく、笑って流せてしまいます。つまり、苦悩は相手やシチュエーションが作り上げているのではなく、理想像にしがみつくことが原因となって生まれるものなのです。

この「苦悩の本当の原因を知る」というステップ3では、2つのことを行います。

(A)まず、先ほど挙げた15個の思考が、どのくらいの割合で「自分中心の意識」からきたものなのかを知ることです。

人は苦悩している状態になると、90%以上の割合で、「自分が真ん中にきた立ち位置」から物事を見ている状態になります。そのような状態にいると「自分は」「私が」と自分のことばかりを主張したり、自分が世界の中心にいて相手が変わることを求めたりするような言葉しか出ないのです。「あの人がああしてくれれば」とか「もっとこうしてくれれば」というような言葉も、自分が中心にきた状態で相手を責めているのです。

そこで、まずはシンプルに、「今回出てきた15個の思考も、自分が真ん中にきている立ち位置から物事を見ている思考ばかりだ」と気づくことが必要です。

(B)次にするのは、「自分がしがみついている理想像を探す」ということです。

先ほど挙げた15個の思考を基に、「自分はどのような人になりたいと考えているのか」を問います。

人間は、大きく分類して10本の指に入るくらいの理想像しか思いつきません。中でも一番多い理想像は「成功者」です。「成功者」と言っても、「父・母のような成功者」「○○さんのような成功者」「皆から慕われるような成功者」「父・母とは正反対の人」などと、人によって少しずつニュアンスの違いがあります。

「成功者」の他によく出てくるのは「頭の良い人」「(社会的に)良い人・正しい人」「完璧な夫・妻・親・子供」「美しい・かっこいい人」「価値のある人」「愛される人」「マザーテレサやスーパーマンように人を助けることのできるヒーロー」などです。これらをヒントに、自分がどんな理想像にしがみついているのかを探していきます。

人は理想像に固執し、しがみついた瞬間に、苦悩の状態に陥ります。理想像を持つのは構いませんが、いつでもどこでも「この理想像のように見られたい」と頑張っているのが、「しがみついている状態」です。そこから抜け出すために必要なのは、それに気づくこと。理想像への執着に気がついた途端、自分がひどく滑稽に見えてきて、苦悩からスッと抜け出すことができるのです。

ステップ4 正しい行動を考える

「苦悩の状態」でいるときは「衝動的な行動」しかできません。つい嫌味なメールを出してしまったり、つい厳しい口調になったりすることは、誰しも経験があることでしょう。

しかし、苦悩の本当の原因である「理想像への執着」に気がついた途端、人の心には平穏さが訪れ、感謝の気持ちが湧いてきます。そして、初めて相手の気持ちも分かるようになります。つまり、この瞬間、スッと「美しい心の状態」になるのです。「美しい心の状態」になると、物事をありのままに見据えることができるようになり、相手のことを含めた考え方ができるようになります。

また、頭がクリアになるので、自分の人生のビジョンがはっきりとします。そして、この状態から自分にとって「正しい行動」を考えます。ここで言う「正しい行動」とは、モラル的に正しい行動を考えることではありません。自分と相手にとって最善の方法は何か。自分が達成したいと思っているビジョンに沿った行動とは何なのか、ここであらためて考えるのです。

人は誰でも、外的なきっかけにより苦悩に陥ります。自分の苦悩を見て見ぬふりをし、頑張って生きていくこともできるでしょう。しかし、これを続けることで、無意識のまま同じパターンで苦しみ続けるような人生を送ることになってしまいます。そのような生き方ではなく、毎回苦悩に陥ったときに自分と向き合って苦悩を解消することが大切です。

この「4つのステップ」の内観方法によって、私たちは大きな気づきを得ることができます。そして、この気づきを基に決断することで、自分の人生をより良くするための最善の方法を自分で考えることができ、また力強く人生を歩んでいくことができるのです。

世界のエリートが実践する 心を磨く11のレッスン
Nami Barden(ナミ・バーデン)
プロのバレエダンサーになることを目指し、17歳の時にモナコのプリンセスグレースバレエアカデミーに留学し、その後パリの日仏芸術舞踊学校へ。20歳で人生の方向転換を決意し、アメリカの大学に進学。米国コロラド州のフォートルイス大学のビジネス専攻を首席で卒業する。東京の外資系企業で働いたのち、ハワイのリテール企業に就職。 結婚と出産を経て、夫の投資系会社と不動産系会社の業務を手伝う傍ら、2015年から2018年まで数回にわたりインドのチェンナイにてメディテーション&コンシャスネスの学びを習得。コンシャスネス講師&カウンセラーとして活動を始める。2018年12月『世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業』(河合克仁氏との共著、すばる舎)を著作。2019年1月インドのヨガの聖地リシュケシュにてヨガ哲学&コンシャスネスについて学び、ヨガアライアンス認定200時間講師資格を習得。現在は「意識的(コンシャス)に生きる方法」を広めるべく、経営者、弁護士、アスリート、芸術家、主婦、学生、病院の患者など、世界中のクライアントを対象にセミナーや著作活動、個人カウンセリングを行っている。
河合克仁(かわい・かつひと)
愛知県豊橋市生まれ。 2006年に筑波大学体育専門学群卒業後、人材教育コンサルティング企業に入社。営業・コンサルタントとして、歴代最高の営業記録樹立をはじめ、社長賞、MVPなどの社内表彰も多数。2014年に独立。 価値観が多様化する現代で活躍する真のリーダー育成を目指す、株式会社アクティビスタを設立し、代表取締役に就任。世界最先端の教育を日本のリーダーに届けることをミッションとし、グローバル企業から100年企業向けの組織開発支援や、中高校生向けのキャリアキャンプといった人財開発支援に情熱を注ぐ。2015年より筑波大学で非常勤講師としてキャリア教育の授業を担当。 また、2016年からは内閣府地域活性化伝道師に就任し、企業と連携して人材採用や育成を通した地方創生の活動も推進。 国内外で活躍の場を広げている。
Krishnaraj(クリシャナラジ)
インド生まれ。自身が体験したスピリチュアルな体験をきっかけに、16歳のときに修行僧になることを決意。 精神哲学やメディテーションの学びを通し、コンシャスネスの力を開花させることに専念する。その後24年間にわたり、インド国内だけでなく、韓国、イギリス、アイルランド、ブラジル、フィジー共和国、日本、その他ヨーロッパ諸国など、世界各地でメディテーション・リトリートセミナーの講師として活動する。その後独立し、トーマス・エジソン州大学より心理学の学士号を取得。現在は心理学の修士課程で研究を続けながら、コンシャスネス・デベロップメントの分野で、メディテーション&インテグラル・ウェルビーイングのエキスパートとして、グローバルに活躍している。 人々の心の中に平穏さ、充足感、心のつながりを見出し、貢献の意欲を育てることの手助けをしている。 メディテーションがどのようにマインド・ボディー・コンシャスネスに影響を与えるのかという科学的リサーチと、古来の知恵と現代科学の視点を交えて分かりやすく伝えるスタイルは、全世界の人々に愛されている。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)