NISAは税制面などでメリットの大きい制度だが、仕組みが複雑な部分もあり、「NISA口座を複数持つことはできるの?」「NISAとつみたてNISAは併用できる?」「NISAの金融機関は変えられるの?」といった疑問を持つ人も多いだろう。

この記事では、NISAのよくある疑問を挙げて開設する。NISA口座について理解を深めたい人はぜひ参考にしてほしい。

NISA口座を複数開設することはできない

NISA,複数
(画像=PIXTA)

NISA口座は、一人につき1つの金融機関でしか申し込み・開設ができないと決まっている。そのため、複数の金融機関でNISA口座を開設することはできない。たとえば、A証券会社でNISA口座を開設した場合、B証券会社でNISA口座を開設することはできない。また、銀行や郵便局でも同様だ。

NISAでは、非課税投資枠が決まっており、非課税投資枠の範囲内であれば、投資で得た利益に税金が課税されない。NISA口座を複数持つことで、非課税投資枠が無限に拡大してしまうと、制度としてそもそも成り立たなくなる。

そのため、NISA口座は一人につき1つの口座しか持てないのである。

「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」で複数口座を開設できる?

NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つがある。それぞれの口座を持つことは可能なのだろうか。

「一般NISA」と「つみたてNISA」は併用不可

一般NISAとつみたてNISAは併用不可なので、複数口座を開設することはできない。たとえば、一般NISAの口座を開設したなら、同じ証券会社であろうと、別の証券会社であろうと、つみたてNISAの口座を開設することはできない。

ちなみに、一般NISAでは、年間120万円までの投資で得た利益が非課税になる。非課税期間は最長5年間なので、最大で600万円の非課税投資枠を使って投資ができる。

つみたてNISAは、一般NISAより少し遅れて、2018年にスタートした。年間40万円までの投資で得られた利益が非課税になる。非課税期間は最長20年間なので、最大で800万円の非課税投資枠を使って投資ができる。

一般NISAもつみたてNISAも、20歳以上で日本に住んでいることが口座開設の条件だ。

「ジュニアNISA」は20歳未満が対象

ジュニアNISAでは、年間80万円までの投資で得た利益が非課税になる。非課税期間は最長5年間なので、最大で400万円の非課税投資枠を使って投資ができる。

ジュニアNISAの口座を開設できるのは、日本に住んでいる0歳~19歳の人だ。ジュニアNISAの運用管理者は、原則として、口座開設者本人の二親等以内の親族だ。たとえば、両親や祖父母などが該当する。

ジュニアNISAは、子どもの将来のためのお金を、資産運用しながら積み立てられるようにと始まった制度だ。そのため、子どもが18歳になるまでは払い出しができない。

ジュニアNISAは、そもそも一般NISAやつみたてNISAとは対象年齢が異なる。そのため、一人の人間がジュニアNISAと一般NISA、ジュニアNISAとつみたてNISAの口座を複数持つことは不可能だ。

一方、自分自身が口座開設者となって一般NISAで資産運用している30歳の母親が、15歳の我が子のジュニアNISAの口座を開設し、自分自身が運営管理者となることは可能だ。つみたてNISAでも同様のことがいえる。

この場合、あくまでジュニアNISAの口座開設者は15歳の子本人となる。そのため、30歳の母親と15歳の子がそれぞれNISA口座を開設しているのであり、1人で複数のNISA口座を開設したということにはならない。

NISA口座の開設後に金融機関を変えられる?

NISAは2014年1月からスタートし、当初は金融機関を変えることができなかった。しかし、2015年1月に制度が改正され、1年ごとに金融機関を変更できるようになった。

続いては、NISA口座の開設後に金融機関を変更する手順を紹介する。

NISA口座変更手続きの流れ

nisa口座,変更

まず、すでにNISA口座を開設している金融機関に書類を提出する。すると、「非課税口座廃止通知書」が郵送で届く。

その後、変更後の金融機関に申込書類を請求する。申込書類が届いたら、本人確認書類やマイナンバーが確認できる書類とあわせて、「非課税口座廃止通知書」を提出する。

続いて、変更後の金融機関と税務署が審査を行い、審査が完了次第NISA口座の変更が終わり、取引ができるようになる。税務署での審査には、数週間かかることが一般的だ。

なお、10月1日を過ぎると、翌年分からの変更となるため、注意が必要だ。その他、NISA口座変更の手続きについては、金融機関が独自に期限を定めているケースもあるので、早めに手続きをするようにしたい。

金融機関を変更したらNISA口座の投資商品はどうなる?

