世界的な新型コロナウイルスの流行により世界経済が大打撃を受けた2020年。いまだ収束の兆しが見えない大不況の中、2021年の国内経済はどのように動いていくのか。そして、日本企業の未来とは。

危機モードに備えるメガバンクの動向

新型コロナ,株価
(画像=gandhi / pixta, ZUU online)

誰もが名前を知るメガバンクのトップは、新型コロナウィルスに伴う緊急事態宣言が発令され、企業活動が一時的にストップするさなか、ある号令をかけた。

「バブル崩壊の時代に、大口融資先の不良債権処理や企業再生を担当した経験のある職員をかき集めろ」

1990年代初頭、日本経済は「バブル崩壊」を経験。その結果、不良債権が山のようにふくらんで金融システム不安に発展し、これを契機に日本経済は「失われた20年」に突入した。その過程で業績不振のダイエーやカネボウ、大京といった大企業が相次いで破綻。産業再生機構の支援の下、企業再建を進めていった歴史がある。

しかし、それから20年余りが経過し、銀行で不良債権処理などを経験した職員の多くは、すでに現場を去っている。そんな状況で、「その頃の人材を集めろ」と言っているのだ。それほど、今回のコロナ禍で受けた経済的な損失は大きい。

そうした施策の背景について、あるメガバンクの幹部は、「多くの企業は、国を挙げての資金繰り支援によって一息ついているかのように見える。しかし、需要はコロナ前の水準までは戻らず、今後も苦しい状況が続く」と指摘する。

その上で、「コロナ前から問題を抱えていた企業も多い。さらにコロナの経済的影響の長期化に伴って、持ちこたえられなくなる企業も増える。その結果、大口融資先問題が再来するのではないかと危機感を抱いている」(メガバンク幹部)というのだ。つまりメガバンクが、経験者を集めた上で企業再生チームを設置。今のうちから知識やノウハウを共有し、来たるべき時に備えているというわけだ。

新型コロナウイルス発生から2年目の2021年、すでに銀行は“危機モード”にはいるだろうと準備を始めている。そこで、日本企業、引いては日本経済がどうなるのか考えてみたい。

大きな打撃を受けた大企業の決断

東京都が酒を提供する飲食店などを対象に、営業時間を午後10時までに短縮する代わりに、一律100万円を支給する「時短要請」を始めた2020年末、日本有数の歓楽街である新宿歌舞伎町で飲食店を営む男性はこうつぶやいた。