SPAC(特別買収目的会社)と合併して上場する未上場企業が増えています。4億ドルを出資するなど、ソフトバンクが支援する不動産テックの「オープンドア」もこの手法を用いて上場を行いました。

SPACとは

不動産テック,オープンドア
(画像=kristina-blokhin/stock.adobe.com)

SPACとは、未上場企業を買収することを目的に上場する特別買収目的会社のことです。 SPACは投資家を募り資金を集め、未上場企業を買収し、合併して事業を営みます。

アメリカで増えているSPACは、IPOにかかる手間やコストを省きたい企業側も、比較的短期間で利益を上げたい投資家側もメリットを得られる手法です。SPACが買収企業を見つけられなかった場合、投資した資金が返還されることになっています。

注目されるオープンドア、その理由は

2020年12月21日、不動産テックベンチャーのオープンドアが、投資家が運営するSPACの一つ、ソーシャル・キャピタル・ヘドソフィア・ホールディングスと合併してナスダック市場に上場しました。

オープンドアはかねてから注目を集めていた不動産会社です。2014年に設立されたこの企業は、創業から約3年で評価額が10億ドルを超える未上場スタートアップ「ユニコーン企業」となり、ソフトバンクグループも2018年に同社に出資を行いました。

オープンドアは、不動産の買取と再販をオンライン上で簡単に行えるシステムを構築しています。中古不動産の売買が盛んなアメリカで、売買の手続きにかかる手間を大きく軽減できるとして話題となりました。

大企業や投資家から出資され期待を背負っているオープンドアですが、毎年赤字決算となっており、黒字化の見通しも立っていません。

コロナ禍で赤字でも上場 この先どうなる

SPACを通じた上場により、オープンドアは10億ドル以上の資金を得ます。これにより事業をさらに拡大していく予定ですが、オープンドアは「利益を出すのはまだ先」としています。

アメリカの不動産のオンライン売買はまだまだ発展途上の市場です。アメリカの住宅用不動産の市場規模は1兆6,000億ドル、うちオンライン取引はわずか1%ほどとなっています。今後オンライン売買が主流になっていく中で、早くから事業を営んでいるオープンドアは優位でしょう。

アメリカ不動産業界の変革はこれから

IT技術によって多くの業界が変革を遂げています。にもかかわらず、不動産売買については従来通り多くの人の手を必要としている状況です。

「住宅の売買を簡単かつ瞬時に行えるようにする」ことをミッションに掲げているオープンドア、それが達成されたときには、これまでの赤字を超えた収益を得られるかもしれません。創業からすさまじいスピードで成長している、同社の動向に今後も要注目です。(提供:YANUSY

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