金融機関を変更したとしても、変更前の金融機関のNISA口座で購入した投資商品を移管することはできない。そのため、変更前の金融機関のNISA口座で引き続き投資商品を保有することになる。当然、変更前の金融機関の口座でも、5年間は非課税で運用できる。

ある意味、NISA口座を複数開設しているような状態と思えるかもしれない。しかし、変更前の金融機関のNISA口座で、新たに非課税投資枠を活用して投資することはできない。あくまで、過去の非課税投資枠の範囲内で購入した投資商品を引き続き保有できるというだけだ。

NISA口座を変更するなら「ロールオーバー不可」に注意

NISA口座を変更する時は、「ロールオーバー不可」に注意しておきたい。続いて、非課税期間を満了した場合の選択肢と金融機関を変更した場合の注意点を解説する。

NISA口座の期間を満了したらどうなるの?

nisa,デメリット

NISAでは、非課税投資期間の5年を満了するタイミングで、3つの選択肢がある。

1つ目が、非課税期間内に投資商品を売却して利益を確定させるという選択肢だ。含み益が大きく、利益確定のタイミングなら、売却して利益を確定させるのもいいだろう。売却益は非課税で受けとれる。

2つ目は、課税口座へ移管するという選択肢だ。何も手続きをしなければ、課税口座へ移管される。課税口座へ移管すれば、損失が出た場合は損益通算も可能になる。ただし、NISA口座ではなくなるため、利益に対しては所得税・住民税が課税されることになる。

3つ目が、非課税期間を延長する「ロールオーバー」という選択肢だ。ロールオーバーの手続きをすれば、引き続き非課税で投資商品を保有できる。

NISA口座を変更するとロールオーバー不可になる

NISA口座を開設する金融機関を変更した場合、変更前の金融機関でロールオーバーすることはできない。

たとえば、A銀行からB銀行に変更したとしよう。A銀行でNISA口座を開設していた頃に保有していた投資商品は、非課税期間中の5年間はそのまま非課税で運用できる。しかし、5年を満了したタイミングで、ロールオーバーを選択することはできないのだ。

ロールオーバーができるのは、あくまで現時点でNISA口座を開設してる金融機関においてのみだ。

仮にA銀行でロールオーバーしようと思ったら、再びB銀行からA銀行にNISA口座を変更しなければならない。NISA口座の金融機関を変更する時は、ロールオーバー不可となることには十分注意しておきたい。

NISA口座の開設は税務署が確認している

NISA口座を複数開設すると、非課税投資枠を拡大できることになってしまう。そうなれば、本来納めるべき税金が納税されないことになる。このような事態を避けるため、NISA口座の開設に関しては、税務署がしっかりチェックしている。

NISA口座の開設を希望する人が金融機関に開設書類を送付したあと、金融機関が税務署に申請を行う。税務署はそこで、NISA口座に重複がないかを厳しくチェックする。そして、税務署の審査が終わり、「確認書」が交付されて始めて、金融機関は口座開設完了の通知を口座開設者に送ることができる。

このように税務署が厳重にチェックしていることから、複数のNISA口座を開設することはできない。

NISA口座の非課税メリットはインパクト大

税務署が厳密にチェックするのは、それだけNISA口座の非課税のインパクトが大きいからだ。

たとえば、ふだん何気なく受け取っている預金利息にも所得税・住民税はかかっている。預金利息や投資で得た利益に対する税率は一律20.315%だ。この中には、所得税・住民税・復興特別所得税が含まれている。年に2回、通帳に預金利息が振り込まれる時は、すでに20.315%の税金が天引きされたあとなのだ。

