企業の規模による分類にはルールや意味があり、これらを理解しておくことは税制優遇措置や助成金申請に必要です。中小企業基本法における分類や業種を解説します。
中小企業基本法による定義
中小企業の適宜を順に確認していきましょう。
中小企業とは
法律における中小企業とは、中小企業基本法により「中小企業者」に分類される企業を指します。中小企業者は、「資本金の額又は出資の総額(以下、資本金)」と「常時使用する従業員(以下、従業員)」により、業種別に定義されています。
1.製造業・建設業・運輸業・その他2~4を除く業種:資本金3億円以下または従業員300人以下
2.卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
3.サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
4.小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
中小企業の定義上の「常時使用する従業員」とは?
中小企業基本法上の「常時使用する従業員」とは、労働基準法の「解雇の予告を必要とする者」を指すとされています。会社役員や個人事業主は、解雇の予告を必要とする者にはあたらないため、「常時使用する従業員」ではありません。また、パート・アルバイト・派遣社員などは個別の判断が必要です。
大企業、みなし大企業の定義
中小企業基本法には、大企業に関する定義はありません。ただし、他の法律や補助金などで規定されていることがあるため、必要がある場合は確認しましょう。また、大企業である親会社から一定割合の出資を受けている「みなし大企業」も、中小企業基本法上での定義はないものの、上述した条件を満たせば中小企業と解釈できるとされています。
小規模事業者企業者の定義
中小企業基本法では、中小企業者と併せて、小規模企業者に関しても以下のような定義づけがなされています。
1.製造業・建設業・運輸業・その他2~4を除く業種:従業員20人以下
2.卸売業:従業員5人以下
3.サービス業:従業員5人以下
4.小売業:従業員5人以下
なお、「小規模事業者」という場合は、ほかの法律により定義の条件が異なっています。
社会福祉法人、医療法人、一般社団などは基準を満たせば中小企業となるか
中小企業基本法における「会社」は、会社法上の「会社」を指します。社会福祉法人・医療法人・一般社団などは、中小企業基本法上の「会社」にはあたらないと解釈されることから、基準を満たしても中小企業者には該当しないとされています。
企業の規模による分類はなぜ必要なのか
一般的に、中小企業など規模の小さい企業は、大企業に比べ労働生産性が低いなどの問題を抱えています。このような問題を政策面で解決するために、規模の分類を明確にしておく必要があるのです。
また、大企業も社会的な影響が大きいため、ワンマン経営などによる業績悪化や不祥事を防ぐ仕組みを強化する必要があります。
企業の規模による分類はどのような時に必要か
企業規模の区分けを明確にしておくことは、税制上の優遇措置を受ける際や、助成金・補助金を申請する際、中小企業が自社に適用できるかどうかの判断をするために必要です。
中小企業を定義するうえでの業種とは
事業の種類を細かく分けたものを業種といいます。大きく分類したものを「産業」、産業をさらに細分化したものを「業種」と捉えると分かりやすいでしょう。
日本標準産業分類による業種
中小企業基本法上の業種は、総務省が告示している「日本標準産業分類」に準ずるものです。自社の業種を調べるためには、下記URLにアクセスし、どの分類にあてはまるのかを確認しましょう。
総務省|統計基準・統計分類|日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-目次
次に、下記URLを見れば、どの業種に該当するのかを確認できます。
http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/kaitei_13.pdf
複数の事業を行っている場合は主要な事業活動によって判断
複数の事業を手掛けている場合は、最も売り上げの大きい事業など、主要な事業活動を1つ選びましょう。その事業が自社の業種を示す事業となります。
そのほかの業種の分類方法
中小企業基本法で定義される業種には、「その他の業種」という分類があります。製造業・建設業・運輸業と同様に扱われる業種です。上述した以下URLの業種に該当しなければ、その他の業種にあてはまります。
http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/kaitei_13.pdf
中小企業基本法上の定義を知っておこう
中小企業基本法の定義を理解しておくことは、税制優遇措置や助成金申請に必要です。自社がどの業種にあてはまるのかを、しっかりと把握しておきましょう。(提供:企業オーナーonline)
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