当然、株式や投資信託を購入した時も、通常であれば利益に対して20.315%の税金がかかり、先に税金が天引きされた上で入金される。天引き(源泉徴収)というのがくせ者で、私たちは税金の負担が大きいことに気づきにくいのだ。しかし、約2割といえば、少なくない金額であることはわかるだろう。

たとえば投資で50万円の利益が出たとすると、10万1,575円の税金がかかる。入金されるのは、税金を差し引いた39万8,425円だ。こうして実際の数字でみてみると、非課税のインパクトが大きいことがわかるだろう。

まだNISA口座を活用していないなら、早めに活用を検討しておくべきだろう。

NISA口座はどこがおすすめ?主要な証券会社を比較!

続いて、NISA口座を開設する時に検討したい主要な証券会社を3社紹介する。それぞれの特徴を比較し、自分に合った証券会社で口座開設したい。

証券会社 手数料 少額投資 おすすめポイント
10万円 50万円 100万円
SBI証券
無料
※1
手数料、IPO、外国株
全てトップクラス
楽天証券
無料
※2

943円
※2
× 楽天ならではの
ポイント制度が充実
マネックス証券
110円

495円

1100円
米国株取扱数No.1
IPOの実績も◎
  1. ※2020年10月現在
  2. ※1. アクティブプランの場合
  3. ※2. いちにち定額コースの場合

証券会社 手数料


おすすめポイント
10
万円
50
万円
100
万円
初心者におすすめネット証券1位1位
SBI証券

無料
※1
手数料、IPO、外国株 全てトップクラス
初心者におすすめネット証券2位2位
楽天証券

無料
※2

943円
※2
× 楽天ならではのポイント制度が充実
3位 マネックス証券
110円

495円

1100円
米国株取扱数No.1、IPOの実績も◎
  1. ※2020年10月現在
  2. ※1. アクティブプランの場合
  3. ※2. いちにち定額コースの場合

SBI証券

投資信託の種類が豊富で、米国株・中国株・アセアン株など外国株式の取り扱いもあり、幅広い投資商品に投資したいという人に向いている。ネット証券の最大手であり、手数料も低い。NISAでのIPO対応があるのもうれしい点だ。IPOは値上がり幅も大きいため、IPOに注力したいならSBI証券を検討したい。

楽天証券

投資信託の種類が豊富で、米国株・中国株・アセアン株など、外国株式の取り扱いもある。手数料も低く、独自のサービスで人気を博している。楽天ポイントを軸にした楽天経済圏で暮らしている人なら、投資も楽天証券で行うと、何かとメリットが多いだろう。買い物で貯まった楽天ポイントで投資することも可能だ。一方、楽天証券ではIPOの対応はないため、注意したい。

マネックス証券

外国株式の取り扱いが豊富という特徴を持つ。IPOにも対応しており、SBI証券や楽天証券には及ばないものの、1,000本を超える投資信託の取り扱いがある。1日100円から積み立てられる「毎日つみたて」はNISA・つみたてNISAでも利用でき、非課税投資枠を最大限活用するための「NISA非課税投資枠使い切り設定」も人気だ。

NISA口座は一人1口座だが、証券口座は複数持てる

NISA口座が一人1口座と決まっているのは、非課税投資枠があるからだ。証券口座であれば、複数の口座を開設することは可能だ。NISA口座で投資経験を積んだら、他の証券会社で口座開設し、サービスや使い勝手を比較するのもいいだろう。

また、各証券会社はお得なキャンペーンを実施している。キャッシュバックキャンペーンなども豊富なので、キャンペーンを活用するために複数口座を開設するのもおすすめだ。

NISAを最大限活用するために、慎重な証券会社選びを

証券会社によって、NISAで購入できる商品には違いがある。せっかくNISAを活用するなら、自分に合った証券会社を選び、お得にNISAをスタートしたい。金融機関の変更はできるものの、ロールオーバー不可といったデメリットもあるため、よく比較検討したうえで口座開設することが重要なポイントだろう。